16-④ 副作用
バンッ
「おお?!何の音?!」
閉めた子供部屋の扉の中から破裂音のようなものがして、トラヴィスは思わず振り返る。
「もぉほっとけ。関わってたら先に進めねぇ。」
イーネとトラヴィスは鉄板で出来た足元を進んで、中央にある大きな業務用のエレベーターに乗り込む。
エレベーターの端には操作できる場所があり、そこに鍵穴もあった。
イーネがテディベアから受け取った鍵を差し込んで回す。
ガコンッ ゴゴゴー
機械音のような音が響く。
まだエレベーターは動き出さない。
「これ、どこに行くんだろうな?!」
トラヴィスはワクワクした表情で言い、それにイーネが答える。
「クマの言ってることが本当なら。目的地だな。」
「目的って何だっけ?」
「…………トラヴィスお前。ここに残れって言ったら残るか?」
「え。嫌だよ。なんて事言うんだよ。引くわぁ。」
「…………だよな。…………一緒に先に進んで、死んだらどーする?お前、戦えないだろ。」
するとトラヴィスは清々しい笑顔で答えた。
「俺は核師だ!戦うぞ?!仲間の為に!」
「…………俺には何言ってんのか分かんねぇよ。」
トラヴィスは笑顔を崩さず話しだした。
「核師ってのはな!誰かの為に戦うって決めた奴らだ!核師になるって決めた時点で篩にかかる。血清適合は下手すりゃ死ぬし、日常生活が危うくなる奴もいる。ジャンクとの戦闘なんて、言わなくても死ぬかもしれねぇ。でも、先頭に立って戦う奴がいる。」
イーネは黙ってトラヴィスの言葉を聞いていた。
「なんで戦う。なんか。そいつによるのかもしれねぇけど、少なくとも俺は先頭に立って戦うぞ?!能力が無くてもな。」
「………………。」
「俺は仲間と一緒に進む。俺が死んだら後は頼む。お前が死んだら俺に任せろ。助けが必要なら助けてやるし、助けて貰う!」
「…………。」
「そーゆーもんだろ!戦いなんて無い方がいいに決まってる!けど、戦う必要があるなら、他の奴じゃない。俺が行く!」
「……………………そーかよ。」
ゴォンッ ゴゴゴー
イーネとトラヴィスの乗るエレベーターがゆっくりと上昇しだした。
――――――――――
<マリstory>
「えぇ?!家に帰るのぉ?!」
お洒落なカフェを出て少し開けた場所でマリとトラヴィスは立ち止まっていた。
マリが言う。
「昨日、今日で少し疲れちゃって。ごめんなさい。」
「いやー。仕方ないけどさぁ。マリさんと行きたい所あったんだけどなぁ。残念。帰り道。分かる?」
「うん。大丈夫だと思う。タトは家に戻らないの?」
「ちょっとそこに用事あってねぇ。ボルドーには会った?」
「あ。いや。まだ。」
「あーそっか……。ま。いつかは会うと思うからいっか。」
そんな流れで、タトラスとはカフェの前でお別れとなり、マリは1人、マシロ達のアジトに戻る。
洞窟のような階段を登り、家の中に入ると。
「…………誰もいない。」
家には誰1人として居ないようで、しんと静まり返っている。
(…………これでも私って、マシロさん達からしたら、敵側のスパイみたいなものなのに……。私に監視をつけるとか、行動を制限するとか。何にもしないのね……。)
マリは少し呆気に取られながら、ここぞとばかりに家の中を探ることにする。マリには一つ目的があった。
(課長室からここに繋がる出入り口があった。…………分からないけど……。ここから、"みんながいる場所"に繋がる出入り口"もあったりして……。)
マリは広い家の中を1人歩く。




