其の五: 初戦闘でのハプニング(中)
いや〜さっきは冗談抜きで死ぬかと思った。
ホッとしながら学ランにつく埃をポンポンと叩く。格好つけて地面にブッ刺した大剣に再び手を置いた。横にいる水無はまだ服の埃をはらっているようだ。
ツルギが渾身の力で発動した魔法がこちらに来た時「(あっこれ終わった)」と比喩などで無く本気で思った。いやだってさ、ただの《風魔法・ウインディ》がだしちゃあいけない威力だしてたし。しかもなんなのあれ? ツルギが刀を投げたことによって更に強さが増してたんだけど。完全にあの威力は俺たちの命を刈る気できてたよね。
まあそのお陰で委員長が俺を拘束していた《補助魔法・縛》が解けたのだから、よかったのか?
心底驚きすぎて思わず解いてしまったのか、はたまた流石にまずいと思って解いたのかは分かんねえんだけどな。《補助魔法・縛》が突然解除されたものだから、前方に振りかざしたまま止まっていた大剣の重さで前によろけた。それにより俺の目の前にいた水無を巻き込んでツルギの《風魔法・ウインディ》を偶然避けることができたのだ。
(あの偶然がなかったらマジで俺は死んでたかもな…。ハッまさか)
ツルギはそれを分かってやっていたのか…?
魔法を発動させた時に見せた邪悪な笑み。完全に泣く子も黙る顔をしてたことから、確信してやっているように見えた。まるで俺が必ずや水無と一緒に倒れて、魔法を避けると確信して…!!
(ないな。それはない。)
そう思いかけたが瞬時にそれを否定した。長年の幼馴染でさえこうなのだからツルギは本当に恐ろしい。勘違い的な意味で。おそらく長年の俺の経験からして偶然こうなってしまっただけだろう。勘違い系主人公の底力を舐めたらいけない。奴らは確信犯のふりをしているが、その実お馬鹿というだけなのだから。
外野を見回すと驚いた顔をした生徒たちや委員長が見える。多分こいつらツルギのこと深読みしてやがるんだろうな思った。酷い方向にカッ飛んだ解釈だけはしていないように願う。一度とんでもない誤解をしてた馬鹿のせいで俺は死にかけたからな。
そう考えながらも俺は《補助魔法・フィーリング》でツルギと脳内回線をつないだ。ツルギから心配した声か謝罪の言葉が聞こえる思ったが、そうでもないらしい。いつも通りの呆れた声が聞こえた。まあそれが俺たちだ。馬鹿をやって死にかけたとしても、こうやって普通に会話をしていつも通りにするのが。
「(格好つけてるとこ悪いけど、私達圧倒的に不利なのは変わらないからね? ドヤ顔しても変わらないからね?)」
「(わかってらァ!俺が前に出て水無と戦う。ツルギは俺の補助をしてくれ)」
「(委員長はどうするの? 彼女はサポートタイプ。遥かに私より補助が上手いから、無理だと思うんだけど…何か策が?)」
「(もちろんだ)」
俺はフフンと脳内回線でツルギに笑ってみせる。それを聞いたツルギは「(ッ…マジで?!)」と声を上げた。驚くのは無理もないだろう。だって俺たちはポンコツ中のポンコツ魔剣使いなのだから。
ツルギは剣の腕は平均だが、魔法に関しては全力か一しかだせない。それに対して俺は魔法のコントロールは平均以上だが、剣の腕はてんで駄目なのだから。この学校ではそれなりに注目されてはいるんだけどなあ………ま、完全にはったりのせいだよな!! ぶっちゃけ才能ないです俺たち!
