12話 愛しい人との再会。
私が寝ようと布団の中に入っていると、暖炉の方から何か音が聞こえてきた。
確かに時折パチパチと焼けた薪の弾ける音はするものの、どうやらそれとも違うようだ。
耳を澄ませてみると、咳き込むような音のようで私は恐る恐る暖炉の方に近づいて行く。
「……誰かいますの?」
暖炉に向かって声を掛けると聞き慣れた声が返ってきた。
「アリシア姉ちゃん……そこにいるのか? けほっ! けほっ! おれだよ……ライルだ! 姉ちゃんを助けに来たんだ!」
「ライルくん!? 待ってて今、火を消すからね!」
私は慌てて花瓶から花を抜き取ると、花瓶の中の水を暖炉の中の火にぶち撒けた。
火は一瞬で消えてものすごい白煙が上がり、煙突の中のライルが更に激しく咳き込む。
私はすぐに鉄の棒で灰と薪を掻き出すと煙突に向かって叫ぶ。
「火を消したからもう大丈夫よ! ライルくん降りてきて!」
「ああ、助かる!」
その声の後、スルスルと靴がレンガと擦れる音が響きドスッと着地して少年が現れた。
「ふぅ〜、酷い目にあったよ。やっぱ! クリスマスにこんな場所を通って袋持って全国を回るサンタは頭イカれてるぜ!」
ライルはそう言ってパンパンと全身に付いた煤を払い落とした。
「ライルくん! 助けに来てくれたのね!」
「ああ! 当たり前だろ! 姉ちゃんはアニキの大切な人だからな! それにおれだけじゃないぜ? ここは安全だ。降りて来いよ!!」
そうライルが煙突の中に叫ぶと、再びスルスルと靴が擦れる音と共に頭までローブを着た男性が現れた。
彼は頭のローブを取って顔を見せる。
私はその顔を見るなり瞳から涙が溢れ出す。
「……アレク!!」
「アリシア!!」
私とアレクは互いの顔を見るなり走り我慢できずに互いの体を抱きしめた。
私は暖かいアレクの体温を感じてこれが夢ではないという事を確認し、安堵した私の瞳からは涙が止めどなく溢れてくる。
「アレク……私、もう二度と会えないかと思った……」
「俺もだ……俺の愛しいアリシア……んっ……んんっ……」
「んっ……ああ……アレク……んんっ……」
互いの体に腕を絡み付かせてその存在を確かめ合うように私とアレクの唇と唇を重ね合う。
ずっと待ち望んでいたこの瞬間、やっと訪れた奇跡。
もう何があっても絶対に離れたくない……
私はその気持ちを胸に会えなかった時を取り戻すようにアレクと口付けを交わし続けた。




