第八十五話 再び廃坑へ
アンリ達は王都マリエスブール南方の廃坑内部を歩いている。
「……地下は瘴気が濃いな、探知がやりにくい……魔石が取れても長居するのは体に悪そうだ」
リンアルド族の女ハイディはそう呟きながら魔法銃の確認をする。
「レダさん」
アンリの後ろを歩くルーネが隊列背後からの襲撃を警戒をするレダに語りかける。
「後方、問題なし……」
アルラウネの女レダが呟く。
「わたしが紹介した装備の具合はどうかしら?気に入ってくれた?」
「ルーネさん、良いものをありがとう」
「フフフ、気に入ってくれて嬉しいわ……また一緒にどこかへ行きましょう」
「ええ」
「ルーネ、レダといつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
アンリが革製の水筒で水を飲んだ後、ルーネに問いかける。
「レダさんと一緒にカストル東部へ魔獣狩りに行ってたのよ」
「へぇ……成果は?」
「んーそうね、バフォメットを狩れたんだけど、今年は毛皮の供給量が多いとか言われて毛皮はあまり高く売れなかったわ、他の部位は淵術協会に持っていってそれなりには……」
「他に変わったことはなかったか?」
「イル・ド・アルテュールの市街地に王国憲兵と修道騎士が大勢いたわね、賊対策らしいけど、帝国とロザーナ国境で軍事演習でもするんじゃないかって噂もあったわ」
……ゴブリンの女ヴィルジニーが周囲を警戒しながら、先頭を歩いている。
「血の匂いがする……」
ヴィルジニーが呟く。
「あたしには何もわからん、ただ坑道の奥に強い気脈があることはわかる」
ハイディがランタンで坑道を照らしながら呟く。
「……坑道の奥に遺跡があることは知識として知っている……古代帝国時代に中央教会の信徒が隠れ住んでいたとか、当時はこの場所の瘴気は濃くなかったようだが、こんな場所に住んでいたのか……確かに魔女が探知妨害をかけて潜んでいたら探し出すのは困難だ……」




