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第二章:正規軍

第二章:正規軍


太陽が昇ったとき、空から流星が降ってきた。


一つではなかった。


二つでもなかった。


無数の白い光が朝の空を横切り、細く長い尾を引きながら、まるで誰かが空という幕に、光る傷跡をいくつも刻んでいるようだった。


朝日は明るかった。


雲の縁が淡い金色に染まるほどに。


だが、その流星たちは太陽よりも眩しかった。


それらは高い場所から落ちていき、薄い雲を抜け、風を抜け、遠い大地へと向かっていく。一筋一筋の光は、災厄とは思えないほど静かで、まるで何かの祝福のようにさえ美しかった。


地上には、一人の男が白い光の中に立っていた。


男の輪郭はわずかにはっきりしていた。彼は、すでにこの時代のものではない黒いスーツを着ていた。ただ、その目だけは闇に塗りつぶされたように見えなかった。


彼の前に、一つの手が垂れていた。


その手は大きかった。


何かを握るために存在しているというより、人の身体を骨ごと掌の中に包み込めるほどに大きかった。太く長い指の関節はわずかに曲がり、皮膚は焼け焦げたあと再び生えたような黒い硬皮に覆われ、その裂け目の奥には暗い赤色の光がかすかに滲んでいた。


男は手を上げた。


ためらいはなかった。


祈りもなかった。


ただ、すでに決まっていた結末を受け入れるように、その巨大な手を取った。


その瞬間、手の主の輪郭がようやく現れた。


それは巨大で、背を丸め、曲がった二本の角を持つ悪魔だった。


悪魔は男の前に立っていた。その身体は朝の空を突き破りそうなほど高く、背骨は歪むように曲がり、両腕はだらりと垂れ、頭は低く下がっていた。男を見下ろしているようでもあり、男が近づくのを待っているようでもあった。


空では、まだ流星が降り続けていた。


一つ、また一つ。


一筋、また一筋。


その白い光は男のスーツを照らし、悪魔の曲がった角をも照らした。


男は空を見上げなかった。


悪魔も見上げなかった。


二人はただ、互いの手を握っていた。


次の瞬間、世界は白に呑み込まれた。


ローエンは目を開いた。


部屋の中は暗かった。


古びたカーテンが外の光を遮り、灰白色の細い線だけが部屋の中に落ちていた。部屋の隅の水桶には冷えた埃が薄く浮かび、空気には下層の夜に残る湿った匂いが染みついていた。


ローエンはベッドに横たわったまま、すぐには起き上がらなかった。


呼吸が少し乱れていた。


胸のあたりが、内側からゆっくり押さえつけられているように重かった。鋭くも、激しくもない。ただ無視できないほどの重さだった。見えない手が、皮膚と肉の向こうから、その場所を静かに押しているようだった。


喉も締まりはじめていた。


冷たい石が一つ、奥に引っかかっているようだった。


ローエンは右手を上げた。


指がわずかに曲がり、やがてゆっくりと拳になる。


その拳は空中で止まった。


長いあいだ止まっていた。


そして最後に、胸元へ近づいた。


強く押しつけたわけではない。


ただ、そこに触れていた。


何かがまだそこにあるのを確かめるように。


あるいは、見えない何かを押し戻そうとしているように。


ベッド脇の棚には、昨日持ち帰ったものがまだ置かれていた。


欠けた劣質種の核。


破損した内核皮。


報酬の鉄札。


火元素のナイフ。


氷元素のナイフ。


そして、あの元素銃。


死人の手から持ち帰った銃。


ローエンは顔を横に向け、それを見た。


銃身の亀裂は暗がりの中で、ぼやけた黒い線のようにしか見えなかった。握りの端には摩耗した跡があった。かつて誰かが何度も握り続け、その手が二度と握れなくなるまで残した跡のようだった。


ローエンの拳が、さらに少しだけ強くなった。


コン、コン、コン。


扉の外から、急なノックの音がした。


ローエンの手が止まる。


次の瞬間、先ほどより速く、またノックが響いた。


コンコンコンコン。


「ローエン!」


扉の外からミロの声が聞こえた。声は低く抑えられていたが、明らかに焦りが混じっていた。


「起きてるか? 早く開けろ!」


ローエンは身体を起こした。


古いベッド板がぎしりと鳴る。


彼は手を下ろし、眉間を揉んだ。


「起きてる」


「じゃあ早く開けろ!」外からミロが言った。「先駆者の建物の方に新しい公告が貼られた」


ローエンは扉の前まで歩き、開けた。


廊下の冷たい光が部屋の中に漏れ込む。


ミロは扉の外に立っていた。額の端にはまだ止血用の膏薬が貼られており、いつもより表情が硬い。片手を扉枠につき、もう片方の手には剥がしてきた公告紙を握っていた。紙の角は、彼の指でしわくちゃになっている。


ローエンはその紙に目をやった。


「何だ」


ミロは紙を彼の前に突き出した。


「正規軍だ」


ローエンはすぐには受け取らなかった。


ミロはそのまま紙を彼の手に押しつけた。


「先駆者正規軍が人員を補充する。今日から登録開始、三日後に考核。城外任務の記録がある奴だけ受けられる」


ローエンは紙面に目を落とした。


黒い文字は濃く書かれていた。まるで下層の人間が見なかったふりをしないように。


正規軍補充考核。


城外任務経験者に限る。


初試合格者は長期訓練隊に編入。


訓練終了後、先駆者、守城者、王下者の関連方向を自ら選択可能。


紙の一番下には、小さな文字がもう一行あった。


近頃、城外の異常が増加しているため、正規軍は実戦記録を持つ人員を優先的に受け入れる。


ローエンはその一行を見つめた。


城外の異常が増加。


その数文字は、とても平静に書かれていた。


昨日、東側腐林で減った人間たちも、ただ分類可能な変化の一つでしかないと言わんばかりに。


ミロは彼が読み終わるのを待たず、急いで言った。


「これは普通の募集じゃない。正規軍の考核だ。通れば、装備も配給も訓練も今より良くなる。少なくとも、任務壁の一番下に貼られたクソみたいな紙で命を繋がなくて済む」


ローエンは顔を上げた。


ミロの話す速度は速かった。


まるで少しでも遅くなれば、昨日の腐林の音を思い出してしまうのを恐れているようだった。


「聞いてきた」ミロは言った。「城外任務の記録があれば登録できる。昨日のあれも含まれる」


昨日のあれ。


ローエンが公告紙を握る指が、わずかに止まった。


ミロはそれに気づいたが、止まらなかった。


「ローエン、俺たちはあんな任務を受け続けるわけにはいかない」


声が少し低くなる。


「昨日は劣質種だった。任務表には一から三体って書いてあった。で、結果は?」


廊下が静かになった。


隣の部屋から水桶が蹴られた音がして、誰かが小さく悪態をついた。その後、また沈黙に戻った。


ミロはローエンを見ていた。


「もう一度同じことがあったら、あの老兵が通りかかるまで生きていられるとは限らない」


ローエンは答えなかった。


彼は公告紙を見下ろした。


正規軍。


考核。


長期訓練隊。


先駆者。


守城者。


王下者。


その文字たちは並んで、一つの高い場所へ続く道のように見えた。


同時に、より清潔で、より正式な危険のようにも見えた。


ミロは手を伸ばし、ローエンの肩を掴んだ。


「受けよう」


ローエンは目を上げた。


ミロの指には力が入っていた。


「結果がどうであれ、少なくとも受けに行こう」


ローエンはミロの額に貼られた止血膏を見た。


それから、棚の上の元素銃を見た。


その銃は静かにそこに横たわっていた。


まるで昨日は終わっていないのだと言うように。


ただ形を変えて、この部屋に残り続けているだけのように。


ローエンはゆっくりと公告紙を畳んだ。


「登録はいつだ」


ミロはようやく息を吐いた。


「今だ」


ローエンは上着を取った。


ミロは横へ退いた。


廊下の冷たい光が二人を照らし、影を長く引き伸ばしていた。


ローエンは扉を閉める前に、もう一度棚を見た。


欠けた劣質種の核が、かすかな暗赤色の光を放っていた。


まるで消えかけているのに、まだ閉じていない目のようだった。


彼は扉を閉めた。


鉄扉が鈍い音を立てた。


ミロはすでに階段の方へ歩き出していた。


「急げ」振り返って言う。「登録する奴は多い。遅れたら午後まで並ぶぞ」


ローエンはその後を追った。


「三日後が考核じゃなかったのか」


「そうだ」


「なら、どうしてそんなに急ぐ」


ミロは足を止めなかった。


「下層の人間が『正規軍』って三文字を見たら、核獣より速く走るからだ」


少し間を置いて、さらに付け加える。


「少なくとも、核獣は登録枠を奪いに来ない」


ローエンは何も返さなかった。


ただ、足取りが少しだけ速くなった。


下層の朝は、ローエンが思っていたより騒がしかった。


市場はすでに開いていた。


熱いスープの屋台の前には列ができ、鉄車が通りの向こうから軋みながら進み、車輪が地面の水たまりを踏みつけ、灰混じりの泥を跳ね上げた。壁際にしゃがんで破れた靴を修理する者もいれば、欠けた鉄盆に乾糧の屑を盛り、屋台の主人と小声で値段交渉をしている者もいた。


