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龍狩と赤龍  作者: 丘野 境界
少年期
7/41

入団試験

 王都は賑わっていた。

 龍騎士団の入団試験には、様々な人が受けに来ていた。

 空には飛行船が浮いている。

 様々な露天が立ち並び、まるでお祭りだった。



 試験会場は王城内にある訓練場だった。

 ただ、フィーロは身体検査の時点で落とされた。

 理由は単純で、身長が足りなかったのだ。



 もちろんフィーロは抗議した。


「何で身長なんかで落とされるんだ」


 それに対して、試験官が説明した。


「龍甲冑の規格は統一されていて、百七十セタケ以下の者は装備する事が出来ないからだ。そちらの少年、受験生ユージンは条件を満たしているな」


 フィーロのセタケは百六十。

 隣でムッとしているユージンは百七十一セタケあった。


「小さい鎧はないのか」


「ない。素材が龍だけに、加工も大変なのだ。材料自体も少ない。立派な体格でないモノの分を作る余地などない。龍を倒すのは命懸けなのだ。理解して欲しい」


「せめて、実戦を見てもらえないか。鎧はなくてもいい。剣だけでも戦える」


 フィーロは粘ったが、試験官は首を振った。


「そういう我が侭を言う者は、試験のたびに必ず出て来る。そして毎回言うんだが、ダメだ。受験生フィーロ、お前は不合格だ」


 駄目だった。



「フィーロ……」


「ユージン、よかったな。お前はきっと合格する」


 フィーロは、ユージンの胸板を軽く叩いた。


「……義父さんが言ってたよ。もしもダメだった場合は戻って来いって」


「俺は武者修行に出る」


「話を聞いて」


 荷物を担ぐフィーロを、ユージンは急いで止めた。


「龍を殺す方法が、もう一つあるんだ。詳しい話は義父さんに聞いて欲しい」


 出発しようとしていたフィーロの足が止まる。


「そんなのがあるなら、どうして」


 フィーロの視線は、龍騎士団の入団試験会場に向けられていた。

 ユージンは、頭を振った。


「こっちの方が現実的だからだよ。龍の素材を使った武器と防具、それに人による対龍戦の実績。もう一つは危険だし、幻想(ファンタジー)に半分足を踏み込んでる。そもそも可能かどうかも怪しい方法なんだ」


「何だ、そんな事か」


「え、そこで笑うの?」


「龍を殺そうなんて話自体、幻想(ファンタジー)だろ。分かった。行ってくる」


「あ、うん」


「頑張れよ、ユージン」


 フィーロは荷物を担ぎ直すと、駆け出した。

 目指すは修業を積んだオキナ山だ。


「え、もう行っちゃうの!?」


 後ろでユージンの声が響いていたが、耳には届かなかった。



「喜んでいるのは分かるけど……」


 フィーロの背を見送ったユージンの微笑みが、少し曇る。


「……義父さんに聞いたあの方法は、正直使って欲しくないな」



 数日後、ユージンは龍騎士団の入団試験を無事突破した。

微妙に伏線追加。


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