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14-③ 秘密にしたいこと

 時を同じくしてタイヨウ達、動物霊園組。


 アルバラに足止めをくらい、それぞれが暇な時間を持て余していた。その時。


 ユウト、ナユタ、ニコ、ベリー、アルバラの足元に、黒い歪みが現れ、それぞれの体をズルズルと引き込み始めた。


 ナユタが声をあげる。

 

「なになになに?!なんなのこれ!!」

 

 次にユウトが言う。

 

「これ……。どこかで……。マシロの襲撃の時?……。」

 

 そしてベリーが不服そうな声を上げる。

 

「ちょっとなに……。寝てたんだけど……。どーゆーこと?」

 

 そんな中、タイヨウだけが歪みに飲み込まれておらず、自分以外の全員が黒い歪みに消えていくのを見て、大きな声をあげる。

 

「なに?!どしてん!お前ら!!え?まって。なんで俺だけ仲間はずれ?!ええ?!むしろズルい!こーゆー状況でハミゴってある?!!」

 

 丸まって寝ていたアルバラは、面倒くさそうに片目を開けて言った。

 

『マシロのやつめ……。何を焦っているのやら……。』

 

 そうして、タイヨウを除いた全員が、黒い歪みに飲み込まれて姿を消した。


 ――――――――

 歪みに飲み込まれた全員が、一箇所に転送されたようだった。

 

 そこは、無機質なコンクリート打ちっぱなしの、正方形の部屋の中。


 窓も扉もない広い空間の片隅に、時代遅れなブラウン管テレビが一台横倒しになって転がっている。

 

 そこに、黒い歪みを通して、イーネ、アエツ、トラヴィス、レン、ユウト、ナユタ、ベリー、ニコ、アルバラ。8人と1匹が姿を現した。


 アルバラは転送されるやいなや、小型犬くらいのサイズにスルスルすると小さくなる。

 

 トラヴィスが大きな声を出す。

 

「ああ!ユウト!ナユタ!ベリー!ニコ!アルバラー!!」

 

 次にユウトが言う。

 

「え?レン君いるんですか?完全に巻き込まれてません?それ。」

 

 それにレンが答える。

 

「巻き込まれてますよ。完全に。」

 

 次にベリーが言う。

 

「あれ?マリは?」

 

 それにはトラヴィスが答える。

 

「マリはね!敵のスパイやってる!!」

 

「はぁ?なに。それ。」ベリー

 

 次にアエツが口を開く。

 

「なに?!ここは?!どこ?!……とか言わないあたり!凄い頼もしい仲間達だな!あははは!」

 

 アエツがそういった直後に、その言葉が聞こえてなかったであろうナユタが声をあげた。

 

「何?!ここどこ?!なんなの?!どーなってるの?!!」

 

 次にニコがタブレットを使って話す。

 

『絶対に敵のアジトだよ!ここから始まるデスゲーム!』

 

「ええ?!ででででデスゲーム?!」ナユタ

 

 すると、プツンという音と共にブラウン管テレビの電源が勝手につくと、砂嵐の中にラスターの顔らしきものが映り、ラスターの声もテレビから聞こえてくる。

 

『やっぱりなぁ。来ちゃったんだね。マシロ様だろ?……もぉ。僕にも準備ってのがあるのにさ。』

 

 テレビの中のラスターに向かって言葉を返したのはイーネだった。

 

「よぉ。主人に見放された落ちぶれ研究者。」

 

 テレビの中のラスターが言う。

 

『部下に仕事を振ってるだけだよ。君の言葉は棘があるなぁ。』

 

 そこに、今の雰囲気に似つかわしくない元気な声でトラヴィスが口を挟む。

 

「なぁ!ラスター!ここどこ!」


 それに、陽気な調子でラスターが答えた。

 

『あ。そうそう。トラヴィス・ゼイリー・アッシュカスター君。いいことを聞いてくれたね。…………有名な建築家、ピ・チティモ。って人を知ってるかな?』


「しらねぇ!」トラヴィス

 

『代表的なのは水の都アトランティア。その殆どの建築に関わっていることで有名だ。』


 ラスターの言葉を聞いて、ユウトは何故かコソコソとイーネに質問している。

 