空気には油煙、鉄錆、湿った布の匂いが混じり、さらに遠くから漂ってくる浄化液の残り香もあった。


ローエンとミロは人混みを抜けた。


二人とも何も食べていなかった。


空腹でないわけではない。


ただ今ここで熱いスープの列に並べば、自分たちの番が来るころには、正規軍の登録所の列が別の通りまで伸びているだろう。下層の人間は、明日を少しでもましにしてくれるかもしれないものに対しては、いつも走るのが速い。


たとえそれが、もう一種類の、より正式な危険にすぎなくても。


先駆者の建物はすぐに通りの先に見えてきた。


灰黒色の外壁は相変わらず斑になっており、正門の上には巨大な鉄札が掛かっていた。


先駆者。


昨日、彼らはここから城外へ出た。


今日、またここへ戻ってきた。


違っているのは、門の前が昨日よりもずっと混んでいることだけだった。


一群の人々が外壁の公告の前に集まり、小声で話していた。つま先立ちで前を見る者もいれば、横の低い壁によじ登って文字を読もうとする者もいた。制式戦服を着た正規軍兵士が数人、門の脇に立っており、手には元素銃を握っていた。その表情は壁の鉄札のように冷たかった。


「並べ! 登録は左側の門からだ!」


一人の兵士が声を張り上げた。


「城外任務記録のない者は並ぶな! 時間の無駄だ、帰れ!」


人群の中から不満の声が上がった。


「なんで記録のある奴だけなんだ?」


「俺は先駆者に登録したことがある。ただ任務を受けられなかっただけだ!」


「それも経験に入るだろ?」


兵士はその男を見た。


「核獣に聞いてみろ。入るかどうか」


男は黙った。


ミロはそれを聞いて、口元をひきつらせた。


「正規軍って、けっこう親切な話し方をするんだな」


ローエンは列の人々を見た。


並んでいるのは、ほとんどが下層の先駆者だった。


自分で修繕した内核皮戦服を着ている者もいれば、任務札と古い銃だけを持っている者もいた。顔にまだ癒えていない傷が残っている者もいる。中には、彼らよりさらに若く見える者も数人いた。人群の中に立ち、正規軍兵士の装備ばかりを見ている。


その目を、ローエンはよく知っていた。


少しだけ死ににくそうな道を見る目だ。


ミロが彼の袖を軽く引いた。


「左だ」


左側の門の前にも列ができていた。


そちらの人間は比較的静かだった。


なぜなら、中へ入る前に全員が自分の鉄札を机の向こうの登録員へ渡し、照合を受けなければならないからだった。


任務記録のない者は、その場で追い返された。


言い争おうとする者もいた。


登録員はただ名簿をめくった。


「出城記録なし」


「輸送隊に同行したことがある!」


「先駆者任務ではない」


「核獣を殺したことがある!」


「死体は?」


「城外だ」


「なら城外で登録しろ」


後ろの方から笑い声が数回漏れた。


その男は顔を真っ赤にしたが、結局兵士に押しのけられた。


ミロは声を低くした。


「少なくとも俺たちは、昨日ほとんど死にかけたことが役に立ってるな」


ローエンは何も言わなかった。


列が進む。


ミロの番になると、登録員は顔を上げて彼を一瞥した。


「鉄札」


ミロは自分の先駆者鉄札を机に置いた。


登録員はそれを受け取り、隣にある小型の読み取り機に差し込んだ。機械が小さく唸り、灰色の画面に数行の文字が浮かび上がる。


「ミロ。下層先駆者。任務記録三回。直近、東側腐林辺縁、劣質種昆虫亜種討伐」


登録員は少し止まった。


そしてミロの額の止血膏を見た。


「生きて戻ったのか」


「今のところは」ミロは言った。


登録員は笑わなかった。


名簿に一筆入れ、臨時登録札をミロに押し出した。


「入れ。右側の待機区へ」


ミロは登録札を取り、すぐには行かず、ローエンを見た。


ローエンは自分の鉄札を机に置いた。


読み取り機が再び唸った。


画面の文字がいくつか跳ねる。


登録員は資料を見て、眉をわずかに動かした。


「ローエン。下層先駆者。任務記録二回。直近、東側腐林辺縁、劣質種昆虫亜種討伐」


彼は顔を上げた。


「回収記録が多いな」


ローエンは答えなかった。


登録員はしばらく彼を見て、また下を向いて記入した。


「負傷は?」


「ない」


「汚染反応は?」


「ない」


「精神異常は?」


隣でミロが咳払いをした。


ローエンは登録員を見た。


「ない」


登録員は、その答えが本当かどうかなどまったく気にしていないようだった。ただ聞くべきことを聞き終えると、もう一枚の臨時登録札を取り、机の上に投げた。


「入れ。右側の待機区へ」


ローエンは登録札を取った。


札は薄く、その上には黒い数字が刻まれていた。


七十二。


ミロの札は七十一だった。


二人は側門から入った。


門の向こうは、昨日装備を受け取った場所ではなく、比較的狭い通路だった。壁面は大広間より少し清潔だったが、それでも古い血痕を洗い落としたあとに残る暗い跡が見えた。通路の奥には正規軍兵士が数名立っており、登録札を確認していた。


一人の兵士が二人の番号を見て、右を指した。


「中で待て。番号を呼ばれたら出ろ」


ミロは首を伸ばして中を覗いた。


右側の待機区は、臨時に空けられた倉庫のようだった。


中にはすでに多くの人が座っていた。


壁にもたれて目を閉じている者もいれば、銃を拭いている者もいる。手の中の登録札を何度も見つめ、まるでそれが急に消えるのではないかと恐れている者もいた。


ローエンとミロは壁際の場所を見つけて座った。


床は冷たかった。


ミロは背を壁に預け、大きく息を吐いた。


「七十一、七十二。まだ遅くはなかったな」


ローエンは手の中の札を見た。


「何を試される」


「知らない」ミロは言った。


「聞いてきたんじゃないのか」


「俺が聞いたのは登録のことだ。試験問題じゃない」


「役に立つな」


「お前が何も聞かないよりは役に立つ」


そう言って、ミロも静かになった。


倉庫の中には人が増えていった。


一定の間隔で人が連れてこられた。反対側の扉から連れていかれ、そのまま戻ってこない者もいた。外に出た者が第一段階を通過したのか、それともその場で落とされたのか、誰にも分からなかった。


壁には古い時計が掛かっていた。


針はとても遅く進んだ。


まるで、待つこと自体も考核の一部なのだと、わざと知らせているようだった。


ローエンは壁にもたれ、向かいの数人に視線を落とした。


右手の指を二本失った男がいた。それでも古い元素銃を携えていた。その隣には、左の頬に爪痕のある女がいた。傷は目尻から顎まで伸びており、すでに癒えてはいたが、彼女の顔を常に眉をひそめているように見せていた。


もう一人、せいぜい十五、六歳にしか見えない若者もいた。


彼は自分の鉄札を抱え、指をずっと震わせていた。


ミロもそれに気づいた。


彼は低く言った。


「この年でも受けられるのか」


ローエンはその若者を見た。


「任務記録があれば」


ミロは少し黙った。


「アカシアって、本当に公平だな」


公平だった。


城外へ命を捨てに行った記録があるかどうかだけを見る。


何歳か、手が震えているか、夜に泣いて目覚めるかどうかなど、誰も気にしない。


倉庫の反対側の扉が突然開いた。


深灰色の正規軍制服を着た男が入ってきた。


それほど年は取っていない。髪は短く刈られ、左目の下には淡い傷痕があった。身につけている内核皮戦服は下層先駆者のものよりはるかに整っており、胸元には銀色の徽章が掛かっていた。


倉庫内の声が徐々に小さくなった。


男は人々の前に立ち、ひと通り見回した。


「今回の補充考核の担当者の一人、カレイだ」


声は大きくなかったが、はっきりと聞こえた。


「まず言っておく。これは仕事の募集ではない」


誰も話さなかった。


カレイは続けた。


「お前たちは、より良い配給をもらいに来たわけでも、より良い戦服を受け取りに来たわけでも、安全な道を探しに来たわけでもない」


彼は手を上げ、外を指した。


「城外は最近、普通ではない。劣質種の出現頻度が増え、卓越種の活動範囲が広がり、未知亜種の目撃記録も増えている。正規軍が人員を補充するのは、死人が多いからだ」


彼はそれを平淡に言った。


まるで天気を告げているかのように。


「だから下層の先駆者から人を選ぶ。お前たちが優秀だからではない。少なくとも、核獣が壁に描かれた絵ではないことを知っているからだ」


何人かの顔色が変わった。


カレイはそれを見ていないようだった。


「考核は三段階だ」


彼は指を一本立てた。


「第一、身体検査と汚染検査」


二本目の指。


「第二、基礎戦闘測定」


三本目の指。


「第三、模擬亜種判断」


ミロがわずかに眉を寄せた。


「亜種判断?」


カレイはそれを聞き、彼に視線を向けた。


「質問か」


ミロはすぐに姿勢を正した。


「ありません」


「なら覚えておけ」カレイは言った。「今日から、お前たちが考核を通過すれば、正規軍長期訓練隊に入ることになる。訓練期間中、お前たちは核獣の一般的な亜種分類、作戦規則、部門適性、そして隊友が死んだときにどうすれば部隊全体を道連れにしないで済むかを学ぶ」


