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第三章:死

第三章:死


夜明け前、まだ空が明るくなるより先に、笛の音が鳴った。


一度目は鋭く。


二度目はさらに近く。


三度目が鳴った時には、宿舎の廊下で鉄扉が蹴り開けられる音が響いていた。


「起きろ!」


外から誰かが怒鳴った。


「三十秒以内に廊下へ集合! 着替えが間に合わない奴は下着のまま走れ!」


ミロがベッドから跳ね起きた時、その顔はまるで夢の中から処刑場へ引きずり出されたようだった。


「今なら下城が恋しい」


ロエンは身体を起こしたが、すぐには何も言わなかった。


天井の白い照明が点き、目に痛いほど突き刺さる。窓の外はまだ灰黒く、訓練場には数本の高灯だけが点いていた。湿った地面に落ちる光は、切り分けられた鉄片のようだった。


彼は手を伸ばし、ベッド脇の訓練服を取った。


その服は下城の先駆者が着る古びた外套よりも清潔で、そして硬かった。布地の中には薄い内核皮が縫い込まれていて、身体に貼りつくと冷たく締めつけるような感触があった。


ミロは服を着ながら、小さく悪態をついた。


「三十秒? 人間を元素弾だと思ってるのかよ。詰め込めば発射できるって?」


ロエンは腰帯を締めた。


「早くしろ」


「こういう時に正しいことを言うの、やめてくれない?」


扉の外から、再び怒声が飛んだ。


「二十秒!」


ミロは靴を掴み、危うく左足を右靴に突っ込みかけた。


「正規軍の初日から、人類文明が間違ってることを証明しに来てるな」


ロエンは訓練用の腰帯を背負い、臨時支給された木製の短刀を取って、扉へ向かった。


ミロもようやく靴を履き終え、その後を追った。


廊下にはすでに人が並んでいた。


襟が曲がっている者。腰帯をまだ締めきれていない者。髪が核獣に噛まれた後みたいに乱れている者。白い光は、眠気の抜けきらない顔を一つ残らず照らし、疲労も緊張も隠す場所を奪っていた。


三階の階段口に、名簿を持った教官が一人、冷たい目で彼らを見ていた。


その隣にカレイが立っていた。


深灰色の制服を着て、胸元の徽章が照明を受けて冷たく光っている。昨日と同じように、彼の表情は、今日何人が脱落するのかを最初から知っていて、それでも誰にも同情する気はないようだった。


「全員、下へ」


カレイは言った。


「今すぐだ」


もう誰も文句を言わなかった。


隊列は三階から下へ移動した。


鉄階段が何足もの靴に踏まれ、密集した音を立てる。ロエンは隊列の中ほどで、冷たい手すりに手を添えた。胸の奥の重さは昨夜より薄くなっていたが、それでも完全には晴れない霧のように、身体の深いところに静かに残っていた。


彼はその場所に触れなかった。


一階に降りると、外の冷たい風が直接吹き込んできた。


訓練場では、ほかの宿舎棟の新入隊者たちも集合させられていた。数十人が灰黒い走路のそばに追い立てられ、高灯の下で影を長く引いていた。


カレイが隊列の前に立つ。


「今日から、お前たちの名前はしばらく重要ではない」


彼は全員を見た。


「お前たちは正規軍長期訓練隊の候補生だ。候補というのは、まだ本物の兵として扱われる資格がなく、ただ、死ぬのを少し遅らせる努力だけは許された存在という意味だ」


ミロがロエンの隣で小声で言った。


「ここ、ほんと人の心を奮い立たせるのが上手いな」


ロエンは返事をしなかった。


カレイの視線がちょうどこちらをかすめたように見えた。


ミロは即座に口を閉じた。


「今日の第一項目だ」カレイは言った。「走れ」


誰かが小さく息を呑んだ。


カレイは続ける。


「訓練場を二十周。遅れた者は十周追加。倒れて立てない者は、今日の朝食なし。質問はあるか?」


誰も手を上げなかった。


「いい。少なくともそこまで愚かではないらしい」


笛が鳴った。


隊列が走り出す。


一周目は、まだ全員が隊形を保てた。


二周目で、誰かが息を荒げ始めた。


五周を過ぎると、足音が少しずつ乱れた。冷たく湿った空気が呼吸に裂かれ、喉の奥には錆びた鉄を飲み込んだような風が入ってくる。訓練服の内核皮が身体に貼りつき、汗がすぐに滲み出し、それを冷風が肌へ押し戻した。


ミロは最初、まだ文句を言う余裕があった。


七周目を過ぎると、呼吸だけになった。


九周目で、ようやくもう一言絞り出した。


「ロエン」


「何だ」


「俺が死んだら、俺の元素機銃を持っていけ」


ロエンは前を見たまま言った。


「お前は今、元素機銃を持っていない」


ミロは少し黙った。


「じゃあ、俺の代わりに文句を言ってくれ」


ロエンは言った。


「自分で生きて文句を言え」


ミロは歯を食いしばり、彼について走った。


前方で誰かの足がふらつき、身体が横へ倒れかけた。


地面に倒れる前に、横から伸びた手がその後ろ襟を掴み、力ずくで隊列に引き戻した。


ロエンたちより数歳年上に見える男だった。


肩幅が広く、顔にはまだ寝起きの疲れが残っていたが、手の力は安定していた。彼は倒れかけた者を前へ押し出し、低く言った。


「急いで死ぬな。息を整えてから走れ」


その者は顔を白くしたまま、それでもまた足を踏み出した。


ミロが一目見た。


「あいつも昨日、試験に受かってたよな?」


ロエンは頷いた。


「グレン・ハーヴィ」


ミロは息を切らしながら言った。


「いつ覚えたんだよ」


「名簿で見た」


「そんなものまで見るのか?」


ロエンは答えなかった。


グレンは少し前方を走っていた。一番速く走っているわけではなかったが、後ろの数人を見られる位置をずっと保っていた。誰かの歩幅が乱れるたびに、彼は一度振り返った。まるで、その者があとどれだけ持つかを計算しているようだった。


十三周目、隊列の右側から突然一つの影が加速した。


速すぎた。


ただの全力疾走ではない。身体の方が、他の者より早く地面の位置を理解しているようだった。彼女は隊列の横を抜け、ほとんど足音を立てずに走り、短い髪が風に引き上げられた。訓練服の外側には、他の者とは明らかに違う装具が括りつけられていた。


その装具は腰と脚に沿って固定され、金属の枠には細長い風元素石が嵌め込まれていた。石の表面は灯りの下で淡い青色に光っている。


彼女が三人を抜き、さらに前へ出ようとした時、場外からカレイの声が飛んだ。


「セイラ・ウェンデル!」


少女は止まった。


急停止ではない。身体が最初から止まる場所を知っていたかのように、つま先が地面を捉え、重心が速度を正確に押さえ込んだ。


カレイは彼女を見た。


「俺が言ったのは走れ、だ。見世物をしろとは言っていない」


セイラが振り返った。


その目は静かで、少し不思議そうですらあった。


「走ってます」


「風軌装具を切れ」


「使ってません」


カレイは彼女の腰の装具を睨んだ。


セイラは一度下を見て、まるで今思い出したかのように言った。


「ただ付けているだけです」


カレイは冷たく言った。


「なら、そのまま付けていろ。もう一度隊形からはみ出せば、今日は三十周追加だ」


セイラは彼を見て、しばらくしてからゆっくり隊列へ戻った。


ミロが小声で言った。


「あれを走ってるって言うのか?」


ロエンは、セイラが隊列の横へ戻るのを見た。


「彼女はそう思っている」


ミロは息を吐いた。


「じゃあ彼女の目には、俺たちは散歩してるように見えてるな」


セイラには聞こえていたらしい。


彼女は少し顔を向け、ミロを見た。


「散歩じゃない」


ミロは一瞬止まった。


セイラは付け加えた。


「引きずられてる感じ」


ミロは口を開けた。


ロエンは前を見たまま、淡々と言った。


「当たっている」


「お前ら二人とも嫌いだ」


十五周を過ぎると、嘔吐する者が出始めた。


教官は隊列を止めなかった。


吐いた者は、そのまま走るよう命じられた。吐いて立てなくなった者は場外へ引きずられ、脇の兵士が番号だけ記録し、それ以上見ることはなかった。


走路の反対側では、一人の少女がずっと静かに走っていた。


彼女の速度は速くない。呼吸もセイラのように安定しているわけではない。それでも、最初から一度も乱れなかった。誰かの足取りが変わるたび、彼女は一度見る。誰かが肋骨のあたりを押さえれば、視線がその手に落ちる。誰かの肩が強張れば、わずかに眉を寄せる。


ミロが彼女の隣を通った時、右肩が少し揺れた。


少女が突然言った。


「あなた、左肩より右肩が遅い」


ミロは危うく息を詰まらせた。


「何?」


少女は彼を見ず、走り続けた。


「さっきの十一周目もそうだった。射撃の時、右にずれるはず」


ミロはロエンを見た。


「今の、俺は呪われたのか?」


ロエンは言った。


「観察に近い」


少女はそこで初めて彼らを見た。


「ノラ・イーソン」


ミロは息を切らしながら言った。


「名前は聞いてない」


ノラは言った。


「聞きそうな顔だった」


ミロは言い返せなかった。


十八周目、もう一人が隊列の後ろから追いついてきた。


顔には笑みが残っていた。汗まみれなのに、この苦行が自分とはあまり関係ないような顔をしている。彼はミロの隣まで走ってくると、懐からいつの間に隠していたのか分からない乾糧の半分を取り出し、素早く口に詰め込んだ。


