愛しい人との再会。3
煙突の中をよじ登るライルの息遣いと壁を蹴る音が響き、少しして煙突からロープが垂れ下がってくる。
「……ほら、アニキに姉ちゃん。ロープを登って来てくれよ! 女の力じゃ登るのはきついからアニキがサポートしてやってくれよな!」
「分かっている!」
ライルにそう言われてアレクは私の腰に腕を回すと体を抱き寄せた。
煙突の中から垂れるロープに手を掛けると、急に扉が開いて部屋の中にエイリッヒが入って来た。
「何者だ! 彼女をどうするつもりだ!!」
エイリッヒの青い瞳がアレクを捉える。
その鋭い眼光を受けてもアレクは不適な表情で余裕そうだ。
「アリシア。危ないから離れていろ……」
「……アレク」
アレクは私の腰に回していた手を放すと、暖炉から出てローブの下に隠していた剣を掴んで引き抜いた。
その衝撃でローブが落ちてアレクの姿が窓から差し込む月明かりの元に晒された。
その姿にエイリッヒは少し驚いた顔をしたがすぐに平静を取り戻す。
「そうか……君か……まさか敵陣に単騎で乗り込んで来るとはね。なんて無謀な奴なんだ君は……」
「婚約者をさらわれれば救い出すのが未来の夫である俺の役目だ……俺の女に手を出すとは身の程知らずの愚か者が! その罪。万死に値するぞ!!」
「……君は馬鹿か? ここは我が領内だ。この場を運良く逃げれても、君が逃げれる可能性はない……まあ、僕が絶対に逃すわけないけどね」
エイリッヒは剣を構えると、獲物を捕える狩人のような鋭い顔でアレクにその切っ先を向けた。
「フッ……面白い!」
アレクも余裕の表情を崩さずにエイリッヒの放つ殺気を真っ向から受けて立つ。
「やめて! 話し合いで解決しましょう!」
「もう、話し合いではすまない!」
「もう話し合いではすまないのです!」
私が二人にそう叫ぶと、アレクとエイリッヒは同時に叫んだ。
互いに剣を構えて走り出すと、振り抜いた金属が激しくぶつかり合い火花が散る。
エイリッヒとアレクは鍔迫り合いになりながら、互いに一歩も譲らない。
すると、エイリッヒはアレクに言った。
「君にアリシア嬢を渡すわけにはいかない。国の未来の為に僕はアリシア嬢が必要なのだ!」
「そんな事などは知った事ではない! 俺の婚約者を返してもらう! アリシアは俺の婚約者だ!」
アレクは鍔迫り合いの状態から剣を押して体を捻ると、エイリッヒの胴体に蹴りを入れる。