倉庫はさらに静かになった。


カレイの視線が全員をなぞる。


「正規軍の主な方向は三つある」


彼は言った。


「先駆者」


「守城者」


「王下者」


その三つの言葉が落ちたとき、倉庫内の何人かが明らかに顔を上げた。


ローエンもカレイを見た。


カレイはすぐには説明せず、冷ややかに言った。


「今のお前たちは、まだそこまで知る必要はない。大半は第一段階すら通らない」


彼は入口の兵士を見た。


「番号を呼べ」


兵士が名簿を取った。


「一番から十番、出ろ!」


数人がすぐに立ち上がった。


その中には、あの鉄札を抱えた若者もいた。


足がまだ震えていた。


カレイは彼を一瞥した。


「立て」


若者は歯を食いしばり、なんとか背筋を伸ばした。


十人が待機区から連れていかれた。


扉が閉まった。


倉庫は再び静かになった。


ミロがローエンに少し近づき、声を低くした。


「聞いたか?」


「うん」


「王下者」ミロは小声で言った。「俺たちみたいな奴のために用意された響きじゃないな」


ローエンは閉じられた扉を見た。


「行きたいのか」


「俺が?」ミロは口元を引いた。「貴族を守る? 初日に銃口の向きを間違えそうで怖いな」


ローエンは彼を見た。


ミロは肩をすくめた。


「冗談だ」


少し間を置いて。


「たぶん」


ローエンは返さなかった。


壁の古時計は進み続けた。


針が小さな音を立てる。


カチ。


カチ。


その一つ一つが、人をどこかへ押しやっているようだった。


第二組が呼ばれたころ、倉庫の外から鈍い音がした。


爆発ではない。


重いものが地面に叩きつけられたような音だった。


続いて、誰かの苦痛の声が聞こえた。


倉庫内の人間が一斉に顔を上げる。


カレイは扉の横に立ったまま振り返らず、ただ言った。


「座っていろ」


その声は縄のように、全員の動きを引き戻した。


ミロが小声で言った。


「第一段階、検査だけじゃなさそうだな」


ローエンは自分の手を見下ろした。


指は握られていなかった。


だが胸元の重い感覚は、まだ完全には消えていなかった。


何かが、目覚めてからずっとそこに残っているようだった。


声もない。


形もない。


ただ静かに、押さえている。


さらに長く待ったあと、兵士がようやく扉を開けた。


「七十一番、七十二番」


ミロが立ち上がった。


ローエンもそれに続いた。


兵士は二人を一瞥した。


「出ろ」


ミロは登録札を握り、低く言った。


「走るだけならいいんだけどな」


ローエンは前方の扉を見た。


「違う」


「少しは良いこと言えないのか?」


「言えない」


ミロはため息をついた。


「だろうな。お前が急に俺を励ましたら、まず擬態されてないか確認する」


ローエンは答えなかった。


二人は待機区を出た。


背後で扉が閉まる。


前方の通路は先ほどより明るかった。


白い照明が壁を照らしている。その清潔さが、妙に不快だった。


通路の奥には半開きの鉄扉があった。


鉄扉の向こうから、機械の低い運転音が聞こえた。


そして、何かが床を引きずるような音も。


兵士は扉の前で止まり、二人を見た。


「入れ」


ミロはローエンを見た。


ローエンは何も言わなかった。


ただ前へ進んだ。


鉄扉の向こうの光が、彼の顔に落ちた。


冷たかった。


正式に始まる朝のように。


鉄扉の向こうは白い部屋だった。


壁も、床も、天井も、すべて綺麗に拭かれていた。


下層とは思えないほど清潔だった。


先駆者の建物とも違っていた。


ローエンはその白さを初めて見た瞬間、自分が場所を間違えたのではないかと一瞬思った。


部屋には灰白の制服を着た者が十数人立っていた。薄い手袋をはめた者、記録板を持つ者、大型検査器の横で数値を確認している者もいた。


中央には五つの鉄椅子が並んでいた。


各椅子のそばには固定帯がついている。


前の組の受験者の何人かは、すでに椅子に座らされていた。


そのうち一人は顔を青ざめさせ、腕を肘掛けに固定されていた。灰白の制服を着た者が細い針で彼の手首の近くから血を抜き、血液は透明な管の中を流れて、すぐ隣の小型検査槽へ入れられた。