「イーネ知ってる?」

 

「…………知ってるよ。何で知らねぇんだよ。」イーネ

 

 そのやり取りには触れず、ラスターが言葉を続ける。

 

『彼はね。世間には知られてないが、君たちのいう始祖幻種。マシロ様達と同じ同胞。』

 

 また、ユウトがイーネに聞いている。

 

「イーネ知ってた?」

 

「知る訳ねぇだろ。何でいちいち俺に聞くんだよ……。」イーネ

 

『彼の能力は、"不思議の国"と言われてたらしい。表向きには天才建築家。裏では、彼のギミック盛りだくさんの、可笑しな建築をしていた。そしてここは、彼が晩年に手がけた場所。……結局、彼が生きているうちに完成することはなく、中途半端な状態のまま放置された、世にも可笑しなタワーだよ。』

 

 するとニコが、テンションが上がっているであろう表情で、いつもと変わらないタブレットの自動音声で言う。

 

『やっぱリ!このタワーを攻略してボスを倒しに行くロープレってことダ!!』

 

「何でテンションあがってんだよ……。」イーネ

 

「めんどくさいなぁ。」ユウト

 

「よーし!まってろよー!ラスター!」トラヴィス

 

「お前は戦えねぇだろ。」イーネ


 すると、テレビからクスクスと笑うラスター声がきこる。

 

『ふふふ。君達は本当に見てて飽きないね。頭のネジがぶっとんでて。』

 

「ん?!今の褒められたのか?!けなされたのか?!」アエツ

 

 またラスターが言う。


 モニターの中で、不気味な笑みを浮かべて。

 

『まぁ。さっきも言ったけど、僕も把握してないギミックが沢山あるんだ。だから……。…………充分、足元には気をつけてね。』

 

 ガコン

 

 全面の床が無くなり、落ちる。


 さらには、全員が同じ場所に落ちている訳では無いようで、落ちた瞬間に互いの姿が見えなくなった。


 落ちた先は滑り台で、全員が凄い勢いで滑っていく。



 <イーネ・トラヴィス>

「うぅぅぅうううおおおおお!!すっげぇー!じぇっとこーすたー!!!!」トラヴィス

(何で、あの馬鹿に俺の力が発動しない?!)イーネ

「おい!トラヴィスてめぇ!何かしてんだろ!!」イーネ

「え?!何がぁ?!」トラヴィス

 体重差のせいか、トラヴィスの方が勢いよく滑っていく。その後をイーネが追いかける様な形で滑り、トラヴィスだけをほっておく訳にはいかず、なすがまま、下へ下へと落ちていく。



 <アエツ・ベリー・アルバラ>

「きゃぁああああ!!」ベリー

「お嬢さん!大丈夫かぁ?!」アエツ

「無理!服汚れる!!」ベリー

「あ。そこ?!」アエツ

『よりにもよってこやつらとか……。』アルバラ

 タイミングの問題か、ベリーを先頭にアエツ、アルバラの順で滑っていく。



 <ナユタ・ニコ>

「いいいやぁぁあああああ!!なに!なに!なに!こわいぃぃぃぃ!!」ナユタ

「………………!」ニコ

「『デスゲームの開幕だぁ!このまま落下死もあるかもぉ!』じゃないよ!なに!何でそんなハイテンションでいれる訳?!!ニコが怖いよ!!僕!」

 ニコ、ナユタの順で滑っていき、タブレットが無くてもナユタの心を読む力で会話が成立しながら落ちていく。



 <ユウト・レン>

「………………。結構長いね。」ユウト

(千里眼。)レン

 勢いよく滑っているが、2人とも大したリアクションもなく落ちていく。ただ、能力を使って少し先を見通したレンが言う。

「まずいですよ……。この先落ちます。僅かに手が掛けられそうな突起がありますが……。」レン

「長物でスピードを殺して、意地でも掴む。それしかないね。」ユウト

 レンは鞘に入ったままの日本刀を構え、ユウトはコートの中からカバーに入ったままのナイフを取り出し、2人とも地面に突き刺して摩擦抵抗でスピード殺しながら落ちていく。

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