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ドラゴン討伐!

 道中は特に危険なこともなく、ジェスタさんがあるのかないのかわからないような痕跡をたどって、ドラゴンの巣近くへたどり着いた。

 少し開けた平原の窪地、そこに今回の討伐目標であろう明るい緑色の体色のドラゴンがいた。

 こちらには気づいていないようで、休んでいるようだった。


「今、俺たちは風下にいるから、匂いで気づかれることはねぇはず」

「気づかれないうちに先制攻撃をして一気に終わらせよう」


 敵の近くで少しの時間、作戦会議をする。


「レイチェル、風の加護か水の加護の魔法を使えるか?」

「はい。風の加護はこの前覚えたと思います」


 私は少し前に覚えた、風の力で相手の飛び道具を弾く魔法をセローさんにかける。


「風の守りをこの者にあたえよ!」


 セローさんの体の周りを風が渦巻く。

 感じる風は、そよ風程度の風力だけど実際に攻撃を受けると槍でも弓矢でも弾くとのことだ。

 慣れない魔法を唱えて、私の体は少しダルさを感じる。


「飛行される前に一撃入れるぞ」


 そういってセローさんは木陰から出て、剣を抜いて突撃する。

 私たち2人はそれを見守る。

 ドラゴンは突撃したセローさんに気付いて、巨体を振るって尻尾で薙ぎ払う。

 薙ぎ払われた風圧で小石が巻き上げられ、礫となってセローさんへ襲い掛かる。

 尻尾をかいくぐり、風の加護のおかげでセローさんは無傷で接敵した。

 青白く光る剣をドラゴンの脚へ振りぬき、後脚の1本に怪我を負わせた。

 

「ギャオォォオ」

「飛ぶぞ!」


 ドラゴンは翼を広げて、空へ逃げようとする。

 いつの間にか前に出ていたジェスタさんは、薬の包みからオレンジ色をした粉を鼻で吸った。

 そして片手持ち用のクロスボウを構えて、鉤爪つきのロープを括りつけた矢をドラゴンの羽に向かって発射する。

 ロープは片翼に巻き付いて、ドラゴンの動きを阻害した。


「おぉりゃあああ!!」


 そのままロープを引っ張る。

 すると、バキバキっとドラゴンの翼からイヤな音が聞こえて、飛べなくなったドラゴンは墜落する。

 墜落したドラゴンに向かって、セローさんが走り寄る。

 セローさんはドラゴンの足にできた傷口に両手を当てて、


「この手の先の水を清めたまえ!」


 すると、みるみるうちにドラゴンが苦しみだして、

 やがて、息絶えた。


「何をしたんですか?」

「秘密だ」


 こういうときのセローさんは、絶対に教えてくれない。


「これはエメラルドドラゴンだな」

「よく見るとウロコがすっごい綺麗ですね」


 まるで宝石のような輝きだ。


「こいつらはグリーンドラゴンと似た体色だが、ウロコが硬くて通常の刃物では傷つきにくい。知能も高く、魔法も効きにくい」

「それは強いってことですよね」


 私は息絶えたドラゴンをしげしげと観察する。

 明るい緑色をしたウロコ、日の光でピカピカと光っている。

 体長は人間5人分くらい、丸のみはされないだろうが、ナイフのように鋭い牙が生えている。

 体に近いほうは丸太のように太い尻尾だが、先端は私の腕くらい細い。

 大きな翼に膜が張っており、それで飛ぶのだろう。


「では、俺と君は見張りだな」

「見張り?」

「解体する人間が来るまで、誰かに持っていかれないようにするんだ」


(そういえば、ドラゴン自体を報酬にもらえるんだっけ?)


 セローさんは報告のため、ジェスタさんを村に返した。

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