検査槽が赤く光った。


その男の顔はさらに白くなった。


ミロが立ち止まった。


「急に走る方がいい気がしてきた」


案内の兵士が彼を見た。


「黙れ」


ミロは口を閉じた。


ローエンの視線は検査槽に落ちていた。


赤い光が三度点滅した。


灰白の制服の者は数値を見てもすぐには話さず、記録板を一枚めくり、何かを書いた。


椅子に座っていた男が焦りはじめた。


「古い傷だ」


誰も答えなかった。


「先月、劣質種に噛まれただけだ。傷は処理した。浄化片も使った。俺は感染してない」


検査員がようやく顔を上げた。


「汚染残留値が基準超過」


男の唇が震えた。


「俺はまだ戦える」


「正規軍には入れない」


「本当にまだ戦える!」


二人の兵士が前へ出て、左右から男の腕を掴んだ。


男はもがきはじめた。


椅子が引きずられ、金属の肘掛けに固定帯がぶつかって短い音を何度も立てた。


「俺はまだ戦える! 出城記録もある! 核獣だって殺した!」


検査員は記録板を閉じた。


「隔離室へ」


男の声がすぐに変わった。


「やめろ、隔離はやめてくれ。俺は感染してない! もう一度測ってくれ! もう一度だけでいい!」


兵士は聞かなかった。


鉄扉が開き、また閉まった。


男の声は向こう側に隔てられ、すぐに曖昧な衝突音だけになった。


部屋の中では誰も話さなかった。


検査員が振り返り、ローエンとミロを見た。


「七十一、七十二」


ミロが低く言った。


「これが第一段階か?」


「汚染検査だ」検査員は言った。「それと身体検査」


彼は空いている二つの椅子を指した。


「座れ」


ミロはローエンを見た。


ローエンは椅子の前まで歩いて座った。


鉄椅子は冷たかった。


冷気が服越しに背筋へ貼りつき、肩がわずかに強張った。


一人の検査員が彼の横に来て、固定帯を取った。


「手を置け」


ローエンは右手を肘掛けに置いた。


固定帯が手首を縛る。


次に左手。


足首。


胸元。


帯が一つ締まるたびに、澄んだ金属音が鳴った。


これは検査ではない。


自分が使えるかどうかを確認しているのだ。


そう思わせる音だった。


隣のミロも椅子に固定された。


彼は試しに手首を動かした。


「こんなにきつく縛るのは、逃げるのが怖いからか?」


検査員は顔も上げなかった。


「汚染反応が出たときに噛まれないためだ」


ミロは静かになった。


ローエンは天井の白い灯りを見た。


光が眩しかった。


目が少し乾いた。


検査員は彼の袖をまくり、腕の傷を調べた。


「最近の外傷は?」


「昨日」


「核獣によるものか?」


「違う」


「原因は?」


ローエンは少し止まった。


「木の枝」


検査員は彼を一瞥した。本当かどうかなど気にしていないようだった。


「痛みは?」


「ない」


「発熱は?」


「ない」


「幻聴は?」


「ない」


「夜間の驚醒は?」


ローエンはすぐには答えなかった。


検査員の筆先が記録板の上で止まる。


隣の椅子で、ミロが目だけをこちらに向けた。


ローエンは白い灯りを見た。


「ない」


筆先が落ちた。


「胸部圧迫感は?」


ローエンの指が、ごくわずかに縮んだ。


固定帯のせいで手を握ることはできなかった。


あの感覚はまだ完全に散っていない。


何かが胸元の奥に静かに伏せていて、動かず、離れもしない。


彼は言った。


「ない」


検査員は続けた。


「呼吸異常は?」


「ない」


「喉の閉塞感は?」


ローエンは一瞬黙った。


隣のミロは何も言わなかった。


部屋には機械の低い作動音だけがあった。


「ない」


検査員は記録板に一筆入れた。


「採血」


細い針が皮膚へ刺さったとき、ローエンは動かなかった。


血液が透明な管を流れていく。色は濃かった。検査員はその管を検査槽へ差し込んだ。槽の中が白く光り、次に淡い青へ変わる。


赤い光は出なかった。


検査員は数値を一瞥した。


「汚染残留、正常」


ローエンは何も言わなかった。


検査員は別の金属の輪を取り、彼の指に嵌めた。


「神経反応」


金属環の内側から、小さな電流が流れた。


ローエンの指がぴくりと動いた。


「正常」


二度目の電流はさらに強かった。


手首から前腕まで、一瞬痺れた。


「正常」


三度目は、電流が細い針のように指先から骨へ潜り込んだ。


ローエンは眉をわずかに寄せた。


検査員が目を上げる。


「疼痛反応、やや低い」


彼は記録板にそれを書いた。


ローエンはその数文字を見たが、説明しなかった。


一方、ミロも採血を終え、検査槽は同じように淡い青を示した。


検査員は金属環を彼の指に嵌めた。


一度目の電流で、ミロは眉をしかめた。


二度目、彼は低く汚い言葉を吐いた。


三度目、椅子ごと後ろへ跳ねそうになった。


固定帯が彼を無理やり元の位置に引き戻す。


「疼痛反応、正常」検査員は言った。


ミロは歯を食いしばった。


「これが正常か?」


「文句が言えるなら正常だ」


ミロは息を吸った。


「正規軍の医療はあったかいな」


検査員は彼を無視した。


「視覚検査」


天井から黒い板が降りてきて、ミロの前で止まった。


板にはたくさんの小さな光点が灯った。


「光点の数を答えろ」


ミロは目を細めた。


「二十七」


検査員の筆が止まった。


板の上の光点が並び替わる。


「もう一度」


「三十一」


さらにもう一度。


「十九」


検査員は数値を見て、ようやくミロを見上げた。


「以前、視覚強化訓練を受けたことは?」


ミロも少し驚いた。


「ない」


「狙撃訓練は?」


「それもない」


検査員はしばらく黙り、記録板に書いた。


視覚反応、優。


ミロはその文字を見て、眉を少し上げた。


「喜んでいいやつか?」


検査員は冷たく言った。


「訓練期間を生き残ってから喜べ」


ミロは黙った。


ローエンは彼を見た。


ミロも見返した。その目には少し戸惑いがあった。自分でも、今のが何だったのか分からないようだった。


次はローエンの視覚検査だった。


光点が灯る。


「二十一」


並び替えられる。


「二十二」


さらにもう一度。


「十八」


検査員は数値を書いた。


「正常」


板は天井へ戻っていった。


固定帯が外れる。


ローエンの手が自由になった瞬間、指の関節が一瞬こわばった。


彼は自分の掌を見下ろした。


指をゆっくり曲げ、また開いた。


握りはしなかった。


検査員は臨時登録札を二人に返した。


「第一段階、通過」


ミロはすぐに立ち上がった。


「これで通過か?」


検査員が彼を見た。


「もう一度電流を流されたいのか?」


「いらない。正規軍が俺の指を見逃してくれたことに感謝する」


「次の区画へ」


検査員は別の扉を指した。


「基礎身体測定。走行、跳躍、筋力、反応、負重。基準以下は即淘汰」


ミロは指を揉んだ。


「下層が恋しくなってきた」


ローエンは立ち上がった。


「さっき、下層の任務は死ぬと言っていた」


「恋しいのと戻りたいのは違う」ミロは言った。「人間ってそういう矛盾した生き物なんだ。俺のせいじゃない」


二人は別の兵士について白い部屋を出た。


扉が閉まると同時に、消毒液の匂いと機械音が背後に遮られた。


前には長い廊下があった。


廊下の奥から、密集した足音が聞こえた。


それから、荒い息遣いも。


ミロは耳をそばだてた。


「今度は走るっぽいな」


ローエンは答えなかった。


廊下の奥の扉が開く。


熱気が顔にぶつかった。


中は室内訓練場だった。


空間は先駆者の大広間よりも広い。床には灰黒色の衝撃吸収材が敷かれ、壁際には負重用の砂袋、金属架、跳躍台、移動標的、そして檻のような測定器が並んでいた。


数十人の受験者が中で測定を受けていた。


重い鉄箱を背負って場内を走る者。


三メートルの台から飛び降り、すぐに転がって立ち上がる者。


移動標的の前に立ち、訓練銃で素早く点滅する赤い点を撃つ者。


地面に伏せて吐いている者もいた。その横の兵士はただ時間を見ていた。


カレイは訓練場の中央に立っていた。


手には名簿を持っている。


ローエンとミロが入ってくると、彼は目だけを上げた。


「七十一、七十二」


二人は彼の前へ歩いた。


カレイは横の兵士を見た。


「負重を渡せ」


二人の兵士が黒い背架を二つ引きずってきた。


背架には金属塊が吊られており、普通の任務装備よりはるかに重そうだった。


ミロはそれを見た。


「これ、着るのか?」


カレイは言った。


「それとも話しかけたいのか?」


ミロは小さく呟いた。


「人類に選択権が残ってるか確認しただけだ」


兵士が背架をミロに装着した。


重量がかかった瞬間、ミロの肩が大きく沈んだ。


「……よし、残ってなかった」


ローエンも負重背架を着けられた。


重さが肩と背中に乗り、呼吸が少し重くなった。


カレイは走路を指した。


「十周」


ミロは走路を見た。


一周は短くない。


十周は、あまり友好的ではない。


カレイはさらに言った。


「制限時間内に終わらなければ淘汰」


「制限時間は?」ミロが聞いた。


カレイは彼を見た。


「走れば分かる」


ミロは口を開きかけたが、結局閉じた。


ローエンはすでにスタート線へ歩いていた。


ミロも追いついた。


「この規則、問題あると思わないか?」


ローエンは言った。


「思う」


「じゃあなんでそんなに落ち着いてるんだ」


「文句を言っても軽くならない」


ミロは自分の背中の負重を見た。


「嫌な言い方だが、正しいな」


笛が鳴った。


二人は同時に駆け出した。


一周目、負重はまだ身体の上に乗っているだけだった。


二周目のあと、肩が痛みはじめた。


三周目には呼吸が重くなり、足の筋肉が熱を持ちはじめた。


横では、最初に勢いよく飛ばした者が四周目で膝をつき、兵士に引きずられて端へ寄せられた。


誰も足を止めて見なかった。


ローエンは一定の歩調を保った。


下層の先駆者は正式な訓練を受けていない。だが、城外で体力を残す方法は知っている。


速すぎれば死ぬ。


止まりすぎても死ぬ。


だから、すぐには倒れない程度のリズムを探し、それを維持するしかない。


ミロは最初、彼と並んで走れていた。


五周目のあと、半歩遅れた。


「ローエン」


「うん」


「振り返って励ましたりしたら、俺は本気で怖くなる」


「してない」


「よし」


ミロは息を乱しながら、それでも歯を食いしばってついてきた。


七周目のとき、ローエンの胸元にあの重い感覚がまた浮かんできた。


負重のせいではなかった。


疲労のせいでもなかった。


身体のもっと深い場所から何かが湧き上がり、ゆっくりと喉の方へ這い上がってくるようだった。


呼吸が一瞬短くなる。


足取りも半拍乱れた。


ミロはすぐに気づいた。


「ローエン?」


ローエンは答えなかった。


視線を前方の走路に押しつけた。


一歩。


もう一歩。


止まるな。


拳を握るな。


あの場所に触れるな。


笛の音、足音、息遣い、兵士の怒声がすべて混ざり合っていた。


ローエンは歯を食いしばり、その感覚を押し下げた。


八周目。


九周目。


十周目。


終点を越えた瞬間、ミロは膝に手をつき、喉から肺が落ちてきそうなほど荒く息をした。


「正規軍、嫌いだ」


カレイが歩いてきて、計時器を一瞥した。


「通過」


ミロは顔を上げた。


「今、少しだけ好きになった」


カレイは無表情だった。


「次だ」


ミロの顔が固まった。


「まだあるのか?」


カレイは、まるで下層名産の愚かさを見るような目で彼を見た。


「正規軍が十周走るだけで核獣と戦うと思ったのか?」


ミロは目を閉じた。


「さっき一瞬、世界が俺を許してくれると信じかけた」


ローエンはゆっくり呼吸を整えた。


肩の負重はまだ外されていない。


カレイは訓練場の反対側を指した。


そこには移動標的が一列に並んでいた。


赤い光点が黒い標的の上で素早く点滅し、左へ、右へと飛ぶ。まるで昆虫の目が跳ねているようだった。


「反応射撃」


兵士が二人に訓練銃を渡した。


カレイは言った。


「非元素弾を使用。赤点を撃て。三十秒以内。基準以下は淘汰」


ミロは銃を受け取った瞬間、目つきがわずかに変わった。


走った後の息切れは残っている。呼吸もまだ整っていない。


それでも、銃を握ったとき、肩の力が少し抜けた。


ローエンはそれに気づいた。


カレイも気づいた。


「七十一番から」


ミロは射撃線へ歩いた。


訓練場の音が、ゆっくり遠ざかったように感じられた。


赤点が灯る。


一発目。


命中。


二発目。


命中。


三発目。


赤点が右へ跳ねた。


ミロの銃口はほぼ同時についていった。


命中。


カレイの目が、ごくわずかに動いた。


赤点の動きはどんどん速くなる。


ミロの呼吸はまだ荒かったが、視線は乱れなかった。


十秒。


十五秒。


二十秒。


銃声が続けて響く。


すべて命中したわけではない。


だが命中数は明らかに前の多くの者を上回っていた。


三十秒が終わった。


赤点が消える。


兵士が数を告げた。


「二十一中」


周囲の何人かが顔を上げてこちらを見た。


カレイはミロを見た。


「本当に射撃訓練を受けたことはないのか?」


ミロは息をしながら、訓練銃を下ろした。


「下層先駆者はみんな銃くらい撃つ」


「聞いているのは射撃訓練だ」


ミロは少し止まった。


「正式にはない」


カレイは名簿に一筆入れた。


「記録」


ミロはローエンの横へ戻ってきた。


指はまだ震えていたが、目は少し明るかった。


「二十一中」小声で言った。


ローエンは言った。


「悪くない」


ミロは彼を見た。


「今、俺を褒めたのか?」


「うん」


ミロは二秒黙った。


「ちょっと怖くなってきた」


ローエンは彼を無視し、射撃線へ向かった。


訓練銃は自分の拳銃より軽かった。


赤点が灯る。


ローエンは銃を上げた。


一発目。


命中。


二発目。


左に外れる。


三発目。


命中。


射撃は悪くなかった。


だがミロのように自然ではない。


赤点を追えてはいる。けれど、標的を視線で捉えたあと、身体がもう一度確認しようとして半拍遅れる。


三十秒が終わった。


兵士が数を告げる。


「十四中」


カレイは名簿を見た。


「通過」


ローエンは銃を下ろし、戻ってきた。


ミロはすぐに言った。


「十四も悪くない」


ローエンは彼を見た。


ミロは真剣な顔をしていた。


「今度は俺がお前を慰める番だ。友人間の礼儀ってやつだ」


「いらない」


「いらないのは分かってる。でも言いたい」


カレイが二人を遮った。


「負重を外せ」


二人の兵士が来て、背架を外した。


肩から重量が離れた瞬間、ミロはそのまま前へ浮きそうになった。


「今なら飛べそうな気がする」


カレイは言った。


「次は跳躍台」


ミロは三メートルの高さの台を見た。


「飛ぶのが早すぎた」


ローエンは顔を上げた。


台の端には数人の受験者が立っている。


彼らはそこから飛び降り、着地後すぐに転がって衝撃を逃がし、立ち上がって障害架を抜けていく。動きが綺麗な者もいれば、着地を誤って膝を直接地面に打ちつけ、顔を歪める者もいた。


