表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/134

25-⑥ 首輪

 ぎょぉぉぉぉおおおえええええええっ

 

 2トントラック程の大きさ。


 簡単に言い表せばカメレオンの様な姿。


 しかし、極端に痩せているのか、そういう生命体なのか分からないが、骨に汚い灰色をした皮が張り付いていて、ミイラのような姿をしている。


 飛び出た眼球はギョロギョロと周囲を見渡し、大きく裂けた口からはバラバラの方向に生え、何とも食事がしずらそうな無数の牙が見えていた。

 

「何?!これ?!……ジャンク?!なの?!!」ベリー

 

「いや……。ジャンクっていっても、せめて、この世界に居そうな見た目してるわよ?!…………こんなの……。」ポッツォ

 

 魔物。そう名付けるのが正しい姿をしていた。


 ぎょぉぉぉぉおおおえええええええっ

 ガガガッ

 

 魔物がメンバーに突っ込んでバルコニーが大破する轟音が響く。


 ポッツォの腰から生えたイカの足が伸縮し、仲間達を抱えて攻撃を回避した。


 ―組織種の"獣化現象"によって、体に形質的に存在している、触手や牙といった部位を扱う際ことに関しては、能力使用履歴としてハーネスに残らない。ただし、ハーネスの着用によって、ポッツォの場合であれば、怪力といった力の強さは半減している。―


 ジーベルは既に、イージスから支給されたカメラを魔物に向けて撮影していた。


 ジーベルが叫ぶ。

 

「第2、第3ユニットで避難誘導!!第4ユニットで対象の討伐!!俺はすぐにイージスに能力使用許可の申請にいく!!!」

 

 ユウトは冷静な様子のままジーベルに聞く。

 

「武器庫にありますよね?」

 

「核師用の"試作品"もまとめてそこだ……!」ジーベル

 

「ダリオさん。ここ頼みました。」ユウト

 

「OK。Mr.ユウト。周囲の討伐を頼むよ。少しばかり、団員の采配などに回るからね。」ダリオ

 

 会話が終わった瞬間に、ユウトは屋上近い場所にある、このバルコニーから飛び降りた。アルバラを抱えたまま。

 

「ユウトのやつ……!うそでしょ?……!」ベリー

 

「ベリー。ニコ。ナユタ。行くわよ……!」ポッツォ

 

 ポッツォの言葉で、ダリオを残して他のメンバーはこの場を後にする。

 

 ぎょぉぉぉぉおおおえええええええっ

 

 魔物がダリオを捉える。

 

 ダリオの前腕には手首から肘のあたりにかけて縦一直線に深い溝が存在している。それがダリオの形質的変化。


 ダリオの団服はそれに合わせて腕の部分に切れ込みが入っている。


 ダリオは左腕の溝に、右手の親指の第一関節のあたりまで入れ、溝の中をなぞるように触る。

 

「運が悪いね。僕は組織種の核師だ。」

 

 ザクッ

 ぎょぉぉぉぉおおおえええええええっ

 

 魔物の片目が潰れる。

 

 ダリオの左前腕の溝からは液体金属のようなものが流れ出し、重力に従って半円状に垂れた状態で固まっていた。


 それは鋭利なナイフのように、赤黒く、鈍く光っている。

 

「早く倒していかないとね。にしても、能力無しに加えて、この倦怠感。中々な足枷だね。」

 

 ぎょぉぉぉぉおおおえええええええっ

 

 ダリオと空から降って来た魔物が対峙する。


 ――――――――――――――――

『貴様……。両手を使わなければあの場から降りられなかったのなら、私を抱えて飛び降りるな……!途中でおほりなげよって…………!!』

 

 核のコントロールの修行を経たユウトの身体能力は更に向上し、垂直の壁を僅かな突起を頼りに、滑るように地上に降りて武器庫に向かっていた。


 走るユウトの横を、超大型犬くらいのサイズになったアルバラが並走する。


 ユウトが言う。

 

「ついてきてくれるってことは、手伝ってくれるわけ?」

 

 それにアルバラが答える。

 

『ほざけ。お前達の仲良しごっこに入った覚えなどない。』

 

「だよね。」

 

 そこに「きゃぁぁあああ!!」「うわぁぁあああ!!」といった、一般の社員の悲鳴が聞こえる。


 それを聞いたユウトが苦い顔をする。

 

(…………焦るな…………!武器がないと話しにならない……!)