ミロは目を見開いた。


「どこから出した?」


その男は乾糧を口に含んだまま、曖昧な声で答えた。


「昨日の夕食の残り」


「走りながら食うのか?」


「食わないと腹が減る」


ミロは怪物でも見るように彼を見た。


「まだ夜明け前だぞ」


男は当然のように言った。


「だから余計に腹が減る」


ロエンは彼を一度見た。


その男はロエンの視線に気づき、笑った。そして最後の乾糧を口に放り込み、異様に速く飲み込んだ。


「イライ・モーン」


彼は言った。


「君たちも昨日、試験に受かった組だよね。覚えてる。七十一番と七十二番」


ミロはまだ彼の口を見ていた。


「お前、食うの速すぎないか?」


イライは笑って言った。


「遅いとなくなるから」


その言葉は軽かった。


冗談のようだった。


だがその瞬間、ロエンは彼を見た。


イライはもう前を向いていた。顔には相変わらず笑みがあり、先ほどの言葉もただ下城の常識を投げたに過ぎないように見えた。


二十周が終わると、再び笛が鳴った。


多くの者がそのまま膝をついた。


ミロは腰を曲げ、両手を膝につき、壊れたふいごのように息をしていた。


グレンは倒れかけた新入隊者を支え、脇へ座らせた。


ノラは走路の端で呼吸を整えながら、さっき肋骨のあたりを押さえていた者に包帯を一巻き投げた。


イライは地面にしゃがみ、空になった手を見つめていた。どこかに食べ物が出てこないか考えているようだった。


セイラは隊列の横に立っていた。呼吸は他の者よりずっと落ち着いている。


彼女は訓練場の向こう側にある障害架を見上げていた。その目には疲労ではなく、ほんの少しの苛立ちだけがあった。


カレイが彼らの前へ歩いてきた。


「これはただの朝だ」


誰も答えなかった。


「次は格闘」


ミロが顔を上げた。


聞き間違いか確認するような顔だった。


カレイは彼を見た。


「何だ?」


ミロは少し沈黙した。


「いえ」


「よし」


カレイは身を返し、訓練場の中央を指した。


そこにはすでに教官たちが木製短刀、訓練銃、元素弾の空殻、厚い防具を運び込んでいた。


木刀が腕を打った時、ロエンの想像より鈍い音がした。


ぱん、という音ではない。


厚い木が濡れた肉を叩いたような音だった。


ミロは一撃目で肩を打たれ、身体が横に傾いた。


「これ、訓練って呼ぶのか?」


彼は歯を食いしばって言った。


彼らの前に立つ格闘教官は答えなかった。ただ手を上げ、続けろと示した。


ミロは木刀を握り直し、再び構えた。


次の瞬間、肋骨の横を打たれた。


今度の音はさらに鈍かった。


ミロは身体を折り曲げ、朝食を食べていないにもかかわらず、それを吐き出しそうになった。


ロエンは横に立ち、教官の動きを見ていた。


教官の攻撃は速くない。


少なくとも、見えないほどではない。


だが一撃一撃が、最も嫌な場所へ落ちていた。


肩。


肋骨の横。


手首。


膝の外側。


致命傷ではない。


だが平衡を失わせ、手を緩ませ、次の攻撃をさらに入りやすくする。


「分かったか?」


教官が突然問うた。


ロエンが目を上げた。


その言葉は彼に向けられていた。


肋骨を押さえて息をしていたミロも、慌てて顔を上げた。


「待って、なんであいつに聞くんだ? 殴られてるのは俺だぞ」


教官は彼を無視した。


ロエンは教官の木刀を見た。


「彼は退こうとする時、必ず左足から動く」


ミロが固まった。


教官はロエンを見た。


「だから?」


「左側を打てば、自分から当たりに来る」


ミロの表情がゆっくり固まった。


「俺の死に方をそんなに明確に説明しないでくれる?」


教官の口元が、ほとんど見えないほど微かに動いた。


「交代だ」


ロエンが前へ出た。


ミロは一歩下がり、肋骨をさすりながら小声で言った。


「友情って脆いな」


ロエンは木刀を握り、教官の前に立った。


木刀は元素小刀より長く、そして軽かった。手に持っても、元素石の重みや安定感がない。安全で、鈍い。肉を切り裂くことも、燃やすことも、凍らせることもない。


だが教官の手にある木刀は、それでも危険だった。


危険なのは刀ではない。


それを使う者だった。


「攻撃しろ」と教官は言った。


ロエンはすぐには動かなかった。


教官は彼を見た。


「城外の核獣は、お前が考え終えるのを待たない」


ロエンは一歩踏み込み、木刀を右から斜めに振り下ろした。


教官は半歩だけ退いた。


木刀は空を切った。


次の瞬間、ロエンの手首が打たれた。


痛みが手首から前腕へ走り、指が緩みかけた。


彼は放さなかった。


教官の二撃目はもう彼の膝横へ落ちていた。


ロエンは後ろへ退いた。


退きかけて、先ほどミロが打たれた位置を思い出す。


左足から動いてはいけない。


彼は無理やり身体を右側へ少し押し、膝への攻撃を避けた。しかしそのせいで重心が崩れた。


教官が足を出し、軽く引っ掛けた。


ロエンは地面に倒れた。


背中が灰黒い地面にぶつかり、胸から息が押し出された。


彼はまだ明けきらない空を見た。


耳元でミロの声がした。


「ほらな、友情にも一応公平さはある」


ロエンは手をついて起き上がった。


胸の前に沈んでいた重さが、衝撃で少し浮いた。水底に隠れていた何かが石を投げられて動いたようだった。


彼の指が無意識に曲がる。


だが拳にはならなかった。


教官が彼を見下ろした。


「立て」


ロエンは立ち上がった。


「もう一度」


二度目は、三撃もった。


三度目は五撃。


四度目、彼はすぐに攻撃せず、先に教官の肩を見た。


教官の木刀が左下から跳ね上がる。


ロエンは横へ避けた。木刀が訓練服の外側をかすめ、短い摩擦音を立てる。


彼は反手で突いた。


木刀の先が教官の胸前、半寸の位置で止まった。


触れてはいない。


なぜなら、教官の木刀はすでに彼の喉元に当てられていたからだ。


「お前は死んだ」と教官は言った。


ロエンは止まった。


ミロが横で言った。


「でもあんたも死にかけたぞ」


教官は振り返らなかった。


「死にかけた、では意味がない」


彼は木刀を引いた。


「もう一度」


太陽が完全に昇るまでに、ロエンは十七回倒された。


ミロは二十二回だった。


ミロは、余分な五回は教官が自分を狙い撃ちしたからだと言い張った。ロエンは否定も肯定もしなかった。


訓練場の反対側では、セイラが三人の教官に囲まれていた。


彼女は風軌装具を使っていなかった。


その装具は風元素石を封じられ、ただ身体に重りとして付けられているだけだった。


それでも、彼女の動きは不自然なほど速かった。


単純な速度の誇張ではない。彼女は相手が手を出す前に、いつも元の場所から離れていた。足取りは軽く、身体の向きを変える時にも余分な動作がほとんどない。


一人の教官が背後から彼女の肩を狙った。


セイラは身をひねって避け、反手で相手の手首を木刀で叩いた。


その動きは、最初から練習していたように無駄がなかった。


別の教官が左側から近づく。彼女は振り返らず、ふいに一歩前へ出た。その一撃はちょうど空を切った。


ミロはその様子を見て、複雑な表情をした。


「あいつ、本当に風軌装具を使ってないのか?」


ロエンは言った。


「使っていない」


「じゃあ、なんで使ってるみたいに動けるんだ?」


ロエンはセイラの足を見た。


「彼女は着地するたびに、もう次の方向へ備えている」


ミロは眉を寄せた。


「人間って、そういうもんじゃないだろ」


「彼女は人間だ」


「分かってる。だから余計に腹立つんだよ」


三度目に攻撃を避けた後、セイラはついに一人の教官に背中を打たれた。


木刀が肩甲骨の下あたりに当たる。


彼女は前へ滑った。


倒れはしなかった。


だが止まった。


カレイが場外に立ち、彼女を見ていた。


「今の間違いが分かるか?」


セイラは振り返った。


「遅かった」


「違う」


カレイは言った。


「速すぎた」


セイラは彼を見た。初めて、はっきりと理解できないという色が目に浮かんだ。


カレイは彼女の前に歩いてきた。


「お前は毎回、攻撃範囲から先に離れようとする。それなら普通の人間は避けられるし、訓練場では見栄えもいい」


彼は彼女の先ほどの位置を指した。


「だが城外は訓練場ではない。核獣は、お前が今立っている場所だけを攻撃するとは限らない。お前が行くと思っている場所を攻撃することもある」


セイラは何も言わなかった。


カレイは続ける。


「お前は遅いんじゃない。お前は、すべてのものより自分が一歩早いと信じすぎている」


彼は彼女の腰に封じられた風軌装具を見た。


「それは、その欠点を拡大する」


セイラは装具に目を落とした。


「制御できます」


「だからお前はまだ立っている」


カレイは言った。


「だが、お前の後ろにいる者はもう死んでいるかもしれない」


その言葉が落ちた時、セイラの表情がごくわずかに変わった。


傷ついたのではない。


怒ったのでもない。


自分の速度と他人の死が、初めて同じ一文の中に置かれたような顔だった。


ロエンは彼女を見た。


セイラもその視線に気づいたのか、こちらを向いた。


二人の視線が訓練場の端で短くぶつかった。


ロエンは目を逸らさなかった。


セイラも逸らさなかった。


ミロが横で小声で言った。


「どっちが先に瞬きするか勝負してるのか?」


ロエンは言った。


「違う」


「じゃあ何が見えた?」


ロエンは少し止まった。


「彼女はさっき、攻撃を見ていなかったわけじゃない」


「じゃあ?」


「見えていた。でも、前のことを先に片づけられると思った」


ミロはセイラを見た。


「それ、死ぬ癖に聞こえるな」


ロエンは答えなかった。


カレイがすでに言っていたからだ。


正午近くになって、ようやく格闘訓練は一時中断された。


中断といっても、別の拷問に変わるだけだった。


新入隊者たちは武器庫横の開放棚へ連れていかれた。


長机の上には、分解された元素銃、訓練用弾倉、元素弾の空殻、粉末箱、安定針、標識色片が並べられていた。


棚の後ろには黒板が掛かっている。


そこには五文字が書かれていた。


装填ミスは死ぬ。


ミロはその文字を見て、一秒沈黙した。


「この場所の教育方針、本当に一貫してるな」


長机の向こうに立つ武器教官が顔を上げた。


右耳の一部が欠けた女だった。左手には厚い手袋をはめ、手の甲には大きな古い火傷跡がある。カレイほど冷たくは見えないが、その目はさらに刃物に近かった。


「元素弾は、石の粉を薬莢に詰めれば使える玩具じゃない」


彼女は空薬莢を一つ持ち上げた。


「詰め方が緩すぎれば、発射時の元素反応が不完全になる。つまり無駄撃ちだ」


彼女は細い針を持ち上げた。


「押し込みすぎれば、薬莢内部の反応が不安定になる。軽ければ排莢不良、悪ければ銃の中で爆ぜる」


彼女は全員を見た。


「銃の中で爆ぜた時、折れるのはたいてい銃ではない」


誰も笑わなかった。


武器教官はその静けさに満足したようだった。


「今日は空殻の装填と分解だけを学ぶ。本物の元素粉に触れた奴は、まず手を折ってから汚染処理室へ送る」


ミロが小声で言った。


「カレイより優しいな」


ロエンは彼を見た。


ミロは言った。


「少なくとも、どこを折るか先に言ってくれる」


全員の前に、空薬莢と模擬粉の一式が配られた。


イライはそれらの粉末箱を見て、少し残念そうな顔をした。


グレンがそれに気づき、彼の手首を押さえた。


「それは食い物じゃない」


イライはまばたきした。


「分かってる」


グレンは彼を見た。


イライは笑った。


「本当に分かってる」


グレンはようやく手を離した。


ミロは横で目を丸くした。


「お前、今本当に考えただろ?」


イライは当然のように言った。


「一瞬だけ」


「それでも長すぎる」


ノラは長机の反対側に立ち、自分に配られた空薬莢を低く見ていた。彼女は一つずつ回して内壁に亀裂がないか確認し、大きさ順に並べていく。


ミロがそれを見た。


「空薬莢にも整列させるのか?」


ノラは顔を上げなかった。


「壊れた薬莢は、あなたが急いでいるからといって直らない」


ミロは反論しようとしたが、この言葉には反論しづらかった。


武器教官がミロの後ろを通り過ぎた時、足を止めた。


「お前」


ミロは固まった。


「昨日の試験で視覚反応が優秀だったな?」


「たぶん」


「たぶんとは何だ?」


「俺本人も昨日知ったんで」


武器教官は薬莢を一つ持ち、彼の前へ投げた。


「見ろ」


ミロは下を向いた。


その薬莢は他の薬莢とほとんど同じだった。


武器教官が聞いた。


「どこがおかしい?」


ミロは眉をひそめ、薬莢を持ち上げて光にかざした。


最初、彼は何も言わなかった。


数秒後、薬莢の尾部を指差した。


「ここに、すごく細い亀裂がある」


武器教官は薬莢を取り戻し、一目見た。


「悪くない」


ミロの目が少し明るくなった。


武器教官は続けて言った。


「だが、お前はさっき安定針を逆に置いた」


ミロは下を向いた。


安定針は確かに逆向きに置かれていた。


武器教官は冷たく言った。


「よく見えることと、頭が追いつくことは別だ」


ミロの目の光が少し消えた。


ロエンは横で見ていて、思わず言った。


「彼女は公平だ」


ミロは歯を食いしばった。


「お前は黙れ」


午後いっぱい、彼らは分解し、装填し、検査し、やり直した。


元素弾の空殻は机の上でばらばらに分解され、細かな部品が散らばっていた。指は繰り返しの嵌め込みで痛み、指先には模擬粉がこびりついた。安定片を割る者、封環を付け忘れる者、火元素の標識片を氷元素弾の薬莢に入れる者がいて、その者は武器教官に、その場で自分から弾倉の中に潜って消えたくなるほど叱られた。