横の兵士はただ一言聞いた。


「歩けるか」


その者は歯を食いしばって頷いた。


「歩ける」


「続けろ」


彼は足を引きずりながら障害架へ走っていった。


正規軍は痛いかどうかを気にしない。


痛いときに動けるかどうかだけを気にする。


ローエンは台の下に立ち、番号を待った。


呼吸は少しずつ落ち着いていた。


胸元の重い感覚も疲労に押し込められ、少し沈んでいた。


だが消えてはいない。


ただ、少し静かになっただけだった。


暗がりに蹲り、次に目覚める時を待つ何かのように。


「七十一番!」


ミロが台に上がった。


彼は端に立ち、下を見た。


「この高さはおかしい」


兵士は言った。


「跳べ」


ミロは深く息を吸った。


そして飛び降りた。


着地の瞬間、身体が明らかに傾いたが、なんとか転がって衝撃を逃がし、起き上がって障害架へ走った。


美しくはない。


だが使える。


カレイは名簿に一筆入れた。


「通過」


ミロが戻ってきたとき、顔色はかなり悪かった。


「高さが嫌いだ」


ローエンは台に上がった。


下の地面は思ったより遠く見えた。


彼はすぐには跳ばなかった。


兵士が彼を見る。


「七十二番?」


ローエンは息を吐いた。


そして前へ一歩踏み出した。


身体が落ちる。


風が耳の横を掠めた。


着地の瞬間、膝をわずかに曲げ、肩を低く落とし、そのまま身体を転がす。


立ち上がる。


障害架へ向かって走る。


一つ目の低い壁。


越える。


二つ目の鉄柵。


潜る。


三つ目の細い橋。


踏み出した瞬間、足元がわずかに揺れた。


ローエンの視線は前に向いていた。


止まるな。


彼は終点を越えた。


兵士が結果を告げる。


「通過」


カレイは彼を見た。


「射撃より動きは綺麗だ」


ローエンは答えなかった。


横でミロが息をしながら言った。


「こいつは核獣に近づく方が向いてるんだ。かなり不幸な話だが」


カレイは二人を見た。


「お前たち二人は昨日、同じ任務だったな?」


「そうです」ミロが言った。


「東側腐林か」


「はい」


カレイは名簿をめくり、記録を見た。


「生存率が低い」


ミロの表情が少し薄くなった。


「はい」


カレイは言った。


「なら覚えておけ。誤った情報の中から生き残ったからといって、死んだ者より強いということではない」


ミロは何も返さなかった。


ローエンはカレイを見た。


カレイは名簿を閉じた。


「ただ、たまたま死ななかっただけだ」


その言葉が落ちると、二人とも黙った。


訓練場は相変わらず騒がしかった。


だが一瞬、ローエンは棚の上のあの元素銃を思い出した。


死人の手から持ち帰った銃。


カレイは向きを変えた。


「基礎身体測定、通過」


ミロは息を吐いた。


「ようやく?」


カレイは言った。


「第二段階はまだ終わっていない」


ミロの表情は、もう一度殴られたようになった。


カレイは訓練場の反対側を指した。


そこはこの場所より暗かった。


壁には大きな黒布が何枚か掛けられており、その後ろには奇妙な輪郭がぼんやり見えていた。


細長いもの。


多足のもの。


翼のように広がったもの。


そして、鉄架に固定された巨大な甲殻。裂け目には、すでに枯れた赤い花茎が差し込まれていた。


ミロはそちらを見た。


「あれは?」


カレイは言った。


「第三段階だ」


少し間を置いて。


「模擬亜種判断」


ローエンの視線は、その巨大な甲殻へ落ちた。


甲殻の裂け目にある枯れた花茎は、わずかに曲がっていた。


すでに死んでいるのに、まだ頭を垂れようとしない花のようだった。


カレイは言った。


「この段階から、お前たちは一つのことを学ぶ」


彼は前二項を通過した全員を見た。


「核獣が最も危険なのは、怪物の姿をしているからではない」


「お前が、自分はそいつが何なのか知っていると思い込むからだ」


兵士が黒布を一気に引き下ろした。


灯りが落ちる。


核獣の標本が一列に並び、全員の前に現れた。


黒布が落ちた瞬間、空気が一瞬止まったようだった。


核獣標本が鉄架に固定されている。


甲殻だけが残っているもの。


頭部を保存しているもの。


腹腔を開かれ、乾いた内核腔を露出しているもの。


完全ではない標本もいくつかあった。まるで戦場から無理やり引きずってきたあと、どうにか見られる形に組み直したようだった。


最前列には、虫型核獣の標本があった。


身体は中央から裂かれ、甲殻は両側へ広げられていた。裂け目の中には枯れた赤い花茎が伸びている。頭部には目のような器官がいくつもあり、すでに萎縮したものもあれば、濁った円形を保っているものもあった。


ローエンはその標本を見た。


視線は細長い肢節で止まった。


ミロも見ていた。


二人とも何も言わなかった。


それは昨日腐林で遭遇した核獣ではなかった。


だが、あまりにも似ていた。


樹幹から伸びてきた節肢、泥の下から聞こえた細かな音、そして任務表に書かれているはずのなかった数を思い出すには十分だった。


カレイは標本の前へ歩いた。


「この段階では、核獣を殺せるかどうかを試すわけではない」


彼は金属の指示棒を取り、虫型標本の甲殻を叩いた。


乾いた音がした。


「そいつに殺される前に、そいつがどうやってお前を殺すか見抜けるかを試す」


受験者の誰も笑わなかった。


この言葉が別の場所にあれば脅しのように聞こえただろう。


アカシアでは、ただの生活常識だった。


カレイは標本の横にある黒い札を指した。


札には名称が書かれていなかった。


空白の欄があるだけだった。


「任務を受けるとき、任務表には通常、階級、外形、推定数、既知の亜種が記される」


彼は少し止まった。


「だが任務表は神ではない」


カレイの視線が全員をなぞる。


「調査者が判断を誤ることもある。記録が古いこともある。核獣が進化していることもある。あるいは、任務をそれほど危険に見せないために、書くべきことを省く奴もいる」


ミロが低く言った。


「昨日のこと言ってるな」


ローエンは答えなかった。


カレイは聞こえたのか、こちらを一瞥した。


「東側腐林の任務表には、劣質種、昆虫亜種、蟻型、数一から三と書かれていた」


倉庫内の何人かがローエンとミロの方を見た。


ローエンはまだ標本を見ていた。


カレイは続けた。


「結果、大量の個体が出現した」


彼は指示棒で標本の前肢を叩いた。


「問題はどこだ?」


すぐに答える者はいなかった。


カレイは人々を見た。


「誰か」


一人の受験者がためらいながら手を上げた。


「情報が間違っていた?」


「遅い」カレイは言った。


その受験者は固まった。


カレイは別の一人を見た。


「お前」


指名されたのは、顔に爪痕のある女だった。


女は虫型標本を見て言った。


「蟻型」


カレイは頷いた。


「続けろ」


「蟻型なら、もともと群居性の可能性がある。任務表に群居亜種と書かれていなくても、群居の可能性を前提に扱うべきです」


カレイはそこでようやく、わずかに頷いた。


「その通りだ」


彼の指示棒が黒い札を叩いた。


「これが最初に覚えることだ」


彼は振り返り、札に二文字を書いた。


群居。


「亜種欄に書かれていないからといって、持っていないとは限らない」


その横にさらに書いた。


習性。


「任務表に教えてもらう必要のないものもある。蟻型、蜂型、狼型、魚群型を見たら、まず数の問題を考えろ。寄生痕跡を見たら、隊友が隊友ではない可能性を考えろ。植物構造を見たら、足下、壁の中、死体の中に何かがある可能性を考えろ」