 

『…あれは、この世の物ではない。』

 

「……なに?なんの話し?」

 

 すると、走るユウトのもとを離れてアルバラは悲鳴のした方向に進み出した。


 アルバラの背に向かってユウトが叫ぶ。

 

「助けてくれるわけ?!!」

 

『黙れ。私も興味があるだけだ。』

 

 ユウトとアルバラ。互いにスピードを出して駆けている。あっという間にバラバラになり、ユウト1人が武器庫についた。


 核師の社員証で武器庫をあける。

 

 ピピッ

 

 急拵えの倉庫の中には、バレンシア軍から支援された武器が並ぶ。


 今は乱雑な状態だが、暫くすれば整理され、セキュリティも強化されるだろう。


 むしろ今は、急拵えの状態で助かったともいえた。

 

 その中から、ユウトは核師用にジーベルが開発途中のベルトを掴む。


 幅は5センチ程度。長さは2メートルはある真っ黒いベルト。その片側を腰のベルトに繋げ、反対側は手に持ち、直感を頼りに多種多様な武器を手に取ると、その黒いベルトの内側に"くっつけて"いく。


 ユウトはジーベルの言葉を思い出していた。

 

 '僕の開発中の"スタックベルト"!ベルトを横軸に縦に武器を接着させると、どんな重たい物でもこの通り!!さらに、回転させるように捻り切るイメージで武器を回せば簡単に外せる!凄いだろう!!ま。接着面が武器以外の物質……壁とかね。そーゆーのにくっついたら大変だし、そもそも、そんな大量に武器くっつけて、その重さなりバランスなり何なり、捌ける人間いないだろ。ってのと。あと、接着面どうしがくっついた時点で二度と外せなくなって、製作費の割に一発でおじゃんだから。まだまだ夢のような武器だけど、ロマンはあるだろう?!!'

 

 ユウトは、そのスタックベルトの接着面に隙間なく武器をくっつけ、軽々とした足取りで化け物の討伐に向かう。

 

(……武器を取って露わになった接着面は、接着面どおしを合しておいたら、煩わしくないってことだ。使えそう。)


 ――――――――――

 <マリ,story>

 

「まぁぁぁりぃぃぃいいいい!!大変!大変なの!!たすけてぇぇえええええ!!」

 

 オープンキッチンのある場所にマリが来た途端に、ラランがマリに泣きながら縋り付いてきた。


 マリが戸惑いながら言葉を返す。

 

「ちょ……。どうしたの。ララン。」

 

「が、が、が、…………が、ガド様が………………!ふ、…………不機嫌なのよ……………………!!!」

 

 そう言われてオープンキッチンの方を見ると、ガドはカウンターにつまらなさそうに片腕を枕にしながら上半身を預けていた。


 ラランが言葉を続ける。

 

「こ、こんなこと…………!!今まであったかなかったかの!!…………大事件、っ…………!!!!」

 

「………………。………………そう?」

 

「そうよっ!!」

 

(…………ガドさんの事になるとポンコツだからな……。この人……。確かに表情は明るくないけど…………。不機嫌?なの…………?)