ツルギは俺を見直した、という声色で俺に回線で話しかけてくる。俺はそれに対して神妙な声でこう答えるのだ。俺たちが魔剣使いとして訓練を積んだ中で、もっとも得意とする策の内容を。
「(――全力で避け続けて負けるぞ)」
「(は?)」
ツルギの間抜けな声が脳内に響いた。
♂♀
国立剣城高等学校の魔剣学科一年一組の学級委員長こと土成トモコは安堵のため息を吐く。それと同時に二人の魔剣使いに慄いていた。自身のトレードマークである赤いメガネを右手中指でクイと上げる。
(月城さんのあの攻撃――完全に計算尽くされたものだった。やはりあのペア、侮れない)
実を言うとこの戦いで日向くんの首に水無が刃を当てた瞬間「なんだこんなものか」と思っていた。先手必勝と宣言して何の対策もなしに水無に突っ込んでいく無謀さ。確かに月城さんの膨大な魔力を秘める風魔法と、その風を土台にして飛ぶ日向くんには驚いた。あれはお互いがお互いを信じなければ成立しない高技術を要する技なのだから。
だがそれだけだ。無謀は勇気とは違うのだ。
開始早々になんの対策もなく攻撃したおかげで露見してしまった彼らの魔法属性。先に魔法属性が分かってしまえば不利になることは素人でも知っているのに。又、これでも学年主席たるこの私が――何も考えてないと思っていたのだろうか? それなら片腹痛すぎる。
(だからこそ驚いた。月城さんの攻撃に)
私の魔法で硬直した日向くんに対して水無は彼の首に刃を向けていた。実践なら確実に日向くんは死んでいたのだ。だがこれは実戦などでなくあくまで学生間の戦い。それを彼らは逆手に取った。ああやって月城さんが水無と日向くんに避ける暇もないような攻撃をしかければ、私は術を解かざる負えない。それにより日向くんは動けるようになり、運が良ければ水無は戦闘不能になっていただろう。
彼らがこんな真似をしたのも、こう言いたいからだろう。
これは実戦などではなく、ただの遊びだと。相棒たちが心を通うわせる為に楽しむだけの戦いなのだと。
――私たちの為に。一度私たちの気持ちを上げて落とし、本心を引き出させるために。
(私と水無は仲のいいバディだった)
魔剣使いの適性検査を中学の時にし、その時の学年で同じ適合者だったのが水無だ。私の中学校において、同い年の適合者は水無だけだったから自然と仲良くなった。水無はぶっきらぼうだが中々に面倒見も良い奴で、私たちはよく傍にいた。
だがこの高校への進学を機に水無は私と離れて行ったのだ。正式に相棒になったのにも関わらず。
私は訳が分からなかったし、自分が何かしでかしてしまったのかと焦った。何度水無に問いただしても「俺の問題なんだ」としか言ってくれない。「水無が困っているのなら私も何か手助けたい」とも言ったが水無は苦痛な顔をして黙るだけ。私に頼ろうとしてくれなかった。あんなに一緒だった相棒が離れていく感覚。それは最早恐怖でしかなかった。
そんな落ち込んでいるときに目が入ったのが月城ツルギさんと日向ケンタくんだ。
彼らは今年入学した魔剣学科生の中でも一際目立っていた。だって月城さんは年頃の女の子にしてはあまりに落ち着きすぎていたし、取っつきにくい無表情。その上少し気の弱そうな女の子なんかに体が合った瞬間「ああゴミが付いたな」なんて言ってのけるのだから。正直言って私は彼女のことが大嫌いだったものだ。
方や日向くんは常にニコニコと笑い、愛想がいい。更には美形ときた。それなのにもかかわらず驚くほど献身的に月城さんに尽くし、月城さんの為に行動している。まるで女王に付き従う従者かのように。
(気に食わなかった。月城さんは日向君に対してあんな酷い態度を取っているのに、日向くんは幸せそうにしていることに)
私はなんとか水無に嫌われないようにしようと顔をうかがいながら生きているのに。どうして横暴に
ふるまっている月城さんは日向くんに嫌われてないの? どうしてなの。人の気持ちが分からないような女が、何故。人を見下し、人を人とも思っていない悪役のような彼女なのに。
