愛しい人との再会。4
突然の攻撃に驚いたエイリッヒは咄嗟に後方に跳んだ。
「……何をする! 卑怯な奴め! 騎士道精神というものがないのか!」
「フッ! 他人の女を奪うお前にだけは言われたくないな! そんな奴に騎士道を説かれてもな……」
「……くっ!」
エイリッヒは歯軋りをすると再び剣を構えてアレクに襲い掛かる。
互いの剣が激しくぶつかり合って火花が散る。
どちらか一方の剣が相手の剣を大きく弾き飛ばすと、もう一方が再び斬り掛かる
剣と剣のぶつかり合う金属音が部屋に響き渡る中、私は二人の闘いを見ながら胸の前で祈る様に手を重ね合わせる。
互いの剣が服を掠めて切り傷を作り血が滲んでいく。
エイリッヒもアレクも息が上がってきており、このままだと本当にどちらか一方が死んでしまうかもしれない。
そう思った私の体は無意識のうちに走り出していた。
「もう、やめて! このままじゃ二人共死んでしまうわ!」
「……ッ!! アリシア!?」
「……ッ!! アリシア嬢!?」
二人の振り抜いた剣が、二人の間に立ちはだかった私の体を貫くすんでのところで止まった。
「お願い……私は、傷つく二人を見たくない……」
涙で潤んだ瞳で声を震わせながら、私は懇願するように二人に訴えた。
「アリシア……お前の頼みでもこればかりは聞けない……」
「アリシア嬢。悪いが下がってくれ。これは男と男の闘いだ……」
「……どうして? どうして話し合いで解決できないの? こんなの間違ってるわ! 絶対に話せば分かり合えるはず」
私の訴えにアレクが先に握りしめていた剣を床に投げ捨てた。
それを見たエイリッヒも続いて床に剣を投げ捨てる。
「すまなかった……君の前で君の望まぬ戦いをしてしまった……」
「相手が戦意を失っているのにそれを襲うなど騎士道に反する……アリシア嬢。僕も君に謝罪させてほしい。すまなかった……」
私は胸を撫でおろして、安心したように笑みを浮かべた。
その後、エイリッヒとアレクと私で紅茶を飲みながら話をすることになった。
ライルも私の隣に座ってそれを黙って見守っている。
「エイリッヒ様はこの国の為に私の植物を育てる力が欲しいの。だから、アレク……なんとかしてあげられないかしら?」
「そうか……なら、別に食料があれば良いのだろう? それなら、アリシアがいなくとも食料を貿易でやり取りすれば良いだろう」
「いや、それでは根本的な解決にならない。アリシア嬢がいればこの痩せた大地にも植物が育つはずだ。僕はそれを期待している」
アレクとエイリッヒは互いの意見を言ってはみたが、やはりそこには溝があって上手くはいかない。




