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ドラゴン

「ドラゴンを討伐して欲しい!?」


 私は事務所に着くなり、驚きの声を上げた。


「受けたんですか? その依頼」

「もちろん。依頼者にとって俺たちは最後の砦だ」


 私は驚きのあまり、あんぐりと口を開ける。


「まさか3人で倒しに行かないですよね?」

「別にお前は来なくてもいいぜ。生き物相手ならセローが居れば楽勝だからな」

「そうなんですか?」

「うん? まあ」


 依頼の内容は、グリーンドラゴンという、火を吐くけど、あまり空は飛ばないタイプのドラゴンだそうな。

 私だって流石に絵本に出てくるからドラゴンくらいは知っている。


「準備はほどほどでいいからさっさと向かうぞ。人的被害が出る前に討伐する」


 私たちは道具を買いそろえて、依頼者の村へ向かう。

 道中の馬車の中でセローさんに質問する。


「なんでドラゴン討伐をこんな3人しかいない何でも屋に?」

「金が無いんだとさ。今回の依頼、俺は前金の10000ゴールドだけ受け取って受けた」

「・・・・・・確かに普通だったら、その金額じゃあギルドに依頼できないですね」


 10000ゴールドぽっちじゃあ、とりあえず3人雇って終わりの金額だろう。

 私はやっとこの業界を大体わかってきたけども。

 普通なら初心者を雇うだけでも1人あたり1000ゴールドくらい、それに移動料や道具の調達金もかかる。

 とても討伐まで請け負ってくれる場所は無いと思う。


「今回は討伐したドラゴン自体を報酬としてもらうことになっている」

「? どういうことですか?」

「ドラゴン、って言ったら全身が素材になるんだよ。それを全部もらえるってわけよ」

「グリーンドラゴンなら傷をつけなければ、概ね20万ゴールドくらいだろう」

「にじゅ・・・・・・そんなに高いんですか?」


 私の日給は大体200ゴールド、それを約1000日分だ。

 この金額ですら、私のような駆け出しでは本来難しい金額なのが最近分かった。

 私の暮らしていたような村で暮らせば、一生暮らせるかもしれない金額。

 それを1回の依頼で稼ぎ出す。冒険者というのはそういう仕事。


(セローさんたちってどのくらいお金持ちなんだろう。想像がつかないや)


 私たちは1日くらい馬車に乗って、依頼のあった村へ到着する。


「ちょっといいかな。村長の家を教えてくれ」 


 セローさんは道端の井戸で野菜を洗っていた農夫の人に村長さんの家を聞く。

 場所を聞いて、私たちは村長さんの家に向かった。


「被害はどんな感じですか?」

「屋外の家畜がもっていかれまして、壊滅状態です・・・・・・」

「グリーンドラゴンならば、獲物を捕まえて飛ぶことはあまりしないはずですが?」

「いえ、牛などはバラして飛び去っています。足跡などは無くて複数回に分けて持って行っているようでして」

「ふぅん。まあいいでしょう」


 そんなやりとりをして、私たちは村の唯一の宿屋へ向かった。

 食事をしながらセローさんが言う。


「村側が別の魔物をグリーンドラゴンと勘違いしている可能性がある」

「確かに、あいつら家畜だけ持ってくなんて器用なことできるんか?」 

「それもそうだし、あいつらは4足歩行で獲物を咥えて運ぶ、が、バランスがとりにくくなるから飛ぶことはしないはず」

「じゃあ他の魔物の可能性が高いってことですか?」

「まあそうなるが。討伐することには変わらない」


 どのみち討伐するのは決定事項なのだ。


「ジェスタ、クロスボウとロープに粉薬を持っておけ」

「わかってる」


 ジェスタさんは普段よりも荷物を多く持っていた。

 私たちはジェスタさんを先頭に山林に入っていく。

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