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15-② それぞれの相手

 <ナユタ・ニコ>

 

「うぅわぁぁぁあああああ!!!!」ナユタ

 

  ズザザザザザッ ガチャンッ

 

「いいったぁぁぁいいい!!」ナユタ

 

 ナユタとニコが滑った先はスクラップ置き場のような場所で、ゴミの山に勢いよく突っ込んで大きな音がする。

 

「いたたた……。もぉ。やだ。なんなの……。」ナユタ

 

 ナユタとニコはゴミの山から這い出て立ち上がり、辺りを見渡す。


 広い四角い部屋に鉄屑が山の様に積まれていて、ダクトの様な所から、鉄屑の山のてっぺんに放り出されたようだった。


 滑る様に鉄屑の山から降りると、床も全て鉄屑で埋まってはいるが、部屋から出られそうな両引き戸が見える。

 

「『早く出ないと部屋自体が小さくなって死ぬ。』とかやめてくれる?!想像しないで!映像も流れてくるから!」

 

「『ここら出ても、ここよりも更に過酷なデスゲームが……。』とか!もーやめてってば!なんで楽しそうなの?!」

 

「わくわくしないよ!ロールプレイングゲームとか、殆どやったことないから!僕!」

 

「………………まぁ。とにかく。ここにいても…………うん。うん。………………うん。そうだね…………。」

 

 ナユタしか話してないが、ちゃんと会話は成立していて、ナユタとニコは暫く立ち止まって真剣な相談をする。

 

「うん……。うん……。そーだね。まずは合流したいよね。」

 

 心と言葉で会話した後、2人はこの部屋から出られそうな両引き戸に向き直る。

 

「そうだね。いこう。」

 

 2人が引き戸に向かって歩き出した時だった。

 

 ガララララ

 ガララララ ピシャ

 

 2人が向かうよりも先に扉は開いて、後ろで手閉じられた。

 

「オマエラ核師。ア、ア。ゲン種。マシロ様。為ニ。」

 

「………………君は……。」

 

 それはナユタにとって見覚えのある巨大だった。


 筋肉隆々の体。極端な猫背。膝までのボロボロのズボン。体の中心は浅黒い肌く、脇腹や肩、手足の皮膚が黒い。フランケンシュタインのような顔。

 

「オマエラ。タオス。マシロ様ノ。役ニタツ。」

 

 2人は静かに構える。


 ニコは戦闘用の特殊なヘッドセットマイクを装着する。両耳にかけたベッドセットは耳の所が高性能のスピーカーなっており、マイクは口元まで伸びている。


 ナユタは対のトンファーを構えて言う。

 

「『あいつ誰?』って報告にあったでしょ?……え?知らないの?。…………イーネと初めて任務を一緒にした時に襲ってきたんだよ……。え?『面識?』……ってゆーのかな……?まぁ、会うのは二度目だよ。」

 

 大男は近くのスクラップのゴミの中に手を突っ込んでゴソゴソと漁りはじめる。


 そして、中から何かを引っ張り出す。

 

 ギィィィッ

 

 何故ここにあるかは分からないが、男が漁り出したそれは、グランドピアノ。

 

「嘘でしょ。」ナユタ

 

 男は片手で振りかぶる。ニコが大きく息を吸う。

 

 ガッシャーーンッ

 

 男がグランドピアノを投げつけてきたのを左右それぞれに回避し、ニコが歌いはじめる。


 人間が敵の場合のそれは、強力なデバフ。

 

 『----♪♪-----♪--♪!』

 

 ニコの能力に影響されたナユタは思わず地面に片膝をついた。

 

(不快感!体にのしかかるこの重さ!!…………分かっててもきつい…………!でも、それは相手も同じの…………。)

 

 ドガンッ

 

 大男の右の拳をナユタがかわし、地面に当たった敵の攻撃はスクラップを粉々に砕いて、破片が周囲に飛び散る。

 

(ニコの歌を聞いてそんなすぐ動けるか?!……!…………………………これ……は……。)

 

 ガチンッ

 

 大男はナユタに追撃の左の拳を入れようとしたが、長い鉄パイプを持ったニコがそれを阻止する。更に

 

 ガンッ

 

 体をくるりと反転させたニコが大男の脳天に踵落としを入れる。が。あまり効いている様子は無く、大男が腕を振るったタイミングでニコは器用に大男から距離をとった。


 大男が言う。

 

「サッキ。カラ。何イッテンダ。ワカラナイ。」

 

(…………やっぱりそうか……。)

 

 ナユタがニコに声をかける。

 

「ニコ!歌!ストップ!」

 

『--♪♪--♪--…………?。』

 

 ニコが歌声をやめる。


 大男はこちらを気にせず、ガサゴソとスクラップの中を両手で漁り出した。


 ナユタが言う。

 

「デバフ効果の曲じゃなくて!バフ効果の曲でいい!」

 

『…………?。』

 

「あいつに、ニコの力は効いてないんだ。…………彼には、音楽の概念が無い……。今まで触れたこともないんだ……。ニコの歌を歌だと認識してない。そして、歌だと認識されなければ、ニコの能力は効果を発揮しないらしい……。」

 

『…………。』

 

「うん。だからある意味おもいっきりやれるよ。ニコの能力でニコも僕も身体能力を底上げして、短期決戦で…………い…………こ…………う……。」

 

 ガララララ

 

 大男はスクラップの中から大きな獲物を片手に一つずつ取り出す。


 それはまるで、大男の為に準備されていたかのような。


 巨大な斧。


 その斧はまがまがしい雰囲気を放つ。

 

「タンキ?……タンキ……ハ。良クナイ。仲良ク。シヨウ?」

 

「………………。そんなもの、持って言われてもね……。」

 

 ナユタとニコも構え直す。


 大男は両手に持つ斧を高く上げた。ニコが大きく息を吸う。

 

『---♪♪--♪♪------♪♪♪!』

 ドォォオオオオンッ

 

 こちらの戦いも始まったばかり。

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