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17-③ 可愛い子には旅をさせよ

 <イーネ・トラヴィス>

 

 ドドドドッ

 ガッ ガッ ガッ

 

 肉の塊から無尽蔵に生み出される攻撃を、ただひたすらに回避する。

 

「いつまでやるのかなぁ?!!」

 

 ラスターが見下ろしながら叫んだ。


 トラヴィスは回避しながらカウンター技で肉の塊をトンファーで削いでいる。が、とても有効的とは思えなかった。


 しかし、トラヴィスの眼差しからは、諦め、手を抜く、そういった様子は見られない。


 終わりの見えない戦いを、ただ今だけを見つめて生き抜いている。


 イーネの攻撃は、肉の塊を削ぐ程の威力は無い。


 ホールの中を自身の能力も使いながら駆け回り、肉の塊の周りをグルグルとまわっていた。

 

 ドドドドドドドドッ

 

(あ。やばっ。)トラヴィス

 

 ドンッ ジュッ

 

 肉の柱がトラヴィスに向かって伸び、トラヴィスを捉えて壁に激突する。


 壁に打ち付けられる衝撃も大きいが、挽き肉のような肉片が熱を持ち、トラヴィスの衣服を焼いて皮膚をも焼く。


(この攻撃は、壁にぶつかってバラバラに弾け飛んで最後は消える!耐えろ!弱まった瞬間に抜け出す!)

 

 そう思考するトラヴィスの心を読んだかのようにラスターが叫んだ。

 

「考えが手に取るように分かるよ!捉えたものを離す訳ないだろ?!チョロチョロ動き回って、時間の無駄なんだよ!!」

 

 肉の塊とラスターは、別の生命体のように見えるが、一部は同化しているようだった。


 肉の塊を完全にコントロールできる訳ではないが、多少はラスターの融通が効くらしい。


 つまり、ラスターの気がトラヴィスに向いた事で、イーネの方には余裕がうまれていた。


 イーネは呟くように言う。

 

現光(げんこう)の女神 知性の泉 ()せた(しば)りの(わず)かな(ほころ)び 借りもの器 減殺(げんさい)(ばつ)を受け入れ (ねが)う。」

 

 イーネは立ち止まり、ラスターと肉の塊に向けて、手を拳銃のようにして示していた。

 

十字絣(じゅうじがすり)。」

  ――。

 

 トラヴィスへの攻撃が止んでいた。トラヴィス腹部から胸、腕の衣服が焼けて無くなり、同じ部位の皮膚が赤黒く焼けてる。


 トラヴィスへの攻撃だけではなく、それ以外の攻撃も止んでいて、静かな時間が流れていた。

 

 グチュ

 

 肉の塊は横真っ二つに切断されて、滑る様に僅かにズレていく。


 更にはその中心から、縦に向かって真っ二つに切断されている。


 つまりは、文字通り十字に、ラスターの体がゆっくりと裂けていく。

 

「…………。」

「…………。」

 

 その様子をトラヴィスとイーネは黙って見つめていた。


「どぉぉぉぉしてぇぇぇぇえええ?イーネぇぇ。君の能力の条件は満たせないはずだぁぁぁああ。何をしたのぉぉぉおおおお?」

 

「………………クソ……。」イーネ

 

 体が分断されたままの状態でラスターは話し出す。


 裂けた部分は、肉の塊が盛り上がって不自然に繋がっていく。それだけでなく、肉の塊はラスターを徐々に飲み込んでいた。


 ラスターが言う。

 

「やあぁぁああっぱりぃぃぃいい。君は普段、仮初の力をつかってるんだねぇぇええ。教えてよぉぉ。」

 

 ダダダッ ダダッ

 

 ラスターの背後から、肉の塊を駆け上がってトラヴィスが来ていた。

 

 ゴンッ

 

 トラヴィスがラスターの頭部に向かって全力でトンファーを振い、鈍い音が響く。


 ラスターの頭部が一回転し、背後にいたトラヴィスを睨みつける。

 

「うざいなぁ!!タカトぉぉおお!!!」

 

 シュンッ シュンッ

 

