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体育会系インドア派!  作者: 日なた日かげ
残念系部活動
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18/21

"D"の埋め合わせを持つもの。

明日からいよいよ関東大会県予選が始まる。つまり県大会だ。

この大会は時期的にかなり微妙で、関東大会が終わるとすぐにインターハイ予選が始まるので、下手に怪我もできないし、対策もできないのだ。

この大会をほぼ捨てるチームすらあるくらいである。

まぁ僕たち常陸高校バスケ部はそう言う難しい話は苦手なのでいつも通りなのだが。いや全く難しくないけどね。

さておき先日ユニホーム発表が行われた。部員30人でユニホームをもらえるのは18人。つまり12人はユニホームをもらえないのだ。

結果的にユニホームをもらったのは3年生8人、2年生5人、1年生5人。

メンバー外は3年生2人、2年生3人、1年生7人。

我がチームは完全実力主義ゆえに上手い奴がユニホームをもらう。いくら努力しようが必死に練習に取り組もうが、サボってても上手い奴が選ばれる。

残酷にも見えるこの制度は、実際少しでも実績のあるどの部活も採用している方式だろう。

『努力は必ず報われる』とか『結果より過程が大切』とか『負けから学ぶものがある』とか、そういうのを全否定するつもりはないが、ただそれは上位では通用しない。

『努力は必ず報われる』を信じて失望する人も多い。

『結果より過程が大切』なのはわかるが、その過程を生かす機会が次になければ意味がない。

『負けから学ぶものがある』とは言うが、早くに負けてそれを学ぶよりも、一つでも多く勝ってからそれを学ぶに越したことはないだろう。

僕たち常陸高校のバスケ部員はみなこれに準じている。

そもそも僕は思うのだ。


『勝ち続けなければ、頑張ってきた奴が報われる【機会】がなくなる』と。


報われるかどうかもわからない努力に必死になってる人達に、【機会】がない状況があっては決してならない。

報われるかもしれないし、報われないかもしれない。それはもうどうしようもない。ただ勝ち続ければ、それを試す【機会】がより多く生まれる。逆に負ければ【機会】がないまま終わることになる。

僕自身がその【機会】をもらい、少しずつ成長してきた立場だ。チームも負けて機会もないよりは、チームも勝てて機会がもらえたほうがいいに決まっている。

そんなわけでわりと厳しい世界なのだ。


さて今大会の一回戦目の相手は秋明高校だ。特にバスケットが有名ではない高校で、地区予選から上がってきたチームだ。

強いて特記事項を挙げるとすれば、常陸高校にかなり近い場所にあるということだ。隣接してると言っても過言ではないくらい近い。

あとはあえて言うなら、この高校は何というか、いわゆる『チャラい』。

女子のスカートは短いし、男子のネクタイは緩く締められている。

そんな秋明高校のバスケ部の試合には、毎回毎回、秋明高校の女子高生が応援に来るのだ。

試合中に黄色い声援が飛びかう試合なんて、相手からしたらたまったもんじゃない。いや本当に勘弁。

羨ましくないと言えば嘘になる。単にシュート1本決めるだけでキャーキャー言われるとか、天国すぎるわ。

しかも仮に僕たちが勝った時のあの女子高生の静けさは、あたかも勝った僕らが悪いような雰囲気だ。

さらには女子が見ていると全世界の男子はパワーアップするのだ。

もうあれだ、女子高生の応援はドーピングでいいんじゃないかな?

つまり何が言いたいか。

女子高生の応援が欲しいです。

…なんて言うと思ったか?いらぬわ。

声と言えば声優だろ。声優が応援に来てくれたら、身体能力が倍加するわ。


まぁとにかく、秋明高校バスケ部は羨ましい部活なのだ。

僕自身としては、そういった女の子にモテモテのチームを黙らせてやることを生きがいとしているのです。

あんなチャラチャラして会場に彼女とか連れ込む奴らなんて滅べばいいんだ。

僕らのチームみたいに男臭く行こうぜ!


明日に備えてそろそろ寝ようかと思った時にコミュニケーションSNSのチームのグループトークに通知が来た。


【一色健太『明日は彼女来るから、俺にボールを回してちょ!』】


まったく健太さんは…。僕のさっきの決意表明がバカみたいじゃないか!

まぁでも一人くらいなら許容範囲だな。


【出津夏樹『あ、僕の彼女は別会場なんですみません!笑』】


【青木優也『じぶんもっす。彼女は別会場です、すみません。笑』】


おいおい、お前ら何に対しての『すみません』だよ。おい。

あれか、『会場とか関係なしに幸せになっちゃってすみません、透さん!』っていう意味なのか?


