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学園戦記  作者: 藁部 御門
戦挙編
41/50

Heaven or Hell. Let's Rock!! 3


「ははは、やるじゃん。レイジもぶっ倒れちゃったし、俺もビリビリしてるし、でも、心は高ぶってわくわくしてるじゃん。……コレが恋?」


 伊野が笑いながら自前のギターを肩に担ぎ、自分の味方をチラリと一瞥したあと、目の前に立つ葵ちゃんに相変わらずふざけた口調でふざけながら話しかける。


 いきなり恋とか言われた葵ちゃんは背筋に寒気でも走ったのか、体をブルりと震わせる。


「恐らく、ただの勘違いね。それより、ちょっとは焦ったらどう? そっちは仲間が倒れてるのに」


「そっちだって一人脱落みたいなもんじゃん。あと、確かにレイジの『具現』は俺の『抗鬱音階アッパーメロディ』と相性が良くて、頼ってたけど、別に俺が一人で戦えないってわけじゃないじゃん」


 仲間が脱落したのに、慌てることなく場をよく見てる。


「そう、なら」


「存分にセッションだ!」


 振り上げた刀と担いでいたギターが同時に振り下ろされ、それぞれの中間で火花を散らし、鍔迫り合いへと移る。


 鍔迫り合いは葵ちゃんが完全に有利だ。葵ちゃんの刀から電撃が走って伊野を襲い感電させる事が出来る。


 だが、伊野のギターは鍔迫り合いの時に弦を鳴らし、音符を生み出す。


「“フォルテッシモ”」


 それまでの音符とは違い、生まれるとすぐさま爆発しお互いが衝撃に襲われ、強制的に距離が離れる。


「ッゥゥ!」


 近距離で衝撃をくらいさすがの葵ちゃんも苦痛に顔を歪ませる。


「やっぱり効くじゃん。キミの電撃。新たな扉が開かれそうだよ。気持よくてね」


 おんなじ様に伊野も衝撃をくらってるはずなのに向こうはかなり涼し気な表情で、ボロボロの制服とは正反対に生き生きとした表情で葵ちゃんを見据える。


「やっぱりコレは恋じゃん? まずはお名前から聞くじゃん」


「……や、山田花子」


「……」


 明らかな偽名を名乗った葵ちゃんに伊野の表情は固まる。


 そりゃそうだ。


 山田花子って名前の少女が漫画やラノベのヒロインやってたら千年の恋も冷める。


「……くははは、いいじゃん。いいじゃん。なら、俺が勝ったら教えてじゃん」


「……ヤダ」


 よほど嫌っているのか、渋い顔をして答える。


「……失恋じゃん。一曲作れそうじゃん。もういいじゃん。本気の本気を出すじゃん」


 素っ気の無い返事をされて、伊野は多少泣きそうな顔をしながら強がりをいい、八つ当たりのようにギターをかき鳴らし、自分の周りに音符を大量に作り出す。


 量を作ると質が落ちるのか、一個あたりの大きさは小さめではあったが、二十個ほどの音符が彼の周りを漂っていた。


「“デスパレート”」


 そう呟くと、ゆっくりと葵ちゃん目掛けて歩いて行く。その行進に合わせ、音符達も伊野に付き添うように付いて行く。


 伊野自身はその音符達の先頭を歩く。


 てっきり作り出した音符は相手にむやみに攻撃させないための抑止力なのかと思ったが、当の本人が音符より前に出ている。


 これじゃあ、相手側の攻撃の妨げにはならない。


 俺としては一旦様子を見てみたい所だけれど、葵ちゃんがそんな選択肢を取るわけもない。


「てやぁぁああ!」


 自らの刀をしっかりとと握り、特攻よろしく突っ込んでいく。


 そんな彼女の攻撃は勢い十分、恐らく防御も間に合わないであろうくらい鋭く振りぬかれている。そんな彼女の攻撃を伊野はゆっくりと確認し、ギターを大きく振りかぶり自身の背中に展開している音符にギターを軽く触れさせる。


 ギャン! キン。


 歪んだ音と金属音が響いたあと、葵ちゃんが吹き飛ばされる。


 一瞬のことで、俺の目にもよく見えなかった。


 ただ、感じたままに言えば、当たると思った葵ちゃんの攻撃を圧倒的な振り遅れだったはずの伊野の攻撃が何故か間に合い、そのままの勢いで体重の軽そうな葵ちゃんを吹き飛ばした。


「……!?」


 恐らく葵ちゃんも攻撃が当たると思っていたのだろう、無言で自らの刀を見つめ、困惑していた。


 そんな彼女を余所に、伊野はその場でジャンプすると後ろの音符を叩く。


 先程まではギターで叩かれた音符はその方向へ飛んでいたが、今度はギターが触れた瞬間その場で破裂し歪んだ音を響かせ、音符を割った本人を吹き飛ばしていた。


「休んでる余裕なんて無いじゃん」


 とっさに、弾丸のように突っ込んできた伊野の攻撃を葵ちゃんも受け止める。が、次撃の攻撃の際また伊野の後方に位置する音符を割って推進力を得たギターの攻撃が来ると、為すすべなく吹き飛んだ。