カレイの声は平坦だった。


だが一語一語が釘のように部屋へ打ち込まれていく。


「核獣は任務表どおりに人を殺さない」


ミロの表情が薄くなった。


昨日、彼らはその言葉の逆側で一日を殴られ続けた。


しかも死体回収つきで。


カレイは第一標本を指した。


「判断」


兵士が前二段階を通過した受験者たちに紙を配った。


紙にはいくつかの空欄があった。


階級。


外形。


可能性のある亜種。


行動リスク。


推奨処理方法。


ローエンは紙の欄を見た。


これは試験というより、自分たちがいかに不完全な頭のまま城外へ出ていたかを認めさせるもののようだった。


カレイは言った。


「第一標本、三分」


全員がすぐに書きはじめた。


ミロは標本を見つめ、筆の端を噛んだ。


「劣質種?」


ローエンは言った。


「可能性はある」


「昆虫亜種」


「うん」


「蟻型」


ローエンは標本の頭部側面の眼状器官を見た。


目は頭にだけあるわけではない。


甲殻の裂け目の端にも、萎んだ小さな目がいくつかあった。


彼は言った。


「視覚異常」


ミロは顔を上げた。


「それって亜種なのか?」


「そうとは限らない」


ローエンは少し止まった。


「でもリスクには書く」


ミロは下を向いて書いた。


「多方向感知……群居の可能性……地下通路の可能性……」


途中で、筆が止まった。


「昨日、誰かがこう書いてたら、少しは死ぬ人数が減ったかもしれないな」


ローエンは答えなかった。


彼は自分の紙に書いた。


劣質種。


昆虫亜種。


蟻型。


群居の疑い。


地下通路掘削の可能性。


任務表の数で実際の脅威を判断してはならない。


筆先が止まる。


そして一行を加えた。


単体を発見した場合、周辺に巣または他個体が存在しないか確認すべき。


三分が過ぎた。


カレイが紙を集めた。


彼は読むのが早かった。


いくつかの紙は一瞥しただけで脇へ投げた。


「こういう答えなら、城外へ出て十分で死ぬ」


紙を投げられた者は顔色を悪くしたが、反論はできなかった。


カレイはミロの紙を取り、数秒見た。


「七十一番」


ミロは顔を上げた。


「はい」


「群居の可能性、地下通路の可能性、多方向感知と書いた。理由は?」


ミロは少し黙った。


「昨日、遭遇しました」


カレイは言った。


「つまり判断ではなく記憶だ」


ミロはすぐに何も言えなかった。


カレイは紙を置いた。


「だが覚えているのも能力だ。通過」


ミロは息を吐いた。


カレイはローエンの紙を取った。


先ほどより長く見ていた。


「七十二番」


ローエンは彼を見た。


「任務表の数で実際の脅威を判断してはならない、と書いたな」


「はい」


「なぜだ?」


ローエンは言った。


「任務表は、誰かが書いたことしか保証しないからです」


部屋が一瞬静かになった。


誰かが小さく笑い、すぐに抑えた。


カレイはローエンを見た。


しばらくして、紙を置いた。


「通過」


ミロがとても小さい声で言った。


「今、任務システム全体を罵ったな」


ローエンは言った。


「答えただけだ」


「そこが一番怖いんだよ」


カレイは第二標本へ向かった。


それは鉄架に固定された核獣の頭部だった。


頭は犬に似ていたが、口は耳の根元まで裂けており、歯は何層にも内側へ向かって生えていた。眼窩は空洞で、眼球は取り除かれているように見え、二つの暗い穴だけが残っていた。


頭の後ろには、細長い骨棘が数本伸びている。


骨棘の先には、乾いた淡緑色の残留物が付着していた。


カレイは骨棘を叩いた。


「第二標本」


誰かが眉を寄せた。


「犬型?」


「毒性?」


「地行?」


カレイは答えなかった。


ただ言った。


「二分」


全員がまた紙に向かった。


ミロはその頭を睨んだ。


「噛みそうなやつだな」


ローエンは言った。


「核獣は全部噛みそうに見える」


「ありがとう。人類文明にすごく貢献する分析だ」


ローエンは骨棘の先の淡緑色の残留物を見た。


「毒性亜種」


ミロは頷く。


「犬型、地行の可能性」


ローエンは空になった眼窩を見た。


「目がない」


「人に取られたのか?」


「そうとは限らない」


ミロは少し固まった。


「つまり、もともと目を使わない?」


ローエンはすぐには答えなかった。


彼は腐林で暗闇から湧き出した蟻型核獣を思い出した。


あれらには目があった。


多すぎるほどの目が。


だが、目だけに頼っているとは限らない。


ローエンは紙に書いた。


犬型外観。


毒性亜種の可能性。


地行亜種の可能性。


視覚器官欠失。嗅覚、聴覚、振動感知に注意。


死角から接近してはならない。


近接噛合および骨棘接触を避ける。


ミロはそれを見て、感知リスクを書き足した。


カレイは紙を集めた後、すぐに結果を出さなかった。


いくつかの紙を机の上に並べた。


「毒性亜種と書いた者は多い」


彼は骨棘を指した。


「これは難しくない」


次に、頭部の空洞の眼窩を指した。


「だが目に気づいた者は少ない」


一人の受験者が我慢できずに聞いた。


「目は取られたんじゃないんですか?」


カレイは彼を見た。


「誰がそう教えた?」


その受験者は黙った。


カレイは言った。


「城外で目のない核獣を見た場合、お前には二つの選択肢がある」


彼は指を一本立てた。


「一つ、あいつは盲目だと思って近づく」


二本目。


「二つ、目がなくてもお前を見つけられると仮定する」


彼は手を下ろした。


「一つ目の人間は、だいたい二つ目の人間の教材になる」


部屋はまた静かになった。


カレイは犬型頭部を指した。


「これは劣質種、犬型、毒性亜種、低視覚依存だ。足裏で地面の振動を感知し、攻撃時はまず麻痺毒液を噴き、次に標的の脚を噛み千切る」


彼は全員を見た。


「覚えろ。器官の欠如は必ずしも弱点ではない。進化の結果、それを必要としなくなったという場合もある」


ローエンは自分の紙を見下ろした。


答えの横には丸がつけられていた。


ミロの紙にも同じように丸があった。


ミロが低く言った。


「俺たち、本当に通ったっぽいな」


ローエンは言った。


「まだ終わってない」


「たまには希望を数秒くらい生かしてくれないか?」


「できない」


第三標本が押し出された。


それは完全な核獣ではなかった。


藤蔓のような一部分だった。


濃褐色の茎が透明管の中に封じられており、表面には細かな逆棘が生えていた。その棘の間には、乾いた赤い花苞が一つ一つ並んでいた。花苞は小さいが、非常に整然と配列されていた。


