第26話 団長の実力
「スルガ殿がリアナ殿を絶賛されてましたが、ただの親馬鹿……という訳では無さそうですね」
クラトスもまたスルガからリアナの自慢話を長々と聞かされており、誇張されたであろう内容を微笑ましく聞いていた。
だが、実際に先程までの戦況を見る力、そしてショックエッジを瞬時に模倣する技術は、スルガの話通りだった。
「リアナ殿がこれ程までと見通していたのか──」
親子共に相手を見る力の高さに感嘆する。
「よし、リアナ。今度はアタシが前へ出る。アンタがサポートしな」
「分かりました!」
ネフィが一気に勢いを得る。
「これはまずい……」
ネフィが一気にクラトスへ踏み込む。
次の瞬間互いの剣が火花を散らせる。
ネフィの容赦のない連撃に対しても、剣でいなし、そして半身になり躱す。
そしてネフィが気付いた時にはクラトスに背中を取られている。
「ちっ」
急いで振り返るもクラトスの剣の方が速い。
しかし、リアナのショックエッジがその攻撃を遮る。
クラトスは仕方なく、攻撃を中断してネフィから距離を取る。
ネフィは即座に腕に着けた魔道具からナイフを四本クラトスの足元へと投げる。
「チェイン・ヴォルテクス」
クラトスも素早く反応はするも雷の方が速く、足先が雷によって焼かれた。
息をつく暇もなく、リアナが左から斬り掛かる。
ネフィの剣、リアナの斬撃、ネフィの魔法、そしてリアナの近接攻撃。
二人が前衛と後衛を瞬時に入れ替えながら戦う。
攻撃の起点が読めずにさすがのクラトスも防御に専念せざるを得ない。
リアナの剣を強引に跳ねのけ、クラトスは二人から大きく距離を取る。
そして先程よりも更に大きな闘気を纏う。
リアナもネフィもどちらに来るのか、警戒しながら次の一手に備える。
「闘気連斬」
目にも止まらぬ速さで放たれた八本の斬撃は、二人同時に襲い掛かる。
「そんなっ!? あれを連続で?!」
リアナもショックエッジを使ったから理解していた。
二発撃っただけで、リアナはかなり疲弊していた。
せいぜい後一発撃てたら良いくらいだ。
それを連続で八発。
一発ごとの威力が高く、剣で受け止め続けるのは危険だ。
自然と大きく避けるしかなくなる。
リアナもネフィも横へ大きく飛び、ショックエッジを回避する。
「いい勝負でした」
次の瞬間、ネフィの喉元にクラトスな剣先が添えられていた。
「はぁ、団長の道は遠いねぇ」
ネフィは両手を上げ大きく息を吐いて、小さな声でボヤいた。
リアナも立ち止まり、肩を大きく上下させて息をしている。
二人程動き続けていた訳ではない。
それでもリアナが肩で息をしているのはショックエッジの消耗がそれほど激しい証だった。
「お二方の今後が末恐ろしいですね。団長として稽古をつけるつもりでしたが、僕の方が勉強させていただきました。ありがとうございます」
爽やかな笑顔でネフィへと握手を求める。
「……どうもです」
嫌がりながらも渋々と手を差し出す。
クラトスはショックエッジをあれ程連発したにも関わらず、その表情からは疲労の色は見えなかった。
「リアナ殿もお身体に気を付けながら、鍛錬を頑張ってください」
「はい、お気遣いありがとうございます」
リアナは深々とお辞儀した。
「俺達ヤバくない?」
「さすがにスルガ団長の血を引いてるだけあるよね」
「俺もショックエッジ出来るようになりたい……」
見物していた騎士達がリアナの成長に危機感を抱く中──。
「これは……また団長の苦労が増えそうだ」
ロウアンだけがリアナがスルガへとショックエッジを放つ姿を想像して苦笑いしていた。