自分の相棒が自分に答えてくれないから、他の仲のいいペアに嫉妬しているだけなのに私はそんなことを考えていた。そのことに気が付いていながら止められなかった。私は相当嫌気がさしていたのだろう。何もできない自分にも、何も言ってくれない水無にも。そして私はついに月城さんに当たってしまった。性格が悪そうな彼女なら私が何をしても怒られないだろうと思ったからだ。優等生たる私なら大丈夫だと。
(でも月城さんたちはそれに気が付いていた。だからこそ私たちが協力できるような決闘を一緒にしてくれたのだろう)
戦いというのは人の本性がでるものだ。水無が攻撃された時にでた、私の悲鳴のように。月城さんと日向くんはそれに水無に気が付いて欲しかった。だから自分たちを危険にさらすような真似をしてでもあんなことをしでかした。文字通り命を懸けて。水無は一人ではないのだと、抱えている問題を共有する相手がいるのだと、水無に分からせる為に。出会って一か月程度のクラスメートなのにもかかわらず、だ。
それを考えた瞬間、私の顔には自然に笑みが浮かんでいた。レンズ越しに見える特徴的な水色の髪の水無が何故かブレる。―――ああ、私は泣いているのかと気が付いた。自分を心配してくれている人間がいるというのはこんなにも嬉しいものなのか。私の赤い眼鏡を少し上げて涙を拭う。そして魔剣使いたる私の武器のダガーを逆手に持ちながら不敵に笑うのだ。
「さあ月城さん、日向くん。続きを始めましょうか。ね、水無」
「そうだな…。いくぞ、土成」
「ええ」
水無が日向くんに向けて日本刀を振った。
♂♀
水無が俺から見て左下段の構えから右上段の構えで切りかかってくる。それを俺は最低限の動きで左に回避した。次に委員長が補助としてその隙を付くようにダガーを投げてくる。避けようとしたら何時の間にか水無がこちらに向かって切りかかってきやがった! クソッと舌打ちを打つと、俺の傍にいたツルギが俺を引っ張ってくれたので攻撃を回避。ありがとうございますツルギさんんんん!!
「なかなかッ! 当たらないな!」
「まあな!」
「いつになったら反撃してくるつもりだ日向!」
「さてね!」
喋りながら水無はイラついた様子で俺の首を狙って再び切りかかってきやがった。俺は冷や汗を流していることに気が付かれないよう大剣を使って水無の刀を回避する。その横で俺たちに手出しをさせないというように委員長がツルギに対して大量のダガーナイフを投擲する魔法を繰り出していた。それをツルギは俺と同じように日本刀を使ってダガーナイフの嵐を受け流す。
フィーリングを通してツルギから「(無理無理むっりぃ~ど~う~し~ましょ~)」という脳内お花畑な歌が聞こえてきた。相当精神的に来ているらしい。それでも涼しそうな顔をして攻撃を受け流しているように見えるツルギは流石だと思った。伊達に退学したいと嘆いているわけではない。おバカだが。
(ああもうこいつらの攻撃鋭すぎて泣ける!! 避けるの辛すぎ!!)
一瞬が負けになるこの状況に早くも根を上げそうになった。
こんな状況になったのも先ほど俺がツルギにいった「避け続けて負けるぞ」という案の所為である。俺たちは正面真っ向勝負でやりあうのは最早無理だ。普通に戦って時点でジ・エンド。俺の思い描く学園生活とさよならバイバイである。だからこそ思いついた案が…
―――昼休みを越えても切り合って、それに気が付いた先生に中断してもらおう。というものだ。
つまり引き分けにもっていく。
俺たちの魔剣使いとしての能力はお世辞にもいいものではない。だが俺たち二人には共通して他の人よりもずば抜けていいものがある。それは逃げ足の速さと高い回避力だ。それこそが俺たちの活路。唯一の逃げ道というわけだ。かっこよく言っているが魔剣使いとして、人として恥ずかしすぎるがな!
こんなことばれたら「魔剣使いとしてありえない!」などとバッシングを受ける。だから水無に対してニヤリと笑って見せた。なんか適当に煽るようなこと言っておこう。剣筋が鈍ったら最高だ。ゲスイって? そんなの最初から知ってるわ!!
