雪国の王子様の過去。7
牙を剥き出しにした狼に、男達は怯えた表情を浮かべる。
「な、なんだこのガキ! まさか……獣化出来る能力者か!」
「だったら、どうだっていうんだ? 所詮は、犬っころだろ!」
ロウは威嚇するように大きく唸ると男達に飛び掛かった。
男達の攻撃を交わしながら素早い動きで次々と男達を牙と爪で倒して行った。
断末魔の叫び声を上げて絶命する男達を冷たく見下ろすエイリッヒは、白銀の美しい毛並みを返り血で赤く染めているロウに叫ぶ。
「ロウ! 早く街に戻ろう! どこかに爆弾があるはずだ! それを見つけ出すんだ!」
「おう! エレン、俺の背に乗れ!」
ロウは自分の背中を見ながらそう言ってエイリッヒの方に背中を向けた。
エイリッヒは頷くと、ロウの背中に飛び乗る。
狼の姿のロウはそのまま走り出すと、さっき通ってきた地下通路を走って街に戻った。
「早く爆弾を探さないと大惨事になる!」
「エレン、俺に任せろ! この姿なら奴等の臭いから爆弾の場所を特定できる!
街に戻るとロウが鼻をヒクヒクと動かして地面の臭いを嗅いだ。
「クンクン……こっちだ!」
ロウはエイリッヒを乗せて走った。
全速力でロウが向かったのは王城だった。
鼻をヒクヒクと動かしながら全速力で少しの幅しかない岩肌を駆け上がり、城壁を飛び越えると、中へと侵入して制止する兵士達を軽々とかわして向かったのは物置に使っている離れの小屋だ。
「ここだ! ここに爆弾がある!」
「分かった! 僕が処理する!」
エイリッヒはそう叫んで小屋の扉を蹴破ると、中へと飛び込んで見慣れない木箱を見つけてそれを抱える。
その直後、銀狼の姿のロウが叫んだ。
「エレン! なにをしているんだ! それを俺に渡せ!」
「ダメだ! 僕はエレンじゃない! 僕の本当の名前はエイリッヒだ! エイリッヒ・アイスディア! この国の王子だ!」
「……な、なんだと」
ロウは驚いた様子だったが、すぐに平静を取り戻し突然走り出した。
白銀の毛並みを揺らしながらエイリッヒの足元にロウは噛み付いてきた。
「ぐっ……な、なにするんだ。ロウ……」
「……悪いなエレン。いや、エイリッヒ王子……これは俺の仕事だ……」
ロウは足を押さえて倒れるエイリッヒにそう言って、エイリッヒが人の姿に戻ると木箱を奪い取って倉庫にあったロープで背中に括り付けて、再び銀狼の姿に戻った。