カレイは透明管の横に立った。


「第三標本」


彼は何のヒントも出さなかった。


ミロはそのものを長く見ていた。


「植物亜種?」


ローエンは頷いた。


「可能性はある」


「雅花共生?」


ローエンは赤い花苞を見た。


「それもあり得る」


一人の受験者が突然言った。


「これは核獣じゃないでしょう。ただの植物です」


カレイは彼を見た。


「城外でそれを見たときも、そう言ってやるといい」


その者は口を閉じた。


カレイは言った。


「一分」


時間が短くなった。


受験者たちはすぐに書きはじめた。


ローエンは透明管の中の藤蔓を見つめた。


目はない。


牙もない。


爪もない。


そもそも動くようにも見えない。


だが、それは不快だった。


醜いからではない。


静かすぎるからだ。


アカシアにおいて、静かなものは安全を意味しない。どう動くのかを、まだ見ていないだけだ。


彼は書いた。


植物亜種。


雅花共生の可能性。


逆棘による寄生、または汚染注入の可能性。


環境型脅威の疑い。


素手接触禁止。


根系範囲の確認が必要。


火元素による処理を優先。


ミロは彼より少し遅かった。


「根系範囲?」


ローエンは言った。


「地面に生えているなら、この一部分だけではない」


ミロは透明管を見て、すぐに書き足した。


カレイは紙を集めた。


今回は一人ずつ評価せず、いくつかの紙だけを置いた。


「植物亜種は最も軽視されやすい」


彼は言った。


「多くの人間は、核獣を飛びかかってくるものだと思い込んでいるからだ」


カレイは透明管を叩いた。


「だが、飛びかかる必要のないものもある」


彼は藤蔓の棘を指した。


「そいつらは、お前が近づくのを待つ。踏むのを待つ。腐った根だと思い込むのを待つ。そして汚染と寄生種子を皮膚の中へ送り込む」


何人かの顔色が青くなった。


カレイは続けた。


「これにより、かつて五人小隊が全滅した。戦闘音も、救難信号もなかった。三日後、回収隊が彼らを見つけたとき、五人ともその場に立っていた」


彼は一拍置いた。


「足は土の中に根を張り、口の中には花が咲いていた」


部屋はさらに静かになった。


ミロの喉が動いた。


「植物が嫌いになった」


ローエンは言った。


「さっきは高さも嫌いだった」


「嫌いなものはいくらでも持てる」


「うん」


「特に、人の口の中に花を咲かせるやつはな」


カレイは第四標本の前へ進んだ。


今度、黒布が外された瞬間、全員が一瞬固まった。


それは類人型核獣の上半身だった。


鉄架に固定され、両腕は垂れ、背中には不完全な甲殻が生えていた。顔の輪郭は人間に近かったが、鼻はなく、唇は裂け、整いすぎた歯が覗いていた。


最も気味が悪かったのは皮膚だった。


ある部分は人のようだった。


ある部分は甲殻のようだった。


またある部分には細かな赤い紋様があり、血管のようでもあり、花の根のようでもあった。


多くの受験者が無意識に一歩下がった。


ミロも黙った。


ローエンはその標本を見た。


胸元の重さが、かすかに動いた。


カレイはすぐには話さなかった。


全員にしばらく見せた。


それから口を開いた。


「これは今のお前たちが処理できるものではない」


一人の受験者が聞いた。


「なら、どうして考核に?」


カレイは言った。


「自分が処理できないものを知るためだ」


彼は類人型標本を指した。


「判断」


誰もすぐには筆を動かさなかった。


その標本は人に似すぎていた。


そして、人ではなさすぎた。


ミロが低く聞いた。


「擬態亜種?」


ローエンはその顔を見た。


「可能性はある」


「人型?」


「うん」


ローエンの手は筆を握っていたが、すぐには書かなかった。


その顔は、まだ完全には怪物になりきっていない何かを思わせた。


あるいは、人間からすでに出ていったのに、わざと人間の輪郭を残している何かのようでもあった。


カレイの声が聞こえた。


「城外で類人型核獣を見たとき、最初に判断すべきなのは、そいつが人に似ているかどうかではない」


ローエンは顔を上げた。


カレイは言った。


「そいつが、どれだけお前に人だと思わせたがっているかだ」


その言葉が落ちたとき、ローエンの筆先が動いた。


彼は書いた。


類人型。


擬態亜種の可能性。


低知能または中知能の可能性。


人間外観によって警戒を下げてはならない。


言語、動作、反応が不自然でないか確認。


距離を保つ。


単独接触禁止。


ミロは彼の答えを見て、数秒黙った。


「書き慣れてるな」


ローエンは言った。


「思いついただけだ」


「俺は思いつかなかった」


「今は思いついた」


ミロは類人型標本を見た。表情はあまり良くなかった。


「もし本当にこんなものに遭遇したら、それが人間かどうか誰に分かるんだ?」


ローエンは答えなかった。


彼にも分からなかったからだ。


カレイは紙を集めた後、ローエンの紙で視線を止めた。


今回はすぐに通過とは言わなかった。


ただローエンを見た。


「なぜ単独接触禁止と書いた?」


ローエンは言った。


「人に似ていれば、単独で接触したとき、人は確認しようとするからです」


「何を確認する?」


「まだ会話できるかどうか」


カレイは彼を見ていた。


ローエンは続けた。


「それで距離が短くなる」


部屋の中に音はなかった。


数秒後、カレイは紙を置いた。


「通過」


ミロはローエンを見たが、何も言わなかった。


カレイは全員の方へ向き直った。


「この標本は三十七年前、北側廃鎮から回収された。階級推定、卓越種。類人型、擬態亜種、低知能」


誰かが息を呑んだ。


卓越種。


標本であるだけで、不快感を与える存在だった。


カレイは言った。


「これは完全な言葉を話せなかった。ただ人間の救助を求める声を模倣するだけだった。当時、二人の先駆者がそれにより隊を離れ、行方不明となった。後に見つかったのは、そのうち一人の兜だけだ」


少し間を置いた。


「兜の中には歯形が残っていた」


ミロは目を閉じた。


「さっきの言葉、撤回する」


ローエンは彼を見た。


「どの言葉だ」


「植物だけが嫌いってやつ」


カレイは二人を無視した。


彼は最後の標本の前に立った。


その標本は最も厳重に覆われていた。


黒布は前のものより厚く、端は金属留めで固定されている。中のものが自分で這い出さないようにしているかのようだった。


受験者たちは全員、その黒布を見ていた。


カレイは言った。


「最後の問題だ」


兵士が金属留めを外した。


黒布が引き下ろされる。


中にあったのは核獣本体ではなかった。


封じられた場面模型だった。


透明な覆いの中に、縮小された腐林地形が完全に保存されていた。


木。


泥地。


穴。


破れた任務旗。


そして数体の小型核獣模型。


蟻型。


一体は地上に。


二体は木のそばに。


三体は半ば泥に埋まっている。


だがよく見れば、木の幹には穴がある。


泥地には小さな盛り上がりがある。


遠くの陰影の中にも、さらに細かなものが隠れていた。


ローエンの指が止まった。


ミロも黙った。


この模型はあまりに馴染みがあった。


完全に同じではない。


だが昨日に似ていた。


東側腐林に似ていた。


カレイは二人を見た。


「これはお前たちの昨日の任務現場ではない」


彼は言った。


「だが状況は似ている」


誰も何も言わなかった。


カレイは空白の判断表を机に置いた。


「五分だ」


全員を見て言った。


「任務表に記載される可能性のある内容を書け」


続けて。


「そして、任務表には書かれていないが、お前たちが自分で判断しなければならない内容もだ」


ローエンは透明な覆いの中の腐林模型を見た。


胸元の重みはまだそこにあった。


今、それはこの模型にそっと触れられたように動いた。


ローエンは筆を取った。


ミロも筆を取った。


二人とも話さなかった。


今回は、ミロは何を書けばいいか尋ねなかった。


ただ頭を下げ、一行目を書いた。


劣質種。


昆虫亜種。


蟻型。


筆先が止まる。


そして書き加える。


高度に群居の疑い。


ローエンはそれを見た。


何も言わなかった。


ただ自分の判断を書きはじめた。


任務表の標示数が不足している可能性。


巣の確認が必要。


樹幹および地下通路の確認が必要。


地表個体のみを撃破してはならない。


撤退路の設置が必要。


低階部隊による単独執行は推奨しない。


赤い雅核花の密度が異常な場合、即時撤退。


最後の一文を書いたとき、筆先が止まった。


さらに一行を加える。


現場が過度に静かな場合、異常とみなす。


五分が終わった。


カレイが全員の答案を集めた。


一枚一枚を見る。


今回はこれまでよりも時間をかけていた。


部屋には紙をめくる音だけが残った。


最後に、彼はいくつかの紙を机に置いた。


「この者たちは残れ」


兵士が前へ出て、番号を読み上げはじめた。


「三番」


「十一番」


「十九番」


「二十七番」


「三十四番」


「五十六番」


「七十一番」


ミロの肩がわずかに緩んだ。


続いて兵士は言った。


「七十二番」


ローエンは顔を上げた。


カレイは呼ばれなかった者たちを見た。


「それ以外は淘汰」


部屋の中が一気にざわめいた。


「待ってくれ、前の段階は通ったんだぞ!」


「最後のこれだけで?」


「身体測定は通過した!」


カレイの声が冷たくなった。


「身体測定に通過したというのは、走れるという意味でしかない」


彼は淘汰された答案の一枚を取った。


「この紙には、一から三体の蟻型劣質種を発見、包囲して撃破を推奨、と書いてある」


紙を机に投げ戻した。


「この判断は部隊全員を殺す」


その受験者の顔は真っ白になった。


カレイは容赦しなかった。


「お前が死にたいなら構わない。だが正規軍は、隊友まで引きずって死なせる者を取らない」


兵士たちが淘汰者を連れ出しはじめた。


歯を食いしばって出ていく者。


小声で罵る者。


その場に立ち尽くし、兵士に押される者。


あの年若い受験者も、その中にいた。


彼は自分の登録札を抱え、顔を白くしていた。


ローエンの横を通るとき、彼は俯いており、指がまだ震えていた。


ローエンは彼が出ていくのを見ていた。


ミロも見ていた。


扉が閉じられた後、部屋には残された者たちだけがいた。


先ほどよりずっと少なかった。


カレイは標本の前に立ち、彼らを見た。


「お前たちは補充考核初試に通過した」


誰も歓声を上げなかった。


少し前に淘汰された者たちがいたから。


その言葉は報酬のようには聞こえなかったから。


むしろ、別の扉が開いたように聞こえた。


カレイは言った。


「明日から、お前たちは正規軍長期訓練隊に入る」


一拍置く。


「訓練期間は最短三年、最長五年」


ミロの目がわずかに見開かれた。


「三年から五年?」


カレイは彼を一瞥した。


「長すぎるか?」


ミロはすぐに口を閉じた。


カレイは続けた。


「その期間中、お前たちは体能、武器、元素弾の使用、核獣亜種分類、隊伍協同、汚染対応、城防規則、部門適性訓練を受ける」


彼は全員を見た。


「訓練終了後、お前たちは自ら方向を選ぶ」


「先駆者」


「守城者」


「王下者」


「正規軍はお前たちに訓練、記録、資格を与える。だが最後にどの道を歩くかは、自分で選べ」


彼は少し止まった。


「もちろん、選んだからといって、その道で持ちこたえられるとは限らない」


誰かが小声で聞いた。


「選び間違えたら?」


カレイはその者を見た。


「死ぬのが少し早くなる」


その者は何も言わなくなった。


カレイは名簿を閉じた。


「今日は戻って荷物をまとめろ。明日、日の出前に正規軍北側訓練営へ報到」


彼は少し止まった。


「遅刻は放棄とみなす」


兵士たちが正式な入訓札を残った者たちに配った。


ローエンはそれを受け取った。


札は臨時登録札よりも少し重かった。


そこには彼の名前が刻まれていた。


ローエン。


そして黒い小さな文字が一行。


正規軍長期訓練隊候補。


ミロは自分の札を長いこと見ていた。


「候補」低く言った。「命をかけて入りに行くのに、まだ候補かよ」


ローエンは手の中の札を見た。


金属は冷たかった。


陽の差さないどこかから取り出されたばかりのように冷たかった。


カレイは扉の前まで歩き、最後に振り返った。


「もう一つ」


全員が彼を見た。


カレイは言った。


「明日から、お前たちは下層の臨時任務人員ではない」


彼は、若く、疲れ、負傷し、それでもまだそこに立っている者たちを見た。


「だから、下層の幸運頼みの生き方をここに持ち込むな」


彼は扉を押し開けた。


「正規軍は、お前たちに快適な生き方を教える場所ではない」


外から光が差し込んだ。


カレイの声が白い部屋に落ちる。


「少しでも遅く死ぬ方法を教える場所だ」


誰も答えなかった。


アカシアでは、その言葉はすでに十分な優しさだった。


カレイが言い終えると、誰も質問しなかった。


兵士が出口を開け、残った者たちは一人ずつ白い部屋を出ていった。


ローエンとミロも人の流れについて外へ出た。


外の光は、入った時より少し明るくなっていた。


下層は相変わらず騒がしかった。


市場ではまだ声が飛び交い、配給所の前には列が続き、先駆者の建物の外壁に貼られた公告は人混みに押されて端が皺になっていた。淘汰された者が一人、うつむいて側門から出てくる。まだ列に立ち、鉄札を抱え、次の呼び出しを待っている者もいる。


