第19話 盗賊団ガルグンニーラ
「ったく、どこ隠れやがった。出てきやがれ!」
フシナの森では荒々しい怒号が響き渡る。
普通の成人男性の倍近くありそうな男が、大きな斧を振るいながら軽々と木々を薙ぎ倒して練り歩いていた。
「グロウ、そう熱くなるなよ。別に大した獲物でもない。普通に狩りに来ていた親子だろう」
筋肉質でがっしりとした体格。
その身体に見合った大きな大剣を背中に担いだ男が岩に腰掛けて大男を制す。
「しかし、頭ぁ。そんな獲物すら逃がしてるようじゃあ、ガルグンニーラの名が廃っちまいますよ」
「なぁに、見付けてさっと始末しちまえば終わりだ」
盗賊団ガルグンニーラ。
頭領の名はザン。
行商人や馬車等を狙う訳ではない。
そこに行動の法則はなく、気分次第で目についた者を狙う五人構成の少数盗賊団。
余りに行動が読めない為、騎士団もなかなか足取りを掴む事が出来ず、見付けたとしても未熟な騎士では歯が立たない程の手練れが揃っている。
「頭! あっちに怪しい親子の物だと思う水筒が落ちてました」
普通の成人男性の倍近くありそうな男が、大きな斧を携え、鈍い音を立てながら駆けてくる。
「そうか、バズラ。その場所に案内しな。グロウはドズルとヤバンを呼んでこい」
「分かりやした!」
グロウは地響きを鳴らしながら、残りの二人を呼びに行く。
グロウとバズラが入れ替わった。
だが、見た目だけで言えば何も変わっていない。
相変わらず、巨漢とその隣にはザンが立っているだけだった。
二人は水筒が落ちていたという所までやってきた。
「ここです。この場所に落ちてました」
「そうか」
ザンは短くそう言うと、周囲を注意深く見渡す。
特に道らしい道も無いにも関わらず、目星を付けているのか、何度も見比べるように左右に視線を送る。
バズラは黙って、次の行動を待っている。
「あっちだな」
「はい!」
ザンは見比べた場所の左を指した。
バズラは何も疑問に思わない。
ザンがあっちだと言えば、あっちしかないのだ。
ザンは行く先の木を無造作に斬り倒した。
「頭、何を?」
「グロウ達が分かるようにだ」
「なるほどっ!」
二人は更に奥へ進むと川を見付けた。
川の上流へと道を辿ると洞穴があった。
「この中に隠れているんですね」
バズラが理解したようにザンの方を見る。
しかし、ザンは納得がいっていないのか、眉をひそめて考え込んでいた。
「いぃや、俺ならそんな発見すりゃ探してくるような所には隠れねぇ。そっちの茂みだ」
洞穴の近くに茂みがあり、その場所を顎で指した。
「洞穴を見付けりゃ誰だって中を確かめる。それで見付けられなきゃ、その時点でこの辺には居ねぇって決め付けちまう」
それを逆手に取っていると考えた。
そして──。
それは当たっていた。




