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ホーボー・ホーボー魔導具を巡る冒険  作者: アトアン・グリューゼン


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第九十六話 再遭遇

 白い石棺に腰かけた美女が立ち上がる。女の身体は異様な魔力に包まれている。


「聖槍の魔力は快感というのはこうなのか……」


 美しい女は笑みを浮かべながら、自身の下腹部に手を当て、倒れこんだ黒髪の女魔術師に目をやる。


「最高によかった……今まで生きてきた中で最高の気分だ……はは」


「ザルトさん、早く仕事を終わらせましょう」


 何処かで聞いたことのある女の声が地底湖に響く。


「……その声……その魔力は覚えがあるぞ……」


 ハイディが反応する。ヒールの音が反響する。


「また会いましたね」


 黒いヴェールを被った吸血鬼カサンドラが暗闇の中から姿を現した。


「ザルトさん、お願いします」


 金髪の吸血鬼カサンドラが謎の美女に目配せすると、謎の女はアンリに素早く接近し、彼の顔をめがけ鋭い蹴りを放つ。


「くっ!」


 アンリは女の蹴りを足で受け止めるが女の魔力で彼の足が凍りついていく。女はアンリが怯んだ隙に回し蹴りを放ち、アンリを後方へ吹き飛ばす。


「……!手出しは無用ですか」


 アンリを吹き飛ばした謎の美女は前に出ようとした黒いヴェールを被った吸血鬼を手で制止する。


「この身体の力を試したいので、カサンドラさんはしばらく下がっていてください」


「ええ、わかりました」


 そう言いながら女はヴィルジニーとルーネの放った矢とダートを魔力で構成した障壁で受け止める。


「あの女……アンリ、あの女どうだった?」


 ハイディがアンリの凍りついた足に手をかざし、凍結を解除する。


「かなり重い……なんだこいつ」


「気をつけてくれ、それとあの吸血鬼……王都の時より魔力の質が良くなってる」


 地底湖の水が幾本もの剣へと変化し、謎の女とカサンドラに襲いかかる。


「はっ!」


 レダが飛翔する幾本の剣と共に謎の女の首元めがけ鋭い突きを放つ。


「残念」


 女が手をかざし障壁でレダの攻撃を受け止める。吸血鬼カサンドラは宙返りしながら剣を躱し、黒いドレスのスリットから大型拳銃を抜き取る。そして洞穴内に入りこんだ陽光を嫌がるように影へと移動する。


「たぁ!」


 レダは白剣に魔力を込め女の太ももを狙い刺突を仕掛けるが障壁によって阻まれる。女の拳がレダの顔をめがけ放たれ、レダは首をひねりパンチを躱すが冷気で頬の皮膚が凍りつく。


「ちっ、なかなか!」


 レダは少々悔し気な表情を浮かべつつ、頬の霜を払い落とす。謎の女は浮遊しながら、白い石棺の横で倒れている着衣の乱れた女魔術師の上に移動する。


「貴女の身体まだまだ利用させてもらう」


 女の足が倒れた女魔術師の身体に触れると、女魔術師の身体が赤く輝き、赤い霊布へと変化する。


「さあ、私の一部に」

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