第八十四話 リヴィエール大司教
ルーベルカイムの教会の主任司祭執務室
「セレス殿、事件の糸口は見つかりましたか?」
白髪の混じった老神父が修道服を着た褐色肌の女に問いかける。
「いえ、なかなか……」
「ここ一か月、王都とルーベルカイムで50人近くの若い女が血を奪われ昏睡状態に陥っています……幸いにも死者はでていませんが……」
「……神父殿、ルーベルカイム市内を巡回しましたが、吸血鬼らしき魔力波長は探知できませんでした」
「隠匿能力に長けているか、市外に隠れているということですか?或いは単独犯ではなく匿ってる者がいると」
「おそらくはそうでしょう」
「……ああ、言い忘れていましたセレス殿、何人かの追加人員が数日後に来るようです……ん?おや……」
木のドアが開き、執務室に年老いた女と金髪の若い女が入ってきた。
「リヴィエール大司教猊下、いらっしゃったのですか?どうしてこの街に?」
セレスが年老いた女大司教に問いかけた……その年老いた女大司教の背後に、丸眼鏡をかけた金髪の黒い修道服をまとった女が影のように立っている。
「カストル東部への視察帰りに寄ったのです」
「猊下、明日、マリエスブールへお帰りに?」
老神父がリヴィエール大司教に尋ねる。
「ええ」
リヴィエール大司教は老神父の問いに答えると、セレスへ顔を向ける。
「吸血鬼討伐の為の修道騎士の追加人員ですが、予定より少し時間がかかります、帝国から荒くれ者の傭兵や賊が流入していて、治安維持の人員をさけないのです」
「わかりました」
「……ああ、そうだ、セレス、彼女を紹介します」
大司教の背後に控えていた眼鏡をかけた金髪の女が歩みでる。
「彼女の名はウルスラ、きっと貴女にとって大きな助けとなるでしょう」
「ウルスラです、多少魔術に心得があります、セリス様よろしくお願い致します」
「セレス、民草を守る天の主の剣の刃たる修道騎士の務めを果たしなさい」
「はい、お任せください、大司教猊下」