セイラは装填が速くなかった。


それが彼女には気に入らないようだった。


彼女は身体が先に動くことに慣れていた。だが元素弾の装填は、一つ一つの動作に安定を求める。順番を乱せない。力加減を間違えられない。速くしようとすればするほど、やり直しが増えた。


三度目に分解してやり直すよう言われた後、彼女は眉を寄せた。


ロエンは隣で、封環をゆっくり嵌めていた。


セイラは彼を一度見た。


「急がないの?」


ロエンは言った。


「急いでも正確にはならない」


「遅い」


「でもやり直さなくて済む」


セイラは自分の前に分解された空薬莢を見た。


しばらくして、彼女は手を遅くした。


初めて封環をうまく嵌められた時、彼女はロエンを見た。


「これで?」


ロエンは見た。


「安定針がまだ固定されてない」


セイラの手が止まった。


ミロが反対側で小声で言った。


「今、あいつお前を褒めかけたんじゃないか?」


ロエンは言った。


「違う」


セイラも言った。


「違う」


ミロは二人を見た。


「二人で同時に否定すると余計怪しいぞ」


夕方前、彼らは教室棟へ連れていかれた。


教室は広く、壁には核獣の標本図、亜種分類表、過去の任務失敗記録が掛けられていた。最前列のガラス箱の中には、干からびた核獣の眼球が封じられていた。眼球の表面には小さな赤い花が生えており、花弁はすでに黒く枯れていた。


カレイは教壇の前に立った。


本は持っていない。


ただ、下に座る新入隊者たちを見ていた。


「朝、お前たちは倒されてから立ち上がる方法を学んだ」


彼は言った。


「午後は、自分の手を吹き飛ばさない方法を学んだ」


ミロが小声で言った。


「今日の収穫は豊富だな」


カレイは聞こえなかったかのように続けた。


「今から三つ目を学ぶ」


彼は振り返り、壁の布を下ろした。


布の向こうには、大きな核獣の解剖図があった。


その核獣は狼に似ていたが、六本の脚を持っていた。背中には甲殻が覆い、腹部には細い触手がびっしり生えている。頭蓋の両側には目がなく、裂け目のような感知孔が一列に並んでいた。


カレイは言った。


「第一印象を信じるな」


彼は指示棒で頭部を叩いた。


「狼に見えるからといって、狼のやり方で狩るとは限らない」


指示棒が背甲へ移る。


「甲殻に見えるからといって、そこが一番硬いとは限らない」


さらに下へ移り、腹部の触手を示した。


「柔らかそうに見えるからといって、そこが弱点とは限らない。多くの先駆者が死ぬ直前に最後にしたことは、自分が柔らかいと思った場所へ刃を突き立てることだった」


教室は静かだった。


ロエンはその図を見た。


東側腐林の蟻型核獣を思い出した。


任務表に書かれていたことは、とても簡単だった。


劣質種。


昆虫亜種。


蟻型。


数は一から三。


文字は少なかった。


死んだ人間は多かった。


カレイは黒板を叩いた。


「今日から、核獣資料を見るたび、自分に三つの問いを投げろ」


彼は一行目を書いた。


それは何に見えるか?


二行目。


それは何ではない可能性があるか?


三行目。


それは何だと思わせようとしているか?


チョークが止まった。


カレイは振り返り、彼らを見た。


「一つ目に答えられるだけなら、城外へ出ることはできる」


「二つ目に答えられるなら、生きて戻れるかもしれない」


「三つ目に答えられて初めて、他人を連れて戻る資格がある」


ロエンは黒板の三つ目の問いを見た。


それは何だと思わせようとしているか?


なぜか彼は、朝の訓練場のセイラを思い出した。


速すぎる者は、自分が隙を見たと信じる。


飢えすぎた者は、食べ物をすぐに手に入れなければならないと信じる。


恐れすぎた者は、この一瞬さえ耐えればいいと信じる。


人間も同じだった。


時に、本当に危険なのは目の前のものではない。


自分がそれを何だと知っていると思い込むことだった。


その夜、訓練営の食堂には下城の油煙の匂いがなかった。


食事は決まった量に分けられ、鉄皿に載せられていた。灰色の肉塊、圧縮穀泥、小さな浄化水の碗、そして壁の補修に使えそうなほど硬い乾糧。


ミロは席に着くと、皿を見て長く沈黙した。


「これは食い物か?」


グレンは向かいに座り、自分の水碗を卓の中央へ押した。隣の手が震えている新入隊者が取りやすいように。


「少なくとも噛みついてはこない」


ミロはフォークで肉塊を突いた。


「本当に?」


ノラは隣に座り、自分の指を見ていた。午後の装填訓練で指先の皮が擦りむけていたが、彼女は止血テープをさらに小さく裂き、一枚ずつ貼っていった。


セイラはロエンの左側に座った。


彼女の食べ方は静かで、そして速かった。だががつがつ食べるわけではない。訓練を処理するように食事を処理していた。一口一口が正確で、無駄な動きがない。


イライはまったく違った。


全員が座った直後には、すでに半分を食べ終えていた。


ミロはそれを見て、複雑な顔をした。


「お前、本当に噛まなくていいのか?」


イライは顔を上げた。口にはまだ食べ物が詰まっている。


「噛んでるよ」


「それは食べ物を口に通過させてるだけだ」


イライは残りの乾糧を口に押し込み、飲み込んでから笑った。


「早い方が安心する」


グレンが彼を一度見た。


「誰も取らない」


イライの手が一瞬止まった。


ほんのわずかだった。


ロエンがちょうど彼を見ていなければ、気づかなかったかもしれないほど短かった。


次の瞬間、イライはまた笑った。


「今はそう言えても、ミロが腹を空かせて狂ったら分からないよ」


ミロはすぐに言った。


「俺はどれだけ腹が減っても、お前のその壁みたいな乾糧は奪わない」


イライは皿を少し自分の方へ引いた。


「覚えておいてね」


その口調は相変わらず軽かった。


卓の誰かが笑った。


ミロも笑った。


ロエンだけが笑わなかった。


彼は、イライの指が鉄皿の縁を強く押さえているのを見た。


その一瞬、鉄皿は鉄皿ではなかった。


必ず守らなければならない何かのようだった。


ノラもちらりとイライを見た。


何も言わなかった。


日々は訓練営の中で輪郭を失っていった。


朝は走る。


昼は格闘、射撃、元素弾、武器分解、戦術推演。


夜は核獣知識、汚染事例、任務失敗記録、そして指が痛くなるほど書かされる判断表。


去る者がいた。


負傷する者がいた。


三か月後、二度と宿舎棟へ戻らなかった者がいた。


新しい名前が補充される。


古い名前が消される。


訓練営は止まらない。


残った者をさらに薄く、硬く磨き上げ、まだ鞘から抜かれていない刃のようにしていくだけだった。


ロエンは倒された時、まず喉を守ることを覚えた。


ミロは引き金を引く前に、弾倉の音を聞くことを覚えた。


セイラは止まることを覚えた。


グレンは命令が下る前に、もう限界の者をまだ生きられる位置へ押し出すことを覚えた。


ノラは一目見るだけで、今日これ以上走らせてはいけない者を知るようになった。


イライは食べ物をより上手く隠すことを覚えた。


一年が過ぎる頃には、彼らはもう初日のように笛の音で慌てて起きることはなかった。


二年が過ぎる頃には、木刀が身体を打つ音では止まらなくなっていた。


三年目が始まった時、カレイは訓練場の端に立ち、生き残ったこの期の候補生たちを見た。


彼は何も褒めなかった。


ただ言った。


「明日から、実戦模擬だ」


実戦模擬が始まった日、訓練営の門は開かなかった。


彼らは城外へ連れて行かれなかった。


全員が北側訓練営の最奥へ連れて行かれた。


そこには宿舎棟よりも高い鉄壁があり、壁面には古い爪痕、衝突の凹み、火元素で焼かれた黒い跡が残っていた。鉄壁の向こうには、人工的に造られた閉鎖狩場があった。


泥地。


砕石。


低い鉄架。


枯れ木。


廃棄された壁体。


そして意図的に掘られたいくつかの浅い溝。


本物の城外には似ていなかった。


清潔すぎる。


制御されすぎている。


腐林の湿った臭いも、汚染された水溜まりも、木の幹の中に隠れた目もなかった。


それでも、遠くから最初の核獣の低い唸りが聞こえた時、隊列は静まり返った。


カレイが一列の受訓者の前に立つ。


「今日から、実戦模擬には劣質獣だけを使う」


誰かがわずかに安堵した。


カレイはそれを見た。


「楽だと思った者は、今すぐ退出していい」


その緩みは即座に消えた。


「劣質獣に特殊能力はない。だが、それはお前たちに並んで殺されるという意味ではない。爪、牙、体重、速度、甲殻、突進力。それだけで準備のできていない者を訓練営の地面の一部にできる」