すべては変わっていないようだった。


ただ、ローエンの手の中には新しい金属札が一枚増えていた。


正規軍長期訓練隊候補。


ミロは自分の札を何度も裏返して見た。


「三年から五年か」


ローエンは答えなかった。


「三年から五年ってどれくらい長いか分かるか?」


「分かる」


「お前、分かってない気がする」


「ならなぜ俺に聞く」


ミロは口を開きかけ、最後にはため息をついた。


「それもそうだ」


二人は通りを抜け、集合棟へ戻った。


階段は相変わらず湿っており、壁の灯りは半分ほど壊れたままだった。階段に座って乾糧を齧っている者もいれば、破れた布袋を抱えて外へ出ていく者もいた。正規軍という言葉を聞いたのか、部屋から顔を覗かせる者もいた。


誰も祝わなかった。


下層では、正規軍に入れることが必ずしも祝うべきことではない。


それはただ、一つの危険から、もう一つの秩序だった危険へ歩いていくということだった。


ローエンは自分の部屋に戻った。


部屋の中の物は少なかった。


一着の上着。


数袋の圧縮乾糧。


二本の元素ナイフ。


止血膏が少し。


破損した内核皮。


欠けた劣質種の核。


そして、あの元素銃。


彼はその銃を手に取った。


握りの端の摩耗は、まだはっきりしていた。


昨日までは、別の人間のものだった。


今日からは、ローエンとともに正規軍訓練隊へ行くことになる。


それを継承と呼べるのか、誰にも分からない。


アカシアでは、多くのものに名前は必要ない。


使えるなら、持っていく。


ローエンは元素銃を荷袋に入れ、火元素のナイフと氷元素のナイフを腰に固定した。


最後に、彼は棚を見た。


欠けた劣質種の核はまだそこにあり、暗がりの中でかすかな暗赤色の光を明滅させていた。


消えかけている目のようだった。


ローエンは手を伸ばし、それも袋へ入れた。


扉の外からミロの声がした。


「ローエン、早くしろ」


ローエンは荷袋を背負い、部屋を出た。


ミロは廊下に立っていた。彼の荷物はローエンより少し多く、肩にはあの元素機銃が掛かっていた。


ローエンが出てきたのを見ると、ミロは眉を上げた。


「それだけか?」


「うん」


「お前の人生の荷物、少なすぎるだろ」


ローエンは彼の袋を見た。


「お前は多いのか」


ミロは自分の荷袋を叩いた。


「これは生存準備だ」


「ゴミに見える」


「偉大な生存準備の多くは、最初ゴミに見えるものだ」


ローエンは反論しなかった。


二人は集合棟を出た。


正規軍北側訓練営は、目光城の内側、城壁に近い場所にあった。下層より高く、清潔だった。


そこへ近づくほど、道は広くなる。


地面の水たまりは減り、壁の亀裂も減った。巡回兵は増え、道端の屋台は減った。空気中の湿った黴臭さは少しずつ薄れ、代わりに金属、浄化液、機械の運転音が混じる匂いが強くなった。


ミロは遠くの高い壁を見上げた。


「なあ、ここの人間って、壁まで人が住んでる感じがすると思わないか?」


ローエンは道の両側に整然と並ぶ灯柱を見た。


「うん」


「腹立つな」


「うん」


「今日はやけに俺に同意するな」


「お前が正しいからだ」


ミロは少し止まった。


「電気流された時より変な感じだ」


北側訓練営の門は高かった。


門の前には正規軍兵士が二列に立っていた。全員が身につけている内核皮戦服は下層先駆者のものより完全で、銃口は下を向いていたが、誰かが一歩でも間違えればすぐに持ち上がるように感じられた。


検査を通過した後、ローエンとミロは営内へ連れていかれた。


中は想像以上に広かった。


訓練場。


武器庫。


宿舎棟。


医療室。


食堂。


教学棟。


汚染処理室。


それぞれの建物には黒い番号が振られていた。


どの道もまっすぐだった。


人が歩くためというより、命令が通るために作られたようなまっすぐさだった。


一人の兵士が二人を宿舎棟の前まで連れていった。


「七十一番、七十二番。三階、三〇六室」


ミロは少し固まった。


「俺たち同じ部屋か?」


兵士は彼を見た。


「不満か?」


「ありません」ミロはすぐに言った。「ただ、世界もたまにはそこまで悪くない配置をするんだなと確認しただけです」


兵士は彼の感動を理解する気などまったくなさそうで、そのまま振り返って去った。


宿舎の部屋は広くなかった。


二つのベッド。


二つの鉄柜。


一つの机。


一つの白い灯り。


訓練場が見える窓が一つ。


下層の部屋より清潔だった。


そして下層の部屋より冷たかった。


ミロは荷物を左側のベッドに投げ、そのまま自分も倒れ込んだ。


ベッド板が鈍い音を立てた。


「前の俺のベッドより硬い」


ローエンは右側に荷物を置いた。


「でも崩れない」


「それはそうだな」


窓の外から笛の音がした。


訓練服を着た一隊が運動場を走っていた。隊列は長く、足音は整っている。汗が朝の光の中で地面へ落ち、すぐに踏み砕かれた。


遠くでは木製の訓練刀を振る者がいた。


さらに向こうでは、射撃線の前に立ち、何度も引き金を引く者がいた。


笑い声はなかった。


市場もなかった。


下層の朝の喧噪もなかった。


あるのは命令、笛、足音、衝突音、そして金属の擦れる音だけだった。


ミロはベッドから身体を起こし、窓の外を見た。


「三年から五年」


彼はもう一度言った。


今度の声は先ほどより低かった。


ローエンも窓辺に立ち、外の訓練場を見ていた。


人々は運動場を回り続けている。


一周。


また一周。


止まらなければ、死より少しだけ遅く走れるとでもいうように。


ミロがふと聞いた。


「ローエン」


「うん」


「俺たち、卒業まで持つと思うか?」


ローエンはすぐには答えなかった。


窓の外で、また笛が鳴った。


隊列が速度を上げる。


遅れた者が教官に蹴り飛ばされ、隊列の端へ戻された。


ローエンは灰色の運動場を見ていた。


胸元の重い感覚は、もうかなり薄れていた。


だが完全には消えていなかった。


ただ静かになっただけだった。


何かが彼と一緒に、この訓練営の中へ入ってきたように。


しばらくして、ローエンは言った。


「分からない」


ミロが彼を見る。


ローエンは付け加えた。


「でも、まず明日起きられないといけない」


ミロは二秒ほど彼を見つめ、ふっと笑った。


「現実的だな」


「うん」


「嫌なほどに」


「うん」


夕方、訓練隊の新入隊者は全員、運動場に集合させられた。


カレイは隊列の前に立っていた。その背後には高い壁、鉄門、そして少しずつ暗くなる空があった。


「今日から、お前たちは正規軍長期訓練隊候補だ」


彼の声が運動場を貫いた。


「ここでは、お前たちが以前、下層先駆者だったのか、臨時運搬工だったのか、守壁雑役だったのか、あるいは死人の装備を拾って生きてきた人間だったのかは関係ない」


カレイは全員を見た。


「ここに入った以上、お前たちがやることは一つだけだ」


誰も声を出さなかった。


カレイは言った。


「持ちこたえろ」


運動場は静かだった。


城壁の方から風が吹き、少し冷たかった。


ローエンは隊列の中に立ち、両手を体の横に垂らしていた。


彼は遠くの訓練場を見た。踏み固められて黒ずんだ走路を見た。武器架に整然と並べられた訓練刀と元素銃を見た。


そして、ふと思った。


目覚めたからといって終わらないものがある。


昨日の東側腐林が終わっていないように。


棚の上にあった銃が、彼についてここまで来たように。


今日から彼らはこの訓練営で、三年、四年、あるいは五年を使い、アカシアで少しでも長く生きる方法を学ぶ。


あるいは、少しでも遅く死ぬ方法を。


夜がゆっくりと降りてきた。


訓練営の灯りが、一つまた一つと点いていく。


ローエンは空を見上げた。


流星はなかった。


目光城の上には、灰暗い夜だけがあった。


笛が鳴る。


一日目が終わった。


長訓が始まった。

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