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red. -能力者が神様に挑む話し-  作者: テオネオ
第十八話 主人公がいる編
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18-④ 主人公

 <Ⅲ-A会議室>

 

 レクリエーションなどで使われることの多い、この会議室は、机なども少なくただ広い。


 教卓のように段差になっている所にイーネが腰掛けていて、隣にユウトが立っていた。


 そこにマリが合流する。


 マリがイーネに声をかける。

 

「もぉ、動いていいの?」

 

「体はたいぶ。な。まだ能力は使えねぇ。」

 

「任務に同行するの?」

 

「…………ちゃんと許可はとった。ジーベルに変わってからくっっっそ厳しくなりやがって。あの野郎……。」

 

「それが普通なんでしょうけどね。ラスターさんは、核師の安否とか、どーでも良かったのかも。」

 

 すると、今度はユウトが話し出す。

 

「マリさん。聞きました?ナユタの奴。」

 

「違うチームにとは……。」

 

 するとユウトはプククと含み笑いを交えながら言う。

 

「ジーベルに、『精神系能力者が自分のチームの人間としかコミュニケーションが取れないってどーゆーことだぁぁぁあああ!』ってキレられたらしいよ。くふふふふ。」

 

「あぁ……。で、他のチームに……ですか……。」

 

「あの泣き顔最高だったなぁ。」

 

(ナユタさんが怒ってるの。想像できるな……。)

 

 次はマリの方から話しをふる。

 

「ニコは、まだ経過観察中で、任務に同行許可降りてないのよね?ベリーは?」

 

 それにはイーネが答える。

 

「ベリーも能力が使えねぇ。動けるようにはなったが、任務にもいかねぇし、ここにもこねぇとよ。」

 

「そう。じゃあ…………。」

 

 能力の使えないイーネ、感覚種のユウト、コピー能力のマリ。


 この場にはその3人しかいない。

 

(え?……タカトさんとニコが居ないだけで、ここまで火力落ちる?…………。こんなの……。)

 

 そう考えて、マリが言葉を発する。

 

「え?この3人でどーするのよ……。」

 

 すると、ユウトがマリに言う。

 

「あれ?マリさん聞いてない?」


「何のことですか?」

 

「もう1人、ここに新人、入れるんだってさ。」

 

「…………新人?」

 

 ガラガラガラッ

 

 会議室のドアが勢いよく開く。


 明るい茶髪に細身の体。真新しい団服は、カーゴパンツにMA-1を合わせたようなスタイルで、若く、少しヤンチャな子にみえる青年は大きな声で言う。

 

「し、失礼します!!!!」

 

「…………。」イーネ

「…………。」ユウト

「………………あ。どうも。」マリ

 

 マリだけが返事をした事実は気にも留めずに、ヤンチャそうに見える青年は、またまた大きな声で言う。

 

「ここに配属になりました!ケイト・ジョージアスといいます!!!!!宜しく!!お願い!しまーーーす!!!!」

 

 ケイトと名乗った青年は、両腕をピッタリ体の側面につけて直角にお辞儀した。


 それに対して、マリだけが「あ…………。宜しく……ね……。」と答える。他の2人は黙ったままでケイトを見ていた。


 ケイトは深々と頭を下げながら考えている。

 

(感覚種の中でも戦闘向きでない能力にもかかわらず、その群を抜いた身体能力で序列にくいこむ異端児テンジョウ ユウト!…初回任務でジャンクの討伐!血の女神と恐れられる組織種適合者マリ・リルベラ!…そして、白髪(はくはつ)に白い眼!幻種!……そしてなんたって!俺の憧れの人!イーネ・フィズニア!!!……それだけじゃない!!チーム事態も、マネジャーの助言無し!イーネさんの先見の明で樹立され、チーム発足直後から最も勢いと実績のあるチーム!!!!!くぅぅう!!クール過ぎるぅぅうううう!!!……ほんとうに。俺、本当にこのチームに入ったんだ……!)