カレイは閉鎖狩場を指した。


「お前たちは体力、格闘、銃器、元素弾、装填、近接武器、隊形、撤退、核獣判断を学んだ。今日から、それらを同じ場所で使え」


彼は一度止めた。


「できない者は、その後、城外へ送られない。正規軍は、研ぎ上がっていない刃を外へ投げて、核獣にその脆さを確認させる趣味はない」


ミロが小声で言った。


「これ、実は心配してるってことか?」


ロエンは言った。


「聞こえの悪い心配だ」


「ここに聞こえのいい言葉なんてあったか?」


閉鎖狩場の鉄門がゆっくり上がる。


門の向こうから鉄鎖が引きずられる音がした。


狩場に放たれた数匹の劣質獣が、影の中から出てきた。


一匹目は犬に似ていた。背には粗い骨刺があり、口は耳の根元近くまで裂けている。目は小さいが、ずっと地面の匂いを嗅いでいた。


二匹目は甲虫に似ていた。身体を低く伏せ、六本の脚で泥地を支えている。甲殻の表面には、枯れかけた赤い雅核花の花弁がいくつか生えていた。


三匹目は痩せた猿に似ていた。前肢が異様に長く、指の節を地面に引きずりながら歩くたび、かすかな擦過音がした。


すべて劣質獣。


特殊能力はない。


元素反応もない。


擬態もない。


授業で説明されたような、夜眠れなくなる標本の性質もない。


それでも、奴らが動き出した瞬間、全員が武器を握りしめた。


知識は黒板の上では静かだ。


核獣は違う。


模擬は何度も続いた。


通過する者がいた。


運び出される者がいた。


三年学んだはずなのに、初めて本物の劣質獣に睨まれた瞬間、銃口を上げすぎ、指に力を入れすぎ、弾倉が詰まったままその場で固まる者もいた。


ロエンたちの番になった時、空はすでに半分暗くなっていた。


カレイは六人を見た。


「ロエン。ミロ。セイラ。グレン。ノラ。イライ」


彼は名簿を閉じた。


「入れ」


ミロは息を吐いた。


「この組み合わせ、誰が決めたんだ?」


グレンが先頭を歩いた。


「運命かもしれないな」


ミロは彼を見た。


「急に不安になること言うのやめろ」


イライは自分の乾糧をさらにポケットの奥へ押し込んだ。


セイラは腰の風軌装具に触れた。


今日は最低限の風元素出力だけが許可されていた。


完全使用ではない。


短距離の着地点修正だけだ。


彼女が門へ入る前に、カレイが言った。


「覚えておけ。お前は自分がどれだけ速いかを証明しに来たんじゃない」


セイラは彼を見た。


「じゃあ何を証明するんですか?」


カレイは言った。


「止まれることだ」


セイラは答えなかった。


鉄門が彼らの背後で閉じた。


三匹の劣質獣が放たれる。


犬型。


甲殻型。


長腕猿型。


グレンが手を上げた。


「散るな」


誰も反論しなかった。


この数年で、彼がこう言う時は聞くのが当たり前になっていた。


ミロは元素銃を構えた。銃口は犬型劣質獣の頭を追うのではなく、その進行方向の斜め前に押さえられている。


ロエンはミロの右前方に立ち、訓練短刀を握っていた。


セイラは左側、身体をわずかに前へ傾け、まだ弦から放たれていない矢のようだった。


ノラは隊列の内側に立ち、全員の足取りを見ていた。


イライは後方右寄りで短銃を握り、口には何も入れていなかった。


犬型劣質獣が先に動いた。


左側へ突進する。


標的はセイラ。


ミロが引き金を引いた。


氷元素の訓練弾が犬型の前方に当たり、白霜が泥地に広がる。


犬型劣質獣の前爪が白霜を踏み、身体が滑った。


その瞬間、セイラが動いた。


真っ直ぐには突っ込まない。


風軌装具が短い空気の破裂音を立てた。


彼女の身体は左前方へ少し滑り、犬型劣質獣の跳びかかりを避けたが、追撃には行かなかった。


彼女はその側面三歩の位置で止まった。


ロエンは彼女の着地点を見た。


「今」


セイラの訓練刀が犬型劣質獣の前脚関節の下へ刺さった。


犬型劣質獣が吼え、セイラへ噛みつこうと頭を向ける。


ロエンはすでに前へ出ていた。


火元素小刀の訓練版が口元を切り、熱流が皮肉を焼いた。


犬型劣質獣は痛みに頭を逸らした。


グレンが反対側からぶつかり、肩で身体を押さえ込み、短刀を首筋へ突き立てる。


ミロの二発目の氷弾が後脚に当たった。


倒れる時、セイラはもう突進しなかった。


彼女はロエンを見た。


ロエンは言った。


「退け」


彼女は退いた。


次の瞬間、甲殻型劣質獣が枯れ木の後ろから飛び出し、彼女が追撃していたかもしれない位置をかすめていった。


もし彼女がもう一歩前に出ていれば、衝突していた。


セイラはその甲殻型劣質獣を見た。目つきがわずかに変わった。


ミロはそれを見逃さなかった。


「ロエン」


「何だ」


「また見えたのか?」


ロエンは答えなかった。


甲殻型劣質獣はすでに突進してきていた。


甲殻は硬く、正面からは貫けない。


グレンは受け止めず、すぐに叫んだ。


「右の溝!」


六人は右側の浅い溝へ退く。


甲殻型劣質獣は勢いを落とさず、低く伏せた身体で鉄架を突き飛ばし、横棒を曲げた。


イライが突然横へ走った。


ミロが叫ぶ。


「イライ?」


イライは振り返らなかった。


彼は半壊した低い壁の後ろへ走り、銃を構えた。


甲殻型劣質獣を撃ったのではない。


低壁の上にあった、すでに緩んでいた支柱を撃った。


砰。


支柱が折れる。


低壁が傾き、ちょうど甲殻型劣質獣の旋回路を塞いだ。


劣質獣は壁に衝突し、身体を傾けた。


ノラが即座に言った。


「左後脚が上がっていない」


ロエンはそれを聞き、側面から切り込んだ。


セイラの方が速かったが、今回はロエンを追い越さなかった。


彼女は短く前へ噴射し、甲殻型劣質獣の側後方に降り、刃先を低く構えて頭を向けさせた。


ロエンはノラが示した場所へ刺し込む。


刃が入った。


甲殻型劣質獣の身体が大きく沈む。


グレンが機を逃さず、上から訓練用長刃を甲殻の隙間に突き入れた。


ミロの三発目が裂け目に撃ち込まれる。


今度は雷元素の訓練弾だった。


電流は弱かったが、劣質獣を一瞬硬直させるには十分だった。


イライが最後に一発撃った。


甲殻型劣質獣は倒れた。


残るは長腕猿型。


そいつは正面から突っ込んでこなかった。


鉄架と枯れ木の間を移動し、長い前肢が地面を引っ掻き、不快な音を立てている。


ミロが照準を合わせた。


「こいつの方が少し賢そうだ」


グレンが言った。


「劣質獣も学習する」


ノラはそいつの手を見た。


「石を掴んでる」


その言葉を聞いた直後、長腕猿型劣質獣は砕石を投げつけてきた。


石はミロへ飛んだ。


ミロは横へ避け、危うくロエンにぶつかりかける。


セイラが動いた。


風軌装具が短く鳴る。


彼女は長腕猿型劣質獣へ突っ込まず、斜めに滑ってミロの横へ入り、訓練刀で二つ目の石を弾き飛ばした。


ミロは彼女を見た。


「助かった」


セイラは言った。


「立ち方がまっすぐすぎる」


ミロは深く息を吸った。


「感謝は終了した」


長腕猿型劣質獣は彼らが話している隙にノラへ飛びかかった。


狙いは一番近い者ではなく、隊列の内側で、手の武器をあまり動かしていないノラだった。


最初にロエンが動いた。


叫ばない。


ただ身体がすでに走り出していた。


グレンもほぼ同時に前へ出る。


二人が前と横から長腕猿型劣質獣を阻んだ。


その前肢がグレンの護腕を打ち、重い音を立てる。


グレンは歯を食いしばり、一歩も下がらなかった。


ロエンは下から腹部を刺す。


長腕猿型劣質獣は身体を捻って避け、反手でロエンの肩を掴もうとした。


風が耳元をかすめた。


セイラが背後から掠めた。


今回は直接攻撃ではなかった。


彼女は刀の柄で後膝を打った。


力は強くない。


だが角度がよかった。


長腕猿型劣質獣の身体が崩れる。


ミロの銃声が響いた。


氷弾が支えにしていた右腕に当たる。


ノラは半歩下がり、倒れ込む時に薙いできた長い指を避けた。


イライが側面から撃つ。


グレンが追撃する。


ロエンが最後に短刀を首筋へ刺した。


長腕猿型劣質獣は数度痙攣し、動かなくなった。


狩場には息遣いだけが残った。


鉄門の外で、カレイの声が伝声器から響く。


「劣質獣三体、所要時間七分四十二秒」


ミロは伝声器を見た。


「合格に聞こえるな」


カレイは言った。


「恥を晒さなかっただけだ」


ミロは目を閉じた。


「そうだと思った」


その日から、閉鎖狩場の鉄門は、彼らが何度も通らなければならない場所になった。


三体。


五体。


八体。


そして十二体。


卒業前の正式団体試験は、六人一組で劣質獣十二体。


一人につき最低二体の撃殺記録を取得すること。


撃殺記録は最後のとどめだけでは認められない。有効打、有効牽制、または核獣の行動能力を奪う明確な貢献が必要だった。


全員生存。


十二体全撃殺。


制限時間内完了。


一つでも欠ければ、不合格。


十二体の劣質獣が倒れた時、閉鎖狩場には息遣いだけが残っていた。


泥地は踏み荒らされてぐちゃぐちゃだった。


血と水が混ざり、砕石の間をゆっくり排水溝へ流れていく。折れた骨刺が何本か地面に突き刺さり、甲殻の破片が鉄架のそばに散らばっていた。枯れ木は半分折れ、断面から湿った白い木芯が見えていた。


ロエンは狩場の中央に立っていた。手にした訓練短刀から、まだ血が滴っている。


彼の血ではない。


少なくとも、大部分は違う。


ミロは低壁にもたれ、銃口を下げ、右手をまだ震わせていた。


グレンは地面に座り込み、左腕を噛み裂かれていた。


ノラが彼に包帯を巻いている。


「動かないで」


彼女は言った。


グレンはその傷を見た。


「大したことない」


ノラは彼を見上げた。


「もう一度大したことないって言ったら、本当に大したことにしてあげる」


グレンは少し笑い、もう何も言わなかった。


セイラは別の側に立っていた。風軌装具の風元素石はまだ淡く光っている。肩が上下し、呼吸は普段よりずっと重かった。十二体の劣質獣を相手にした試験の中で、彼女は一度だけではなく、何度も直接飛び出したくなった。だがそのたびに、最後の半拍で止まった。