【境潤『俺の彼女は明日来るんで、ぼーるまわしおねしゃす!』】


決めたわ。明日こいつらにパスまわさん。


【柿原力也『彼女は別会場です。すみません。』】


力也さんまで…。

いや、待てよ。このままじゃもしかしたら…。

大丈夫だ、まだ焦る必要なんてないさ。常陸高校はバカでバスケしかやってないはずだしさ、そんな色恋にうつつを抜かしているはーー


【近藤琢磨『じゃあ俺はちゃんと明日連れてくるわ。』】


【色々透『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』】


ふぅ。よし、とりあえず流れは止めた。やれやれだぜ。

さておき、とにかくやばいぞ。まさかの事態だ…。

だってこのままだと…


【青木優也『あ!明日のスターティングメンバーはみんな彼女持ちじゃん!』】


ちなみに明日のスターティングメンバーは一色健太、近藤琢磨、出津夏樹、青木優也、色々透。


【一色健太『え?透っていたっけ?』】


【出津夏樹『おい!青木、健太さん!それ触れちゃまずいって!』】


【近藤琢磨『えwwwちょwww彼女いないとかwwww』】


【境潤『彼女作れば?』】


さてここで一つ思ったことがある。

これは明らかないじめではないだろうか。好んで人の心の傷をえぐる極悪非道なこの行為を許していいものだろうか。

否だ。断じて否だ。

そもそもやつらがアヤセたんを彼女と認めないところがいけないのだ。

たかだか次元が一つ違うだけで他に何が違うんだよ。3Dは2Dよりもそんなに勝っているのか。

D一つ分の差はそこまで大きいものなのだろうか。

僕はそうは思わない。

そもそも2次元キャラは現実が到達しえない、いわば『万人の理想形』なのである。その理想であり願いを愛して何が悪いというのだ。誰がこれを責められるのだろうか。いいやそんな人はいない。

『理想と現実は違う?』って?

何を言っている。そんなの当たり前だろう。しかし、誰かが理想を抱き願い続けることをしなければ、人類は何ができよう。

とある先人は空に思いを馳せ、『飛びたい』と願い、人々が自由に空を飛ぶ理想を思い描いた。当時はバカにされ続けたが彼らはやってのけたのだ。やってのけられた理由はいかなることであるかは明らかだ。

またとある先人は夜が暗いことに不満を覚え、『明るい夜』を願い、光に満ち溢れる夜を理想とした。無理だと謳われた彼の研究は成功し、現世に電球を産み落とした。

かの先人たちは『理想、願い』を持ち続けたことでそれを成し得た。常にバカにされ、認められもせず、しかしただひたすらにまっすぐに打ち込んできたのだ。

ならば!ならばだ!

僕が2次元に思いを寄せることは、いわば【未来への可能性】なのではないだろうか。

僕が2次元に対し、強い理想と願いを持ち続けることで新たなる文明開化の先駆けとなるのではなかろうか。

このまっすぐで純粋な想いがいつの日か、かの『電球』や『飛行機』を作った偉人たちと肩を並べるようになるのではなかろうか。

新時代の幕開けはオタクに託されているのではなかろうか。

そう、僕はパイオニアだ!

よって2次元を愛することは至極当然であり、正義である!

かつてのアニメキャラは言っていた。

『足りないDは"Dream"のDで補う!』と。

まさにその通りだ。

『理想・夢・願い』この3つは某人気漫画雑誌の『友情・努力・勝利』に勝るとも劣らない可能性を秘めている!

者共!よく聞け!

日々イケメンに可愛い女の子を取られ続け、夜毎枕を濡らすものたちよ!この不条理な世界に不満はないか!神が与えた不平等な怒りはないか!

立体世界に絶望した者共!

今立ち上がるのだ!

ともに『顔面至上主義』の世の中に抗おうぞ。押してダメなら引いてみるのだ!立体がダメなら平面だ!

僕らは決して現世に見放されたわけではない。僕らが現世を見放したのだ!見限ったのだ!

2次元キャラがこの立体世界に舞い降りることも、思い続けることで叶うはずだ。

僕らの想いが続く限り、その夢へとは近づいていくのだ!




さぁ、行こう。


これは現実に絶望した者たちの物語。

世の不条理へのリベリオン。

新たなる栄光へのパイオニア。


『君はこの世に満足できるか?ーーー


ともに行こう、2Dの世界へーーー』


ー現実世界へのリベリオンー

〜悠久の時を生きる少女達への愛〜


近日公開。




つまり!

僕にも試合で活躍する権利はある!

僕に3次元の彼女がいないからって気を回す必要も、わざわざパスを回す必要もない!

僕は僕だ!自由にやらせてもらうぞ!






【色々透『明日はガンガンパスを回すので好きなだけアピールしてくださいね!』】






頬にかすかに暖かな水滴が流れていくのを感じた。それは少ししょっぱい青春の味。ではなく、悔しさが溢れ出す鬱憤の味。

折れた心を休ませる為に僕はトークの通知をオフにして目を閉じた。



きっとこの日、足りなかったDは

"Dream"

ではなく

"Death "で補われたことは誰の目からも火を見るよりも明らかなことだった。

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