「水無ってばイラついてんな~!」
「ああ?!」
「おお~う。怖い怖いねぇ! 俺に刃が当たらないことに苛立ってちゃあ魔剣使いとしてだめじゃないかな~? それとも水無は他に悩み事があるのかね?」
「ッ!! 何故知ってるんだ日向?!」
(え、図星?適当なこと言ったんだが…ま、ノッとこう)
「ん~わからないとでも思った?だって今の水無の剣にはなあんにも感じないんだからな」
剣とかぶっちゃけよくわからないんで、剣に何か感じるとか全然ありません。でもほら、剣士同士ってさあ漫画とかで「剣と剣で通じ合う」ってのあるじゃん?! そういうものっての一応はこの世界にもあるみたいだから煽るようなこと言っておきます。後、男のロマンだからな!! そんなことを考えつつ剣を避け、愛嬌があって可愛いと女子に評判な笑みを浮かべておく。
それを聞いた水無は苦虫を噛み潰したような表情になった。剣筋がいくらか鈍る。おおおおおお!! いいじゃあないですか!! よしもっと言っておこう。内心でドス黒い笑みを作りながら俺は左脇腹目掛けて来た水無の剣をバッステップの要領で避ける。アニメや漫画でありがちな熱い展開を思い浮かべながら調子に乗って大声で叫んだ。
「君と土成の絆はその程度だったのか?!」
「絆だと?」
「水無と土成のコンビネーションは一朝一夕で到底できるもんじゃなかった!! それはつまり君たちが長年の相棒であり、信頼し合っていたからだ!! なあ、何を恐れている水無!! 何を躊躇っている!! 何を悩んでいる!! 何を考えている!!」
「突然なんなんだ。お前に何が分かる!!」
「そんなもの知らないね!! 君と俺は他人だし、そもそも会ったのも最近だ。分かるはずもない!! だけどな、これだけは言える。今のお前はだめだ。魔剣使いとしても!! 土成の相棒としても!!」
言いきってやったぜヒャッフウ!! こいつに散々攻撃されて鬱憤が溜まってたんだよな!! 水無の事情も何も分かってない俺だが、とりあえず真剣な顔をして叫んでおいた。我ながら最低である。
水無は俺の言葉に目を見開き、次の瞬間には眉をグッと寄せた。完全に苛立っています、という雰囲気を全面に押し出している。剣を扱うものとして一番やってはいけない行為だ。先を見透かしてしまえるような表情をしてしまうなど。水無が荒々しく振り上げた刀の太刀筋は明らかに隙だらけだった。
(まさかのチャンス来たッ!!)
思ってもない棚から牡丹餅に俺はニヤリと笑う。
隙だらけの水無の脇腹に向けて俺は大剣を右から左へ薙ぎ払う!! 俺の背丈ほどある大剣は風を引き裂きながら水無の脇腹へ叩き込まれようとした。
だが水無はハッとした顔になり慌てて日本刀でそれを受け止める。ですよねー!! 不意打ちでも水無みたいな剣の腕だと簡単に受け止められるらしい。泣いた。俺はそれが凄く悔しくて、何か意味があるように口角を上げて見せる。何の意味もないけどな!!
しかしどうやらそれがフラグとなったらしい。
俺の剣を受け止めた水無の頭上にツルギがいた。先ほどまで委員長と戦っていたはずのツルギが。横に視線を流すと委員長が驚愕した表情でこちらに振り返っているのが見えた。「あああああああああ!!」と獣のように叫ぶツルギ。そのまま重力に逆らうようにツルギは水無へと落ちていく。俺はそれを見ながら自然とこう呟いた。何が何だか、何も分かっていないが。
「水無、諦めろ。俺とツルギの絆には勝てやしないさ」
ツルギの刀が照明の光を反射して輝く。そのまま水無へと切り付け…
―――られなかった。
「私たちの絆は…まだ終わっちゃいない!!」
委員長のダガーナイフに絡まる投蔦がツルギの剣へと凄まじい速さで飛びつく。
その蔦を鞭のようにして委員長はツルギの剣に巻きつけていた。それは委員長の魔法属性が『土』であることを示すと同時に、耐久性や防御面で優れる土使いであることを表している。つまり、ツルギはこの蔦を簡単には取れないことも意味していた。蔦を剣に巻きつかれたままツルギは地面に叩きつけられる。
(えええええええええええええ?!?!)