その半拍が彼女自身を救った。


そして他の者も救った。


イライは一体の劣質獣の死体のそばにしゃがみ、その腹部が裂けた場所を見ていた。


彼の顔には、いつもの笑みがなかった。


しばらくして、彼は自分のポケットに手をやった。


そこには本来、小さな乾糧が隠してあった。


試験の前に、すでに食べ終えていた。


ミロは壁にもたれて息をしながら彼を見た。


「今、食べようとか思ってないよな?」


イライは顔を上げ、何かを見つかったようにまばたきした。


「僕は核獣じゃないよ」


「今はちょっと自信がない」


イライは笑った。


その笑顔はすぐに戻ってきた。


「安心して。火が通ったものしか食べない」


ミロはしばらく沈黙した。


「それは安心できない」


狩場の外には、カレイが鉄門の前に立っていた。


その後ろには教官たちと記録員がいる。


記録員は板を持っていた。そこには六人の名前、傷勢、撃殺記録、有効牽制、元素弾使用、失敗回数、時間がびっしり書かれている。


カレイは長く見た。


ミロが思わず口を開きそうになるほど長く。


最後に、カレイは記録板を閉じた。


「劣質獣十二体、全撃殺」


誰も何も言わなかった。


「全員生存」


ミロが小声で言った。


「奇跡みたいだな」


カレイは彼を見た。


「奇跡は弾倉を装填してくれない」


ミロはすぐに黙った。


カレイは続けた。


「時間、合格」


ロエンは短刀を握る手をわずかに緩めた。


セイラは下を向いて息を吐いた。


グレンは壁にもたれ、目を閉じた。


ノラの手は、相変わらず包帯を安定して押さえていた。


イライはカレイを見て、顔の笑みが少し慎重になっていた。


まるで、この後食事があるのかどうかを確かめているようだった。


カレイは六人を見渡した。


「お前たちは通過した」


その言葉が落ちても、狩場に歓声はなかった。


疲れすぎていたのか。


それともこの数年で、通過は終わりではないと知ってしまったからか。


通過とは、次の危険がようやく正式に始まることを許可されたというだけだった。


鉄門が完全に上がった。


外の風が吹き込み、少しだけ血の匂いを散らした。


ミロはゆっくり地面に座った。


「つまり、俺たち卒業したのか?」


グレンが言った。


「たぶんな」


ミロはカレイを見上げた。


「証書とか、徽章とか、もう少し美味い夕食とかは?」


カレイは言った。


「今夜は肉が出る」


ミロは固まった。


イライが勢いよく顔を上げた。


「本当に?」


カレイは彼らを見た。


「卒業食だ」


ミロは二秒沈黙し、突然ロエンを見た。


「ロエン」


「何だ」


「正規軍にも、完全に良心がないわけじゃないらしい」


ロエンは彼を見た。


「肉一枚だ」


「分かってないな。ここでは肉一枚が多くの誓いより真実なんだよ」


イライは立ち上がった。目が、さっきまでの十二体の劣質獣が存在しなかったかのように輝いている。


「多めに取れますか?」


カレイは冷たく言った。


「無理だ」


イライの光が半分消えた。


グレンが彼の背を軽く叩いた。


「少なくとも肉だ」


イライは真剣に頷いた。


「そう。少なくとも肉だ」


その夜、すべての卒業者が訓練営中央礼堂に集められた。


礼堂は広かった。


壁には正規軍の旗が掛かっている。灰黒の地に、目光城の白い線紋。旗の下には数名の高階軍官が立ち、その横にはカレイと他の教官がいた。


音楽はない。


拍手もない。


過度に美しい儀式もない。


卒業者たちは列を作った。


ロエン、ミロ、セイラ、グレン、ノラ、イライは同じ列に立っていた。


カレイが前へ出る。


「今日から、お前たちは長期訓練隊の候補生ではない」


彼の声が礼堂に反響した。


「お前たちは正規軍訓練の卒業者だ」


誰かの呼吸が重くなる。


誰かが顔を上げる。


誰かが自分の手を見下ろし、本当にこの手で数年を耐えたのか信じられないような顔をした。


カレイは、彼らが感情に浸る時間をあまり与えなかった。


「卒業は終わりではない」


彼は言った。


「ようやく、お前たちは自分がどの危険へ向かうかを選べる資格を得ただけだ」


礼堂後方の扉が開いた。


数名の兵士が、三つの立て札を押して入ってきた。


一つ目の鉄札には刻まれていた。


先駆者。


二つ目。


守城者。


三つ目。


王下者。


三つの名が灯りの下に立つ。


まるで形の違う三本の刃のように、沈黙していた。


カレイは彼らを見た。


「先駆者。目光城を離れ、探索、討伐、回収、調査、資源取得任務を行う」


「守城者。城壁および城内防線に残り、防衛、警戒、封鎖、汚染制御を担う」


そして、彼は三つ目の鉄札を見た。


「王下者。貴族、研究員、技術官、高級資源輸送の護衛を担い、高階核獣の死骸、内核、特殊標本に接することもある」


その時、イライの目が動いた。


とても小さく。


だがロエンは見た。


ミロも見たが、彼はただ、イライが「高級資源」という言葉で元気になったのだと思った。


カレイは続けた。


「選択した後、永遠に変更できないわけではない。だが最初の選択は、お前たちの次の任務、訓練、そして死に方を決める」


ミロが小声で言った。


「こいつ、本当にあらゆる手続きを遺書みたいに言うのが上手いな」


グレンは言った。


「少なくとも正直だ」


「正直なら鬱陶しくないってわけじゃない」


カレイの声が、またすべての低語を押しつぶした。


「一人ずつ前へ。名を告げ、進路を選べ」


グレンが前へ出た。


「グレン・ハーヴィ」


カレイは彼を見た。


「選択」


グレンは迷わなかった。


「先駆者」


ミロが眉を上げた。


「守城者は考えなかったのか? お前、皆をその場に留めて死なせないのに向いてそうだけど」


グレンは列に戻り、少し笑った。


「だから城外へ行く。城外の方が、お前たちを引きずって帰る奴が必要だろ」


ミロは一秒沈黙した。


「反論しづらいな」


次はノラだった。


彼女は前へ出た。指には昨日の傷を覆うテープがまだ貼ってある。


「ノラ・イーソン」


「選択」


彼女は三つの鉄札を見た。


少し止まった。


「先駆者」


カレイが問うた。


「理由」


ノラは言った。


「城外の人は、傷つくのが早い」


カレイは彼女を見た。


「それは理由ではなく事実だ」


ノラは言った。


「分かっています」


カレイはそれ以上聞かなかった。


彼女が戻ってくると、ミロが小声で言った。


「お前の理由、面倒が一番多い場所へ自分から行くみたいに聞こえるぞ」


ノラは彼を見た。


「あなたも行く」


ミロは止まった。


「なんで分かる?」


ノラは言った。


「先駆者の札を一番長く見ていたから」


ミロは黙った。


セイラが前へ出た。


風軌装具はもう封じられておらず、淡青色の風元素石が腰に嵌まり、静かに光っていた。


「セイラ・ウェンデル」


カレイは彼女を見る。


「選択」


セイラは三つの鉄札を見た。


守城者にはほとんど視線を止めなかった。王下者も見ない。


「先駆者」


カレイが聞いた。


「確かか?」


セイラは言った。


「壁の中は狭い」


彼女らしい理由だった。


短く。


直接的で。


わがままで。


そして完全には否定できない。


カレイは彼女を見た。


「城外は、お前が速いからといって道を空けてはくれない」


セイラは言った。


「なら迂回します」


カレイは少し沈黙した。


「止まるべき時を知っていることを願う」


セイラは振り返ってロエンを一度見た。


「教えてくれる人がいます」


ロエンは何も言わなかった。


ミロがとても小さな声で言った。


「やっぱりお前ら、教官を悩ませるな」


ミロの番になった。彼は前へ出た。口元には相変わらず少し不真面目な表情が残っていたが、足取りは遅くなかった。


「ミロ」


カレイは言った。


「選択」


ミロは三つの鉄札を見た。


守城者。


王下者。


先駆者。


彼は少し沈黙した。


この数年、守城者を考えなかったわけではない。


城壁に残れば、少なくとも毎朝、壁がまだそこにあることを確認できる。


任務のたびに目光城を離れずに済む。未知の腐林、廃町、荒野、水域へ踏み込まずに済む。


だが彼の視線は最後に、やはり先駆者の札で止まった。


ロエンが行くからかもしれない。


セイラ、グレン、ノラがすでに選んだからかもしれない。


あるいは、自分が壁の上に残っても、壁の外で何が起きているのかをずっと考え続けると分かっていたからかもしれない。


ミロは息を吐いた。


「先駆者」


カレイは彼を見た。


「理由」


ミロは考えた。


「ロエンを一人で外に出したくない」


礼堂のどこかで誰かが笑った。


ミロはすぐに付け加えた。


「あと、射撃が上手い」


カレイは言った。


「最初の理由の方が本物に近い」


ミロの表情が固まる。


「二つ目を信じたふりくらいしてくれよ」


「ふりをする必要はない」


ミロが戻ってきた時、ロエンは彼を一度見た。


「俺のために選ばなくていい」


ミロは言った。


「自惚れるな。ただ、お前が死んだ時に俺の銃を回収する奴が必要なだけだ」


ロエンは言った。


「お前はまだ元素機銃を持っていない」


ミロは彼を指差した。


「卒業したんだ。これから持つ」


イライの番になると、彼はまず自分の服を軽く叩いた。存在しない食べかすを払うように。


「イライ・モーン」


カレイは彼を見た。


「選択」


イライは三つの鉄札を見た。


今回はすぐには言わなかった。


ミロは、彼が先駆者を選ぶと思っていた。


グレンもそう思っていた。


ノラは彼の横顔を見ていた。


セイラは特に表情を変えなかった。


ロエンは、イライの視線が先駆者に落ちていないことに気づいた。


彼の視線は三つ目の鉄札に止まっていた。


王下者。


カレイもそれに気づいた。


「イライ」


イライは少し笑った。


「王下者」


礼堂の音が、一瞬抜き取られたようになった。


最初に眉を寄せたのはミロだった。


「本気か?」


イライは振り返り、いつもと同じ軽い笑みを見せた。


「本気だよ」


グレンが聞いた。


「なぜだ?」


イライは肩をすくめた。


「待遇がいい」


ミロは彼を見た。


「それだけ?」


イライはまばたきした。


「食事もいいって聞いた」


ミロは口を開いたが、どう罵ればいいのか一瞬分からなかった。


ノラはイライを見た。


「本当にそれだけ?」


イライは笑って言った。


「それ、とても大事だよ」


その口調は軽かった。


冗談のようだった。


下城の住民がよく口にする、あまりに現実的な理由のようだった。


待遇がいい。


食事がいい。


毎日のように城外へ出て死ぬ可能性が低い。


それらはあまりに普通の理由で、誰も本当に反論できなかった。


グレンは少し沈黙した。


「本当にいいのか?」


イライは頷いた。


「僕、ずっと外を走り回るのには向いてないんだと思う」


ミロは眉を寄せた。


「この数年、一緒に走ってたじゃないか」


「だから向いてないって分かったんだよ」


イライは笑って言った。


「君たちは先駆者になってよ。たくさん戦利品を持って帰ってきて。僕は王下者の方でうまくやって、もしかしたら美味しいものを融通できるかもしれない」


ミロは言った。


「それ、裏切り前の別れの挨拶みたいに聞こえるぞ」


イライはさらに笑った。


「そんな言い方しないでよ。ただ、飢え死にしにくそうな道を選んだだけだ」


その言葉が落ちた時、ロエンは彼を見た。


イライは相変わらず笑っていた。


目も細く笑っている。


影はない。


異常もない。


少なくとも、そう見えた。


カレイは名簿に彼の選択を書き込んだ。


「王下者、確認」


イライは列へ戻った。


ミロはまだ彼を見ていた。


「本当に一緒に来ないのか?」


イライは手を上げ、ミロの肩を軽く叩いた。


「君は射撃が上手いんだろ? 僕一人少なくても死なないよ」


ミロは言った。


「その言葉を祝福だと思うなよ」


グレンが手を伸ばし、イライの頭をくしゃりと撫でた。


イライはすぐに避けた。


「ちょっと!」


グレンは言った。


「王下者に行っても、変なものを食うなよ」


イライは傷ついた顔をした。


「僕って君の中で何なの?」


ノラが淡々と言った。


「模擬粉を食べ物だと思った人」


「あれは一回だけ」


ミロが言った。


「今、自白したな」


イライは彼を睨んだ。


「卒業日に喧嘩しないでよ」


「お前が先に王下者を選んだんだろ」


「それと喧嘩に何の関係があるの?」


彼らはいつも通り言い合った。


それがただ普通の分岐であるかのように。


明日目を覚ましても、イライが同じ食堂の同じ卓に座り、誰より先に皿を空にして、他の誰かにまだ食べるのかと聞くかのように。


だが三つの鉄札は、そこに立っていた。