 肉の鞭が伸びてトラヴィスに攻撃を仕掛けるが、トラヴィスはヒラヒラと避け切って、再び、肉の塊とラスターから距離を取る。


 肉の塊はボコボコと変形し、まるでその大きさをラスターの体の中に収めようとしているように見える。が、この大量のゴミの様な挽き肉が収まるはずもなく、ラスター自身が歪な何かに変わり果てた様な姿になっていた。


 トラヴィスが言う。

 

「こりゃ。もぉ人じゃないな。これは……。」

 

 [グチュグチュグチュ]

 

「ジャンクだ。」トラヴィス


 ラスターの体に無理に収まったゴミの塊は、ラスターの体を変形させて、まるで筋肉隆々の別の誰かにしてしまったようだった。


 全体的に体が肥大しているが、胴体に対する手足の長さなどは比例しておらずアンバランス。ラスターの皮膚はゴミのような色に変わり、体のパーツそれぞれが、ボコボコと大きくなったり小さくなったを繰り返していた。

 

 「ここここ、個の強さ…………。ななな何てものには……。げげげ、げんか、げんか、限界が……。あるんだよよよよよ。……強きは、しゅしゅしゅしゅ集団、さささ。僕は、僕ぼくぼくは……。個では、ななな、無くなったんだ……。そそそそれは……。むむむ、無限の……。つつ、強さ……。」

 

 顔もボコボコと膨らんでは縮むため、まともに話すこともままならなくなっていた。だが、ラスターの視線はトラヴィスとイーネを捉えたまま、そして最後はハッキリと言った。

 

「殺すっ……!」

 

 ラスターの両手が長く伸び、イーネとトラヴィスを狙う。


 2人は簡単に回避してみせたが、さっきの無尽蔵な攻撃とは違い、逃げた2人をどこまでも追いかける。


 トラヴィスが言う。

 

「俺的には、こっちのほうが逃げやす!っい!」

 

 グチャッ

 

 トラヴィスが攻撃を回避して、伸びた腕を分断させるようにトンファーで勢いよく叩く。しかし、腕は分断できないどころか、トンファーで叩いた部分から、さらに別の肉の塊がトラヴィスを絡めとるように伸びる。

 

 グチュ ジュッ

 

 トラヴィスに肉の塊が巻つき、皮膚が焼ける。更には、キツく締め付けているようだった。

 

「……っ!トラヴィスっ!」

 ――。

 

 トラヴィスはイーネの能力によって、イーネの真横に転移される。

 

(……能力発動したか……!)

 

「さんきゅ。」

 

 たが、休む間もなく、2人に肉の腕が伸びて来る。

 

 逃げること事態は容易いが、無限に追いかけてくる腕に対して、こちら側の体力が限界を迎えるのが先であろう事に絶望を感じていた。


 ラスターが言う。

 

「むむむむ、無駄。むだ、むだ。なのに。君達じゃじゃじゃじゃ、削りきききれなない。イーネくくく君のの。分断する、ちちち力。ももも、集。集。集。の前では……むむむ無意味。」

 

 グチュ ジュッ

 

 逃げるイーネの腕に肉の塊が巻きついた。


 団服の上からにも関わらず、服と皮膚の焼ける匂いと音がする。更には、絡め取った腕を起点に、イーネの体を飲み込まんと肉の塊が伸びる。

 

「…………っ!…………(つばめ)!」

 

 ――。

 

 イーネの能力が、肉の塊に作用し分断した。


 イーネは腕を引き抜きながら振るうようにして、絡みついた肉の塊を落とす。


 すぐさま肉の塊がイーネに向かって伸びる。


 逃げるしか無い。

 

(……くっそ……。やりすぎたら後からデカいペナルティが来る……!………………後とか、んなもん。今死ぬかもしれねぇのに…………。どうする…………?!…………っ!……………………くっそ!!)

 

 イーネは何かに迷っていた。


 何故かそんな時、欲しい言葉をくれるのはトラヴィスだった。


 トラヴィスが遠くの方から大声で叫ぶ。

 

「イーネ!曲がるなよ!!こーゆー時に残るのはなぁ!!気合いと根性と!自分に立てた誓いだけだ!!!!」

 

「うるっさぁぁいいんだよぉぉぉおおおお!!タカトぉぉおおおおおお!」ラスター

 

「…………………………はは。同感だな。」イーネ


 [グチュグチュグチュ]


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