ありかよあんなの!! ツルギの方が早く剣を振り下ろせる感じだったろ今のは!! 土使いは上記で述べたように耐久性や防御面で優れる。だが速さは遅いのだ。それなのにツルギの速さに間に合うとかなんなの委員長!! つーかツルギよ、速さで優れる風使いが土使いに負けんなよ!!
それを見た水無が目を見開く。そして俺と剣を交わらせながら震える声で委員長へと声を出した。おい、俺のこと無視スンナ。俺がその程度だって言いたいのか。その程度の剣客ですけどね!!
「どうして…。お前は俺のこと嫌いだろ…絆は終わってないだなんて言うんだ」
「あんたが何を悩んでるのかも私はわからない。だって水無は何も言ってくれないんだもの。けどね、一度だってあんたのことを嫌いになったことはないし、私たちの絆は終わったと思ってない!!」
「土成…!」
その言葉に苦しそうに、だがどこか嬉しそうに言う水無。それに委員長は真っ直ぐな目で頷いた。
なんだこのヒロインとヒーロー。ちなみにヒロインは水無でヒーローは委員長である。委員長がイケメン過ぎ。こういう主人公いるよな。この役割でいくと悪役は俺とツルギ。似合いすぎて笑うわ!! わうあああああ何なのこれ腹立つ!! 自分で適当にけしかけたことだが腹立つ!! こうなったら避け続けるとかいってられねー!!
怒りと嫉妬心が胸の中で渦巻く。そんな心を抱きながらヨロヨロと立ち上がるツルギにフィーリングで回線を繋いだ。「ツルギ、今のうちに切り込め」と怒りのままに俺は言った。ツルギはめちゃくちゃ嫌がったが何とか説得し、ツルギは走りだす。嫌がっていた割にはノリノリでツルギは俺と刀を交える水無に切りかかり、悪役顔で言ってのけた。
「その絆、私がぶち壊す!!」
「させるか!!」
委員長がダガーナイフに絡まる蔦の鞭を操り、再びツルギに攻撃しようとする。俺は一旦水無を大剣で突き飛ばし、ツルギに迫る蔦を切ろうとした。おそらく薔薇の蔦であろうそれを地面ごと叩ききるッ!!
ガキンッ
「なっ」
「へっ」
「はっ」
「えっ」
薔薇の蔦ごと叩ききった瞬間俺の大剣が音を立てて壊れた。大剣の欠片が衝撃波とともに俺の後方へと飛び散る。そのあり得ない光景に上から俺、ツルギ、水無、委員長が声を上げた。柄だけを残してぶっ壊れた剣を、蔦を叩ききった体制のまま唖然として見つめる。
(はああああああああああああ?!)
俺は本日何度目かわからぬ絶叫を内心で上げた。
ちょ、なんでなんで?! なんで俺の剣壊れてんのォオオオオオオ?! えっ、大剣ってこんなにもろかったっけ?! つーかそんなに俺ってば荒っぽくこの剣使ってたっけ?! ちょ、今壊れるのってあり?! そもそも入学早々から壊れるもんなのこれ?! これ親父から貰ったもんなんだけど…ど、どうすんのこれ?!
困惑しすぎて何も俺は言えなかった。というか何をいったらいいんだ。フルフルと震える俺を見て委員長が「試合終了、かしら」と戸惑った表情で言う。ごめん俺も戸惑ってる。フォロー凄く嬉しいけど心にきます。超つらい。
このあんまりな失態に俺はテンパった。焦りのあまりに俺はいつもの男にしては可愛らしい表情で笑ってみせる。首を傾げたまま柄だけの剣を握りしめて俺は楽しそうな表情で言ってのけのだ。
「まっさかあ! 終わらないよ―――な、ツルギ」
「ああ、その通りだ」
俺のあんまりな話の投げかけに無表情なその顔でうなずいて見せるツルギ。その姿はこのことを予期していたようだった。ありがとうございますツルギ様。フィーリングの脳内会話で「ちょおおおおおお?! 何してんのおおおおお?!」と同じく叫んではいるがな。正直スマンかった。避け続けようといっておきながら攻撃したから罰があたったのかな…。
え、まじでどうしよう。本気で頭を抱えた。