先駆者。


守城者。


王下者。


友人同士の冗談で、その重さが軽くなることはなかった。


最後にロエンの番が来た。


彼は前へ出た。


礼堂のざわめきが少しずつ低くなる。


「ロエン」


カレイは彼を見る。


「選択」


ロエンは三つの鉄札の前に立った。


守城者。


先駆者。


王下者。


自分は長く考えるのだろうと思っていた。


だが、違った。


視線が先駆者の鉄札に落ちた時、身体の深いところに、ごく軽い感覚があった。


好きではない。


期待でもない。


夢にはもっと似ていない。


それは見えない糸のようだった。胸のどこかから伸び、礼堂を抜け、訓練営を抜け、目光城の壁を抜け、城外のさらに深い闇へ落ちていく。


彼にはそれが何なのか分からなかった。


ただ、自分がもうそこへ歩き始めていることだけは分かった。


ロエンは口を開いた。


「先駆者」


カレイは彼を見た。


「理由」


ロエンは少し沈黙した。


セイラのように、壁の中が狭いとは言わなかった。


ミロのように、誰かを一人で外へ出したくないとも言わなかった。


イライのように、待遇や食べ物の話もしなかった。


彼はただ言った。


「行くべきだと思った」


カレイは長く彼を見た。


「いい理由ではない」


ロエンは言った。


「分かっている」


「それでも選ぶのか?」


「うん」


カレイはそれ以上聞かなかった。


彼は名簿にロエンの選択を書き込んだ。


筆先が紙の上を滑り、かすかな音を立てた。


何かがすでに回り始めたような音だった。


「先駆者、確認」


ロエンが列へ戻ると、ミロが彼を見た。


「今の理由、俺よりひどいぞ」


ロエンは言った。


「うん」


「認めるのが早すぎる」


セイラはロエンを見ていた。何も言わなかった。


グレンは腕を組み、何か言いたそうにしていたが、最後には少し笑っただけだった。


ノラの視線は、ロエンとイライの間に一度止まった。


イライは笑って手を上げた。


「おめでとう、五人の未来の城外不運組」


ミロは言った。


「お前も未来の上城雑役だ」


イライは真剣に考えた。


「でも僕の方が食事はいいかも」


ミロは彼を指差した。


「いつかお前の飯を奪いに行く」


イライの笑顔が、ほんの一瞬止まった。


ロエンだけが気づくほど短く。


次の瞬間、イライはまた笑った。


「やれるものなら」


ミロは気づかなかった。


「もちろんやる」


イライはまだ笑っていた。


「後悔するよ」


その声は軽かった。


冗談のようだった。


その夜、六人は最後に同じ食堂の同じ卓に座った。


卒業食ではない。


肉は昨日食べ終わっていた。


今日はもう、いつもの灰色の肉塊、圧縮穀泥、硬い乾糧に戻っていた。


ミロは皿を見た。


「昨日はやっぱり夢だった」


イライはもう半分食べ終えていた。


「夢でも早く食べないと」


グレンが水碗を中央に押した。


「明日からは別々だな」


その言葉で、卓の上が少し静かになった。


イライは乾糧をかじった。


「死ぬわけじゃないでしょ」


ミロは彼を見た。


「そういうことを自然に言うな」


イライは笑って言った。


「どうせ目光城の中だし、また会えるよ」


ノラは肉塊を切りながら言った。


「王下者は、簡単に出られるとは限らない」


「じゃあ君たちが会いに来てよ」


「俺たちは先駆者だ」ミロは言った。「城外にいることの方が多い」


イライは考えた。


「じゃあ、生きて帰って僕に会いに来て」


その言葉が終わると、また卓が静かになった。


ロエンは皿の食べ物を見ていた。


セイラがふいに口を開いた。


「帰ってくる」


ミロは彼女を見た。


セイラは下を向いて食べていた。


「少なくとも私は」


ミロは笑った。


「その言い方、かなり腹立つけど、今は反論する元気がない」


グレンが水碗を持ち上げた。


「じゃあ、生きて帰るために」


ノラも水碗を持った。


ミロは彼らを見て、ため息をついた。


「こういう場面って、何かしないといけない気がするよな」


イライはすぐに自分の碗を持ち上げた。


「これからもっとたくさんの飯のために」


ミロは言った。


「少しは浪漫を持てないのか?」


イライは真剣だった。


「食べ物は浪漫だよ」


誰も反論しなかった。


アカシアでは、その言葉が間違いだと言いきれなかったからだ。


ロエンも最後に水碗を持ち上げた。


六つの鉄碗が卓の中央で軽く触れ合った。


小さな音だった。


誓いではない。


宣告でもない。


ただ、次に別れる前に、まだ同じ卓に座っていることを確認する音だった。


翌朝、笛は鳴らなかった。


数年ぶりのことだった。


宿舎は静かだった。


ミロは目を開けてから、長く横になっていた。


「ロエン」


「何だ」


「笛が鳴らない」


「うん」


ミロは天井を見た。


「逆に不安だ」


ロエンは起き上がった。


窓の外には訓練場がまだあった。


走路もある。


武器架もある。


ただ今日、彼らはもうここに属していない。


彼は服を着て、装備を取った。


訓練用の木刀はベッド脇に残された。


本物の元素小刀が再び腰に戻る。


火。


氷。


死人の手から持ち帰った元素銃も、銃套へ収めた。


ミロは自分の銃袋を背負った。


「行こうぜ、先駆者」


ロエンは彼を一度見た。


「嬉しいのか?」


ミロは言った。


「いや」


彼は少し止まった。


「ただ、怖さより少し多いだけだ」


二人が宿舎を出ると、廊下ではすでに荷物を引きずって去る者がいた。


守城者の集合区へ向かう者。


王下者の登録所へ向かう者。


友人と抱き合う者。


何も言わず、荷物を背負って前へ進む者。


訓練営の門の前には、セイラがすでに立っていた。


風軌装具を腰に締め、今にも風に連れていかれそうだった。


グレンとノラも来ていた。


イライが最後に来た。


口には乾糧をくわえ、肩には普段より大きな鞄を背負っている。


ミロはその鞄を見た。


「お前は王下者に行くのか、それとも食堂に引っ越すのか?」


イライは曖昧に言った。


「どっちもあり得る」


グレンは彼を見た。


「自分を大事にしろよ」


イライは笑った。


「そっちこそ。毎回、人の盾にならないでよ」


グレンは言った。


「できるだけな」


ノラはイライを見た。


「食べてはいけないものを食べないで」


イライは目を見開いた。


「君までそんなこと言うの?」


「前科があるから」


セイラはイライを見た。


「王下者の場所、遠い?」


イライは言った。


「城外よりは近い」


セイラは頷いた。


「なら大丈夫」


ミロは歩み寄り、拳で軽くイライの肩を叩いた。


「うまくやれよ。次に会ったら肉を奢れ」


イライはすぐに言った。


「君が言ったんだからね。僕のを奪うのは禁止」


「奢れって言ったんだ。奪うとは言ってない」


「口調が奪う側だよ」


二人はしばらく睨み合い、最後には笑った。


ロエンは横に立っていた。


イライが彼を見た。


「ロエン」


「何だ」


「早く死なないでね」


ロエンは言った。


「お前も」


イライは笑って手を振った。


「僕は城の中だよ。ずっと安全さ」


ミロが横で言った。


「そういうこと言うな」


イライは鞄を背負い、王下者の集合区へ向かった。


その足取りは軽かった。


ただ食堂の別の列へ並びに行くだけのようだった。


途中で彼は一度振り返った。


そして手を上げた。


「生きて帰ってきてね!」


ミロが大声で返した。


「飯を残しておけ!」


イライは笑った。


彼は振り返り、また歩き出した。


人波がすぐに彼の背中を呑み込んだ。


ロエンはその方向を見ていた。


胸の奥の慣れた重さが、深い場所でかすかに動いた。


とても軽く。


水に落ちた砂粒のように。


彼はそれが何なのか分からなかった。


追いもしなかった。


先駆者集合の笛が鳴ったからだ。


カレイが前方に立ち、先駆者を選んだ卒業者たちを見ていた。


彼は祝福しなかった。


ただ言った。


「乗れ」


運搬車が外門の前で停まった時、車内の音はすべて消えていた。


呼吸している者がいないわけではない。


全員が外の音を聞いていた。


前方から、重い鉄門の機械音が響く。まるで巨大な獣が、ゆっくり口を開けているようだった。歯車が回り、鎖が張り、管から蒸気が噴き出し、白い霧が地面を這って左右へ広がる。


ミロは車壁にもたれ、指を元素銃の銃身に添えていた。


普段ならこういう時、必ず何か言う。


車内が硬いとか、正規軍の運搬車は人間の背骨をいじめるために設計されているとか。


だが今回は何も言わなかった。


ロエンは扉の近くに座っていた。


車体側面の細い窓からは、外門の下部がゆっくり上がっていくのだけが見えた。門の外の光が地面に少しずつ差し込む。最初は一本の線。次に、灰白い一面。


風が入り込んだ。


それは目光城の中の風ではなかった。


城内の風には、金属の匂い、浄化液の匂い、湿った石壁の匂いがある。


城外の風は違った。


もっと空っぽで。


もっと汚い。


あまりに多くの死んだものの間を通り抜け、その匂いを冷たさの中に隠して、人の顔へ運んでくるようだった。


セイラはロエンの向かいに座り、風軌装具を確認していた。


指は安定していた。


風元素石は腰と脚部の金属溝に固定され、淡青い光が影の中で明滅する。最後の固定具を締めると、彼女は車扉を見た。


緊張してはいなかった。


少なくとも表情には出ていなかった。


だがロエンは、彼女のつま先が床を軽く叩いたのを見た。


とても軽く。


まだ風が吹く前から、彼女はもう待っているようだった。


グレンは一番外側に座り、全員の装備固定具を確認していた。


まずノラの医療包を見る。次にミロの弾倉を見る。最後にロエンの肩の防具を押した。


「もう少し締めろ」


ロエンは下を向き、帯を一段内側へ引いた。


ミロはグレンを見た。


「本当にだんだん母親みたいになってきたな」


グレンは怒らなかった。


「お前がもう少し心配されずに済めば、俺も少しは放っておける」


「その言い方がさらに母親だ」


ノラは車内の反対側にしゃがみ、止血膠、浄化片、縫合針、包帯を順番に腰包へ入れていた。一つ入れるたびに、その位置を触る。


持ってきたか確認しているのではない。


目を閉じても取り出せるか確認しているのだ。


彼女は顔を上げ、ミロを一度見た。


「今日は右肩を無理に使わないで」


ミロは一瞬止まった。


「俺の右肩がどうした?」


「昨日、装備を整理している時、上げるのが遅かった」


「そんなところまで見るのか?」


ノラは下を向いた。


「あなたがうるさいから」


ミロはロエンを見た。


「イライが恋しい。あいつは食うだけで、俺の肩を観察しない」


グレンは言った。


「イライは今ごろ王下者に報告しているはずだ」


ミロは鼻を鳴らした。


「二回目の朝食にありついてるかもな」


セイラが淡々と言った。


「彼なら食べる」


ミロは頷いた。


「それは信じられる」


ロエンは何も言わなかった。


イライが去っていく場面が、頭の中に短く浮かんだ。


大きな鞄を背負い、口に乾糧をくわえ、王下者の集合区へ向かう途中で振り返って手を振っていた。笑い方は、ただ別の卓へ食事に行くようだった。


生きて帰ってきてね。


あの時、彼はそう言った。


運搬車がふいに震えた。


外門が完全に上がる。


運転室から兵士の声が聞こえた。


「出城」


車輪が鉄軌を踏んだ。


目光城の影が窓の外で後ろへ退いていく。


次の瞬間、灰白い荒地が全員の目の前に広がった。


城外。


ロエンが城外へ出るのは初めてではない。


だが今回は違った。


以前の彼は下城の先駆者として、誤った任務表と古びた装備、戻れるかどうかも分からない幸運だけを持って外へ出た。


今の彼は正規軍から支給された内核皮戦服を着て、腰には火元素小刀と氷元素小刀を下げ、銃套には元素銃を収め、弾倉はきちんと並べられている。そばには数年訓練を共にした仲間たちがいた。


彼らは、あの頃のように慌ててはいなかった。


だが城外は、そのせいで少しも優しくなってはいなかった。


荒地には旧世界の残骸がいくつも残っていた。


半ば土に埋もれた道路標識。


骨組みだけになった車両。


遠くで倒壊した建物は、食い残された肋骨のように、灰色の地面へ斜めに突き刺さっている。数本の雅核花が割れたコンクリートの隙間に生え、血を丁寧に花の形に塗ったような、過剰な赤を見せていた。


運搬車はほぼ一時間走った。


最後に、一つの廃棄採石場の縁で停まった。


そこはかつて、旧世界が石材を掘り出していた場所だった。


今は、層になった断裂岩壁、崩れた作業台、灰色の水が溜まった穴だけが残っている。数本の鉄軌が採石場の奥から伸びていたが、すでにねじ曲がり、巨大な手で揉まれたようになっていた。