 

 すると、オープンキッチンの中からライナックスが、ガドに言葉をかけている。

 

「…………何か、飲み物でもつくりましょうか?」

 

 それにガドが姿勢を変えずに返す。

 

「うーん。じゃあ、紅茶とかがいい。」

 

「用意しますね。」

 

 そこにラランから離れたマリが、ガドの横のカウンターに腰掛け、声をかける。


 ラランは、少し距離を取った場所から不審者のように、その様子を眺めるようだった。

 

「……ガドさん……。何か。ありました?」

 

「いんやぁ。」

 

「…………。」

 

 気まずくはない沈黙が流れる。


 今度はガドから話す。

 

「マリ。助けにいくなら行っていいよー?」

 

「……助けに?何の話ですか?」

 

「襲われてるよ。たいようかんぱにー。」

 

「………………何にですか?」

 

「宇宙人。」

 

「…………。」

 

 マリが答えないでいると、ガドが言葉を続ける。

 

「片道切符で雑魚送ってきやがった。今まで一度もこんなこと無かったのに。」

 

 ガドにしては棘のある言い方だと、マリは感じていた。


 マリが聞く。

 

「ガドさんなら、その……。ガドさんが行きたい世界ってへの……裏技みたいなの使って、ひゅって行けちゃったり……。しないんですか?」

 

 そこにライナックスが紅茶を運び、姿勢を直したガドが紅茶に口をつけながら答える。

 

「ひゅ……。は。無理かな。…………まぁ、裏技…………みたいなのは無いこともないけど。」

 

「それは使わないんですか?」

 

「絶っっっっっっっっっ対。嫌。!」

 

「…………そんな顔して言わなくても……。」

 

 それこそ、明らかに不機嫌そうな顔をしてガドは答えた。


 マリが話しを戻して言う。

 

「……その……。宇宙人に襲われて。皆んな、大変そうですか?」

 

「大変なんじゃない?首輪つけられたとこでしょ。」

 

「………………でも私……。他人の力をコピーしないと役に立たないですし。」

 

「俺のコピーしていったら?」

 

「…………………………………………………………え?」

 

 マリが驚いてガドを見る。


 ガドは何も気にしてなさそうに紅茶を飲んでいた。


 マリが言う。

 

「敵のボスの力をコピーとか。チート過ぎません?」

 

「え?俺ってマリの敵なの?」

 

「…………いや。分かりませんけど……。………………でも私、イーネとかベリーの力はコピー出来ないんです。多分、ガドさんの力もコピー出来ないと思います。」

 

「そうなの?じゃあコピーできるようにしてあげるし。」

 

「………………………………そんなこと出来るんですか?」

 

「えぇ?多分?やる?」

 

「…………え?」

 

 するとガドはマリの方を向いて、おいでと言わんばかりに両手を広げた。


 少し首を傾けて、マリが噛み付ける様に首筋を露わにして。

 

「ん。」ガド

 

「………………。」

 

 マリは明らかに戸惑いながら、けれども今噛みつけばガドの力について知れる利益が脳裏をよぎる。

 

「…………じゃ…………あ……。」

 

 マリはガドの胸元に片手を添えて。


 ゆっくりと首筋に顔を近づける。

 

(…………ちょっと…………ドキドキするんだけど……。)

 

 その時だった。

 

「だっ!!!ダメぇぇええええええええ!!!!」

 

 接近していたマリとガドの間に、ラランが割って入って2人を引き裂く。


 ラランが言う。

 

「ちょちょちょちょ……!!ちょっと!マリ!なななななななななななななな何してんのよぉぉぉおおお!!」

 

「……なんかちょっとドキドキしちゃった。割って入ってくれてよかったかも。」マリ

 

「はぁぁああ?!!ななな何?!何いってんの?!ここここ小娘がっ!!ばばば馬鹿っ!!!」ララン

 

「何でラランの方が顔赤いの?」マリ

 

「は、はぁぁぁああああ?!!て、てかね!!能力のコピーなら、私のコピーすればいいでしょぉおお?!」ララン

 

「え……。いや……。それは……。(歌うたわなきゃだし)いいかな……。」マリ

 

「あんた!今!失礼なこと考えたでしょ?!!!!」ララン

 

「あははっ。」ガド

 

 ここでは平和な時間が過ぎていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