 

 ケイトは両手の拳を強く握って全身を小刻みに振るわせながら、感動の涙目になっていた。

 

「おい。何だよ。あれ。」イーネ

 

「おしっこ漏れたんじゃない?」ユウト

 

「ユウトさん。適当やめてあげてください。新人さんですよ。」マリ

 

 すると、ケイトがやっと頭を上げたと思えば、感極まった表情で走り出し、ほぼほぼスライディング土下座かのように滑り込んでイーネの前で静止した。


 イーネは「あ?」という声と共に、少し身を引いて怪訝そうな顔をしている。


 ケイトが言う。

 

「イーネさん!!!」

 

「…………………うっるっさ……。」

 

「あ、貴方は…………僕の憧れの人です!!」

 

「……………は?」

 

 イーネだけでなく、マリとユウトも口を揃えて「え?」と言う。


 ケイトが続ける。

 

「俺!何も取り柄がなくて!現場仕事もなぁなぁで!核師も、本当は最初は軽い気持ちだったんです!!むしろ、怖いから辞めようと思いました!!………でも、貴方の姿を見て!本当に!!凄く!凄く!かっこいいと思ったです!!本当に、青天の霹靂でした!!」

 

 ケイトの言葉に、ユウトはマリ対してボソボソと「うわぁ。熱い。愛の告白だ。」なんて小さな声で茶化してるのを、マリが咎めている。


 ケイトが続ける。

 

「俺!変わりたいんです!!変わって、貴方のように!強くてかっこいい、ヒーローになりたいんです!!ジーベルさんに言って、本当にこのチームに配属になるなんて思わなくて!!だから!!!」

 

 マリは直感的に(あ…。やばいかも。)と感じていた。それはユウトも同じだろう。


 ケイトが続ける。

 

「俺!頑張ります!貴方みたいになれるように!死ぬ気で頑張ります!!よろしく……。」

 

 ケイトの言葉の途中で、イーネがケイトの胸ぐらを掴んで引き上げた。


 無表情の奥に怒りを感じる。


 ユウトがまた、マリに小さな声で「キレてるね。」なんて呟いていて、「やり過ぎなきゃいいですけど。」とマリが返している。


 イーネが言う。

 

「…………勝手にテメェの憧れになんかしてんじゃねぇよ。反吐が出る。…ヒーローだぁ?その臭ぇ口閉じて母親の腹んなか戻って死んでこい。核師も能力も戦争も。テメェを着飾るビーズのおもちゃじゃねぇんだよ。」

 

 ケイトは怒りのこもるイーネの声に驚いていた。

 

 ドサッ

 

 イーネはそのまま、ケイトを床に投げ捨てる。


 ケイトは驚いた表情のまま、イーネを見上げた。


 イーネが言う。

 

「自分の行動原理を責任転嫁してる無能が。一己(いっこ)以下のゴミカスだと理解してから喋れやカス。」

 

「…………。」

 

 ケイトは呆気にとられているようだった。


 マリが緊張感のある2人に声をかける。

 

「イーネ。そこまでにしなさいよ。これから任務よ?」

 

「そこのドブネズミに言えや。」

 

(暫くケイト君。ドブネズミって呼ばれるわね…。)

 

 するとケイトはゆっくりと立ち上がると、イーネと向かい直った。

 

 マリは不安そうな表情で。ユウトは少し面白そうな表情で。イーネは不快感をあらわにした表情でそれを見ている。


 ケイトの眼は、何故か、先ほどよりも力強い眼差しになっている様に感じた。


 ケイトが言う。

 

「すみません。俺が間違ってました…。」

 

 ケイトが続ける。

 

「俺、貴方に、俺のこと認めてもらうまで諦めません。頑張ります!……そして……。いつかは貴方を超えてみせます!」

 

 ユウトが茶化すように「成長系主人公だね!」なんて言っている。


 イーネの表情は徐々に怒りに満ちていた。

 

「こ……いつ……。(ころ)っ………!」

 

「ストーップ!!イーネ!!」

 

 ケイトとイーネの間に、マリが体を入れて割って入った。


 それで踏みとどまったイーネが「ちっ。」と舌打ちをする。


 マリが言う。

 

「2人とも!もぉいいから!はいはい!任務!移動移動!わかった?!ケイト君は初めての任務でしょ?!ワクワクするのは分かるけど、ちょっと落ち着いて!分かった?!」

 

 マリの声に、なぜかユウトが「はーい。」と返事し、ケイトは「は、はい!すみません!」と言葉を返す。イーネは黙ったまま。


 そんな状態で、新人ケイトを新たに。4人は任務地へと向かった。


 マリは、イーネとケイトの間に常に入り込んで壁になる様に気を使かったという。

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