任務隊は十二人だった。


ロエン、ミロ、セイラ、グレン、ノラ。それに、先駆者へ編入されたばかりの新卒数名と、正式な先駆者二名。


隊長は中年の先駆者だった。


姓はオード。


額の端から顎まで伸びる古傷があり、右手には分厚い防具を着け、腰には土元素の長斧を下げていた。


彼は採石場の入口に立ち、任務板を開いた。


「任務内容」


声は低かった。


「採石場外縁に劣質獣の活動痕跡あり。地行亜種と甲殻亜種の混合と推定。数は六から九。目標は討伐、巣穴拡大の確認、使用可能な内核と内核皮の回収」


ミロは「六から九」と聞いて、ロエンを一度見た。


ロエンも任務板を見ていた。


六から九。


数字はいつだって、誰かが書いたものに過ぎない。


オードは彼らが何を考えているのか分かっているようだった。


「数を信じるな」


彼は言った。


「ここは訓練営ではない。一匹見たら、そばにあと三匹いると思え。三匹見たら、地下に巣があると思え」


グレンが頷いた。


「撤退路は?」


オードは彼を一度見た。この質問は悪くないと思ったようだった。


彼は採石場の東側を指した。


「一号撤退路。来た道を戻り、運搬車へ。二号撤退路。東側高地へ向かう。そこには旧鉄塔があり、信号を出せる。三号路。採石場北側の岩壁沿いを迂回する。ただし前二つが塞がれた時だけ使え」


彼は一度止めた。


「勝手に離隊した奴は、その場で死ぬ。馬鹿一人を救うために全隊を死なせる奴はいない」


ミロが小声で言った。


「いつもの正規軍の優しさ」


ノラが淡々と言った。


「少なくとも分かりやすい」


隊列は採石場へ入った。


最前方はオードともう一人の正式先駆者。


グレンは中前段に位置し、ロエンとセイラは左右に分かれた。ミロと二名の銃手は後方、ノラは隊列内側のやや後ろにいた。


地面は乾いていた。


だが痕跡がまったくないわけではない。


ロエンはしゃがみ、砕石の間にいくつかの引きずり跡を見つけた。


深くない。


何か低く伏せたものが、ここを這ったようだった。


セイラが彼の隣に立った。


「何匹?」


ロエンは少し見た。


「少なくとも四匹」


ミロが後ろで言った。


「任務板は六から九って言ってるんだ。今回は想像力豊かじゃないことを願う」


グレンが低く言った。


「任務板に良心を期待するな」


採石場の奥から、最初の摩擦音がした。


石が押される音。


短い爪の擦れる音。


オードが手を上げた。


隊列が止まる。


全員の銃口が下がる。


ロエンは左側の岩壁を見た。


そこに一つの裂け目があった。


大きくはない。人一人が横向きで通れる程度だ。その中は深く暗く、誰かが光をすべて掘り取ったようだった。


次の瞬間、一匹の甲殻型劣質獣が裂け目から飛び出した。


ミロの銃声がほぼ同時に響く。


氷元素弾がその前足のそばに当たり、地面が霜を結ぶ。


そいつの身体が滑った。


セイラが側面から突進する。


風軌装具が短い空気音を立てた。


彼女は以前のようにその背後へ一直線に飛び込まず、奴の旋回外側で止まった。


ロエンは彼女の落点を見て、すぐに切り込んだ。


火元素小刀が甲殻の隙間を切り裂き、熱流が内側の柔らかい肉を焦がす。


甲殻型劣質獣が身を捻る。


グレンが正面から押し込み、長刃を首の下へ突き入れた。


そいつは二度ほど痙攣し、倒れた。


一匹目。


大きな異常はない。


二匹目は右側の砕石山から飛び出し、オードの土元素長斧に前脚を砕かれた。


三匹目は後方からノラに近づこうとしたが、ミロが発見し、雷元素弾一発で身体を硬直させ、別の先駆者がとどめを刺した。


戦闘開始から最初の十分間は、訓練営の延長のようだった。


血の匂いは濃い。


音は乱れている。


死は近い。


だが、彼らは対応できていた。


劣質獣は危険だ。だが、それでも劣質獣だった。


特殊能力はない。


不自然な判断もない。


教材を大きく超えるものもない。


ミロは空になった弾倉を替えながら、息を吐いた。


「任務がここで終わるなら、正規軍の訓練は役に立ったって、ぎりぎり言ってやれる」


ロエンは言った。


「まだ終わっていない」


ミロは彼を見た。


「お前、たまにはいい言葉を一秒くらい生かしてくれないか?」


ロエンは答えなかった。


彼は聞こえたからだ。


摩擦音ではない。


低い唸りでもない。


短い静寂。


採石場の奥では、さっきまで劣質獣が動く音がしていた。


今はない。


見えないだけではない。


聞こえない。


砕石が落ちる音すら止まっていた。


グレンも気づいた。


「オード隊長」


オードが手を上げた。


全員が止まった。


彼は採石場の底部を見た。


そこには岩壁に囲まれた低地があり、周囲にはいくつかの旧坑道入口があった。任務板によれば、巣穴はそのうちの一つかもしれなかった。


だが今、すべての入口が静かだった。


静かすぎる。


ミロの銃口がゆっくり右側へ向いた。


ノラが低く言った。


「さっきの一匹、後脚に傷があった」


ロエンは彼女を見た。


「どれだ?」


「三匹目」ノラは言った。「自然な怪我じゃない。切り口が整いすぎていた」


オードはそれを聞き、顔色を変えた。


「低地から出る」


彼は即座に言った。


「今すぐだ」


隊列は後退を始めた。


躊躇はなかった。


これが訓練の成果だった。


なぜとは聞かなかった。巣穴確認にこだわって深入りもしなかった。


だが、採石場の方が早かった。


北側岩壁の上から、突然砕石が落ちてきた。


大量の岩が高所から崩れ、彼らが一号路線へ戻ろうとしていた場所に落ちた。


煙塵が弾けた。


運搬車の方向が一時的に塞がれる。


「二号路線!」


オードが吼えた。


隊列は東側高地へ向きを変えた。


その瞬間、最初の新卒が引きずられた。


何が動いたのか、誰にも見えなかった。


ただ鈍い音が一つした。


隊列左後方にいた男が、煙塵の中へ突然消えた。


次の瞬間、彼の悲鳴が採石場の反対側から聞こえた。


短かった。


誰かの手で喉を掴み潰されたように、短かった。


ミロが激しく銃を向けた。


「何だよ、今の?」


ロエンは煙塵の奥を見た。


何かがそこにいる。


劣質獣ではない。


静かすぎる。


速すぎる。


巨大な爪が煙の中から伸び、地面に押しつけられた。


砕石が潰れる。


次に、頭が現れた。


それは狼に似ていて、狼ではなかった。


身体は劣質獣の何倍も大きく、背中には不規則な甲殻が生え、甲殻の間には赤い雅核花の根のような紋様が走っていた。四肢は長く、前爪は内核皮戦服をそのまま引き裂けそうだった。目は多くない。ただ二つだけ。だが、その光は不快なほど強かった。


そいつが煙塵の中から歩み出た時、全員の呼吸が一瞬止まった。


オードの声が初めて変わった。


「卓越種」


その二文字は、水の中に石が落ちるようだった。


爆発はない。


だが全員の身体が沈んだ。


ミロは銃を握る指に力を込めた。


「劣質獣じゃなかったのかよ」


誰も答えなかった。


その卓越種が動いたからだ。


一番近い人間へは向かわなかった。


先に二号撤退路へ飛びかかった。


そこには高地へ向かおうとしていた二人の先駆者がいた。


そいつは、彼らがそこへ退くことを最初から知っていたようだった。


爪が横へ薙がれる。


一人目の上半身がそのまま弾き飛ばされ、身体が岩壁に叩きつけられた。水を詰めた袋が破れたような音がした。


二人目が発砲した。


雷元素弾が卓越種の肩甲に当たる。


電流が爆ぜた。


そいつは少し頭を傾けただけだった。


そしてそのまま、男の腰を噛み千切った。


ミロの顔が白くなった。


訓練営の劣質獣がどれだけ凶暴でも、こんな圧迫感はなかった。


これは一階級上というだけの差ではない。


今まで木刀で練習してきた者が、今日初めて本物の刃が人間の身体を切るのを見たようだった。


オードが吼えた。


「散開! 直線で退くな! 氷弾で抑えろ、土弾で封じろ!」


ミロが引き金を引いた。


氷元素弾が卓越種の前方に命中した。


白霜が広がる。


別の銃手が土元素弾を地面へ撃ち込み、粗い土壁を立ち上げた。


卓越種は突っ込まなかった。


止まった。


速すぎるほどに止まった。


まるで最初から突っ込むつもりなどなかったように。


次の瞬間、そいつは右へ向いた。


そこにはノラと、別の負傷者がいた。


グレンが即座に走った。


「下がれ!」


彼は肩で負傷者を押しのけ、自分は長刃を掲げて前に立った。


卓越種の爪が落ちた。


グレンの身体が吹き飛ばされ、半ば折れた鉄軌に叩きつけられた。


鉄軌が変形した。


彼は血を吐いたが、生きていた。


ノラはすぐに彼へ走った。


「グレン!」


ロエンはそちらへ行こうとした。


だが、セイラがすでに動いていた。


風軌装具が短い風音を爆ぜさせ、彼女は側面から卓越種の首筋へ突っ込んだ。


速かった。


ミロにはほとんど影しか見えなかった。


だが卓越種は振り返らなかった。


そいつは横へ一歩踏み出した。


ただ一歩。


セイラの攻撃は空を切った。


彼女の着地点は、ちょうどそいつの尾の掃撃範囲内だった。


ロエンが叫んだ。


「止まれ!」


セイラは二度目の噴射を強引に中断した。


少し遅かった。


尾が彼女の肩側を薙いだ。


内核皮戦服が裂け、彼女の身体が転がっていく。


ロエンは彼女へ走り、砕石の縁から引き戻した。


セイラは歯を食いしばって起き上がった。


肩は血まみれだった。


彼女はその卓越種を見た。目に初めてはっきりとした怒りが浮かんでいる。


「今の……」


ロエンは言った。


「お前の着地を待っていた」


セイラは反論しなかった。


彼女にも分かったからだ。


あれは野獣の反応ではない。


待っていた。


オードが土元素長斧を地面へ叩きつけた。土石が隆起し、卓越種と隊列を一時的に隔てる。


「撤退!」


彼は吼えた。


「全員北側へ! 三号路線だ!」


三号路線は最悪の道だった。


狭い。


遠回り。


岩壁が高い。


だが、もうそこしか残っていなかった。


隊列は北側へ移動を始めた。


だが卓越種はまた一歩早かった。


近くの傷員を追わなかった。


最も出血しているグレンも追わなかった。


そいつはミロへ向いた。


ミロはちょうど弾倉を替え終えたところだった。


顔を上げた瞬間、あの二つの目と合った。


その一瞬、ロエンは理解した。


知っている。


そいつは知っている。


ミロの銃が一番厄介だと知っている。


氷弾、雷弾、水弾。すべての牽制は後方から来る。


だから、そいつは無作為に人を選んでいるのではない。


隊を解体している。


ミロも理解した。


だが退くには遅すぎた。


卓越種が身体を低くした。


次の瞬間、そいつはその場から消えた。


本当に消えたわけではない。


視線が追いつかないほど速かっただけだ。


ミロが引き金を引く。


氷弾は卓越種の肩をかすめ、後方の岩壁に当たった。


外れた。


「ミロ!」


グレンが立ち上がろうとしたが、動いた瞬間に血を吐いた。


セイラは風軌で飛び込もうとしたが、肩の傷で一瞬平衡を失った。


ノラは遠すぎた。


オードは別の坑道から飛び出した劣質獣に足止めされていた。


ロエンが動いた。


何も考えなかった。


判断もなかった。


自分の呼吸も聞こえなかった。


ミロは卓越種の爪の下で銃を持ち上げていた。もう間に合わない。


ロエンはミロにぶつかった。


彼を突き飛ばした。


ミロの身体は砕石の地面に倒れ、肩を打って痺れた。次の瞬間、卓越種の前爪がロエンに落ちた。


内核皮戦服が先に裂けた。


その音は布が破れる音ではなく、硬い殻が巨力で押し潰される音に近かった。


次に、骨。


ロエンの右半身が丸ごと貫かれた。


卓越種の爪は右肩の下から斜めに入り、肋側と腹部を貫き、背中から破れた血肉を引きずり出した。砕けた内核皮、折れた肋骨、引き裂かれた筋肉、暗い臓器が混ざり合い、まるで右側から身体の一塊をえぐり取られたようだった。