 どうやら、あの後ろの音符達は相手を攻撃するためでは無く、伊野のギターでの攻撃を補助するためのものらしい。


 結果、体重の軽そうな葵ちゃんは相手の攻撃を受けきれず吹き飛んじゃうと。


「ヤバイかなコレは?」


 ただでさえ、神楽の攻撃を右腕に受けて、力が落ちている葵ちゃんにあの高速で重い一撃は止めれそうも無い。


 コレが普通の斬り合いなら恐らく葵ちゃんが勝てるんだろうけど。


 さて、どうする。


 自身の拳銃にとりあえず銃弾をリロードしながら、対処法を考える。


 だが、そんな俺の行動を制するように声がかけられる。


「大丈夫だからね。天下くん。絶対勝つから、信用してそこで休んでてて」


 こちらは見ずに、現状を打開する策を必死に頭の中で考えながら、俺に向かって声をかけてくる。


 その声は意外に元気そうで、ともすれば、楽しそうだった。


 コレなら大丈夫かな。


「……信頼するよ?」


「……! うん。任せてて」


 信頼という言葉が以外だったのか、一瞬キョトンとした顔をしてこちらを見たが、すぐさま笑顔に変わる。


 そのまま元気に返事をし、伊野に向かう。  


 任せるよ。


「軽すぎるじゃん。もう少し太ったほうがいいじゃんよ」


「余計なお世話。今のままでもアナタに勝てるからまた今度にしておくわ」


 バチバチと先ほどにもまして剣に電撃をまとわせ、先程レイジの『エコーズ』から抜けだしたように地面に突き刺す。


 電撃が濡れた地面を伝って走るが、刀を突き刺す動作を見せた瞬間、伊野はギターで音符を叩き今度は空に飛び上がる。


「上からの一撃は効くじゃんよ。さっきみたいに、吹き飛ぶことで衝撃は逃がせないじゃんよ」


「その前に倒す!」


 上に飛んだ伊野目掛け、今度は自身の『具現』である電気を大量に帯電させた刀を投げる。


 刀を弾いても掴んでも電撃を浴びる。更に空中なら避けることすら難しい。


 良い攻撃だ。


 だが、恐らく失敗だ。


「甘いじゃん!」


 伊野は空中の音符を叩き、空中で強引に場所をずらして葵ちゃんの攻撃を躱す。


 一転して不利になったのは葵ちゃんだ。一か八かの攻撃を躱され、オマケに武器まで手放した。


 でも、葵ちゃんは不敵に笑う。


「甘くないよ。いいの、避けてくれて。そう、避けてくれるのが一番都合がいい! “雷陣”」


 避けられた刀は空中で蜘蛛の巣じょうに電撃を広げ、そこにあった音符達を一つ残らず絡めとり、一斉に爆発させる。


「なっ!」


 流石に驚いた表情を浮かべる伊野。


 自らの切り札が壊れた時は流石に普段のふざけた様子も崩れる。


 だが、刀を投げてる以上、葵ちゃん自身も武器がない。


 が、決定的なチャンスを逃したくは無い。


 葵ちゃんはとりあえず着地する伊野へと迫る。


 伊野はもう一度音符を作り出すこと無く、そのままギターを振るって決着をつけようとする。


「一つ認める、アナタは強い。その強さに敬意を払い、私の名前を教えるわ。天上葵よ」


「伊野真瑠珠だ。そんでもって、アンタを倒すロックンローラーじゃん!!」


 振り下ろすギターを葵ちゃんは直前で体をひねって避ける。


 やはり、単純な戦闘なら葵ちゃんの方が上だ。


 そして、葵ちゃんは腰に差してある鞘を引きぬき、伊野の顎を上へと打ちぬく。


 電気が上半身から足へと抜けていき、伊野の眼がぐるりと回って白目を向いてそのまま膝を着いた。


「……名前教えてあげても、名前で呼んでくれない人とは仲良くなれそうもないね」


 バタリ。


 倒れる伊野を最期まで見届けること無く俺の方を振り向く。


「流石だぜ、葵ちゃん!」


 俺が親指を上げて葵ちゃんへ拳を突き出し健闘を称えると、葵ちゃんも笑顔でこぶしを天へ突き上げた。


なんか、細かく分割しちゃってスイマセン。


ルータの設定なのか、アップロードが上手くいかなくて


次は天帝登場です。


ご意見ご感想お待ちしております。


アドバイスも待ってます。


感想くれると喜びます。

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