彼の身体は地面に叩き込まれた。


砕石が四方へ弾ける。


ロエンの口から血が噴き、ミロの顔に落ちた。


ミロは横に倒れていた。


耳の中は一面の耳鳴りだった。


世界が水に満たされたようだった。


彼はロエンが地面に倒れているのを見た。


右半身は、もう完全な人間の身体とは呼べないものになっていた。


火元素小刀がロエンの手元に落ち、刀身の光が明滅している。


ミロは口を開いた。


最初、声は出なかった。


それから、自分が叫ぶのを聞いた。


「ロエン!」


卓越種が爪を上げた。


二撃目を入れるつもりだ。


セイラが飛び込んできた。


風軌装具が鋭く爆ぜ、淡青い光が煙塵を刺し破る。彼女は卓越種の急所を狙ったのではない。ただ、その側面へ直接ぶつかった。


その衝撃は重かった。


だが卓越種は半歩ずれただけだった。


半歩。


セイラが奪えたものは、それがすべてだった。


そしてその半歩が、卓越種の二撃目をロエンの横へ落とさせた。


砕石がまた弾ける。


セイラは反動で吹き飛ばされ、肩の傷がさらに裂けた。彼女は地面を二度転がり、風軌装具が石にぶつかって耳障りな金属音を立てた。


オードが土元素長斧を投げた。


斧刃が卓越種の肩甲に当たり、土元素が爆ぜ、大量の砕石が地面から隆起して、短くそいつの進行を塞いだ。


「撤退!」


オードが吼えた。


「全員、北側坑道へ退け!」


誰もすぐには動かなかった。


ミロがまだロエンのそばに跪いていたからだ。


ノラがロエンのそばへ駆け寄った時、手はすでに医療包の中へ入っていた。


止血膠。


浄化片。


圧迫帯。


動きは速かった。


ほとんど考えるより先に動いていた。


だが、ロエンの右側の傷を見た時、彼女の手が止まった。


それは傷ではなかった。


貫かれた後に残った空洞だった。


破れた戦服の下から血が溢れ、いくら押さえても止まらない。止血膠を貼った瞬間、血が端から押し上げて剥がしてしまった。浄化片は血の中に落ち、すぐに元の色が分からなくなった。


ノラの指が初めて震えた。


一度だけ。


ミロはそれを見た。


その一度は、どんな宣告より明確だった。


「ノラ?」


ノラは彼を見なかった。


彼女は手を傷口に押しつけた。


「押さえて」


声はまだ安定していた。


だがミロには分かった。


それは救命の声ではない。


救えないと分かっていても、すぐには手を放せない人間の声だった。


ミロは両手でロエンの右側の裂けた身体を押さえた。


血がすぐに指の間から溢れた。


熱い。


多すぎる。


一人の人間から流れる量とは思えないほど多い。


「ロエン、眠るな」


ミロの声が震えていた。


「聞こえてるだろ? 眠るな」


ロエンは彼を見ていた。


視界はぼやけていた。


ミロの顔は血まみれだった。


彼自身のものもある。


ロエンのものもある。


ロエンは話そうとした。


喉の中には血の音だけがあった。


ミロに離れろと言いたかった。


もう押さえるなと言いたかった。


聞こえていると言いたかった。


だが唇が動いただけで、声は一つも出なかった。


遠くで、卓越種がまた低く唸った。


その声はさっきよりさらに低かった。


もう焦れているようでもあり、そもそも最初から急ぐ必要などなかったようでもあった。


さらに多くの劣質獣が坑道から這い出してくる。


犬型。


甲殻型。


長肢の痩獣。


奴らは乱れて突っ込んでこなかった。


採石場の両側から迫り、ロエンのそばへ戻る道を塞ぎ、運搬車へ戻る方向も塞いだ。


オードはその移動を見て、顔色を変えた。


「奴ら、俺たちを追い込んでいる」


グレンが変形した鉄軌を支えに立ち上がった。


肋骨は折れているかもしれない。左腕からも血が流れている。それでも彼はミロの方へ歩いた。


「ミロ」


ミロは振り返らなかった。


「触るな」


グレンは一度止まった。


「行かないといけない」


ミロが激しく顔を上げた。


「あいつはまだここにいる!」


グレンはロエンを見た。


彼の表情は冷たくなかった。


冷たくないからこそ、痛かった。


「分かってる」


「なら連れていけ!」


ノラの手はまだロエンの傷口を押さえていた。


血は止まらない。


彼女はミロを見た。声は戦闘音に飲み込まれそうなほど低かった。


「運べない」


ミロは固まった。


ノラは言った。


「あなたには運べない。自分もここに残るだけ」


ミロの目が赤くなった。


「黙れ」


ノラは黙らなかった。


「ミロ」


その声が初めて冷たくなった。


「彼にはもう、あなたが運べる身体が残っていない」


その言葉は刃のようにミロの耳へ刺さった。


彼はロエンを見下ろした。


ロエンの右半身は、形を留めていなかった。


内核皮戦服の破片と血肉が絡み合っている。少し動かすだけで、残った身体さえさらに裂けてしまうかもしれなかった。


ミロの手が震え始めた。


理解したくなかった。


だが、理解してしまった。


卓越種が土石の障壁を破壊した。


土元素で作られた壁が崩れ、破片が転がり落ちる。オードが再び斧を振り、その最初の突進を受け止めたが、身体は数歩押し戻され、靴底が地面に二本の深い跡を引いた。


「行け!」


オードが吼えた。


「今だ!」


セイラが地面から立ち上がった。


彼女はロエンを見た。


それから、卓越種と劣質獣の間の、どんどん狭くなっていく隙間を見た。


行きたい。


一度噴射すればいい。


着地点が正確なら。


自分があの核獣たちより速ければ。


風軌装具が光った。


淡青い光が腰元から浮かぶ。


ロエンには見えていた。


もうほとんど視界は利かなかったが、それでもセイラが動こうとしていることは見えた。


彼は口を開こうとした。


止まれ。


だが喉の中には血しかなかった。


セイラが半歩前に出た。


次の瞬間、卓越種の目が彼女へ向いた。


その目には野獣の怒りはなかった。


ただ待っていた。


セイラは止まった。


初めて、あんなにも硬く止まった。


なぜなら、これ以上前へ行けば、奴は彼女の着地を待っていると分かったからだ。


ロエンはかつて言った。


あいつはお前の着地を待っていた。


セイラは歯を食いしばった。


風軌装具の光が一度明滅し、最後に消えた。


彼女はロエンの元へ飛び込まなかった。


飛び込めなかった。


それは傷よりも彼女を苦しめた。


ミロはまだロエンのそばに跪いていた。


グレンが彼の肩を掴んだ。


ミロは激しく振り払った。


「触るなって言っただろ!」


グレンは怒らなかった。


ただ、もう一度ミロを掴んだ。


今度は全力だった。


ミロはもがいた。


「放せ! グレン、放せ!」


グレンの腕の傷が裂け、血が手首を伝って落ちた。


それでも離さなかった。


「お前は生きろ」


「あいつがそこにいる!」


「分かってる!」


グレンが初めて吼え返した。


その声にミロは揺さぶられた。


グレンの目も赤かった。


だが、その手は緩まなかった。


「だからこそ、お前は生きろ!」


ミロの呼吸が砕けた。


胸の中の何かを無理やりへし折られたようだった。


ノラはゆっくりと、ロエンの傷口を押さえていた手を離した。


血が止まったからではない。


自分にはもうできることがないと分かったからだ。


彼女はロエンを一度見下ろした。


「ごめん」


とても小さな声だった。


ミロにさえ、ほとんど聞こえないほどに。


次の瞬間、劣質獣が飛びかかってきた。


セイラが風軌装具で横へ噴射し、一匹の犬型劣質獣を弾き飛ばした。ミロはグレンに引きずられ、ほとんど半ば担がれるように北側坑道へ退いていく。


彼はまだロエンを見ていた。


ロエンは血溜まりの中に倒れていた。


指は地面に垂れている。


火元素小刀まで、あと少しだった。


あと少しで触れられる距離だった。


ミロはその手を見た。


「ロエン!」


煙塵が巻き上がる。


岩壁から崩れ落ちた砕石が視界を遮った。


ロエンの姿は灰色の塵に呑み込まれた。


ミロはまだ叫んでいた。


その声は坑道の反響に裂かれ、自分の声とは思えないものになっていた。


セイラは隊列の最後尾へ下がった。


追ってくる劣質獣を防ぎながら、何度も振り返った。


だが、もうロエンは見えなかった。


見えるのは煙塵だけ。


灰色の煙塵。


そして血。


オードは残った者たちを連れ、北側坑道へ突入した。


坑道は狭く、壁は湿って冷たい。足元には砕石が敷き詰められていた。全員の呼吸が闇に押し込められ、血の匂い、鉄錆の匂い、追ってくる核獣の生臭さと混ざった。


卓越種はすぐには追ってこなかった。


そいつは坑道の外に立っていた。


低く、彼らを見ている。


まるで、すでに彼らを行くべき場所へ追い込んだかのように。


まるで、先ほどまでのすべてが狩りではなく。


追い立てる行為だったかのように。


ミロはグレンに坑道の壁へ押さえつけられていた。


まだ外へ飛び出そうとしている。


グレンは身体で彼を塞いだ。


「駄目だ」


ミロはグレンの襟を掴んだ。


「あいつはまだ外にいる」


グレンは歯を食いしばった。


「分かってる」


「分かってない!」


ミロの声は割れていた。


「分かってない!」


グレンは反論しなかった。


ただミロを抱き込み、壁に押しつけた。


ミロは何度かもがいた後、最後には力を抜かれたようにずるりと崩れ落ちた。


ノラは横に立っていた。手はロエンの血で染まっている。


彼女は自分の手を見下ろしていた。


泣いてはいなかった。


ただ、見ていた。


セイラは坑道口の陰の中に立っていた。肩から落ちる血が地面を濡らす。


彼女は外の、煙塵に遮られた採石場を見ていた。


風軌装具は彼女の身体に静かに固定されている。


初めて、それが重いと思った。


採石場では。


ロエンはまだ、その場に倒れていた。


周囲の音が遠ざかっていく。


戦闘音。


叫び声。


ミロの声。


セイラの風の音。


グレンの怒号。


ノラの「ごめん」。


すべてが遠くなっていった。


空は灰白色だった。


砕石が彼のそばに落ちる。


一匹の劣質獣が遠くを通り過ぎたが、彼には近づかなかった。


卓越種の影が地面に落ち、一瞬だけ彼の身体を覆った。


やがて、その影も離れていった。


ロエンは動こうとした。


動けなかった。


息を吸おうとした。


吸い込むのは血だけだった。


胸の奥にずっと沈んでいたものは消えていた。


いや、ようやく裂けたのかもしれない。


何かがその内側から伸びてくる。


痛みではなかった。


恐怖でもなかった。


それよりもっと深いもの。


初めて夜に目を覚ました時から、ずっとそこに伏せて待っていたようなもの。


ロエンの視界は、ゆっくりと黒く沈んでいった。


闇が中心から広がり、岩壁を呑み込み、空を呑み込み、血の色さえも呑み込んでいく。


最後に、彼には何も見えなくなった。


ロエンは死んだ。

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