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雪国の王子様の過去。4

      * * *



 あれはエイリッヒがまだ子供の頃。


 城で退屈な日々を過ごしていたエイリッヒは時折、従者の目を盗んで城の外へ遊びに行く事があった。


 城を抜け出したエイリッヒは王族とバレないように着替えると、国民に紛れて街の方まで行った。


 子供だったエイリッヒには街の庶民の生活は新鮮に感じた。


 城での窮屈な暮らしとは違う活気があり自由な庶民の暮らしにエイリッヒが憧れを抱くのはそう時間は掛からなかった。


「おい! お前!」


 突然、エイリッヒを呼び止めた声に振り向くと、そこには小汚い服の白髪の少年が腕を組んで立っていた。


「ぼ、ぼく?」

「そうだよ! お前、ここらへんでは見ない顔だな! 商人か何かの子か?」

「いや……ぼくは最近ここに移り住んで来たんだ。良かったら色々教えて欲しい」

「ふぅーん。まあ、いいや! 俺はこの街に詳しいからな! 色々教えてやるよ! 俺はロウ! お前、名前は?」

「ぼくはエイリッ……エレンだ!」

「そうか! よろしくなエレン!」


 ロウはそう言ってエイリッヒに微笑んだ。


 それからエイリッヒを連れてロウは街の色々な場所を案内する。


 エイリッヒの手を引いてロウは嬉しそうに街中を走っている姿を見て微かに微笑む。


「こっちだ! 登って来いよエレン!」

「待ってよ! ロウ、見せたい景色ってなに?」


 ロウに言われるがまま、エイリッヒは教会の屋根をよじ登った。


 教会の鐘の側に登って来ると、ロウが目の前を指差した。


「ほら、見てみろよ! エレン!」


 そこには普段見ているはずの雪に包まれた街並みが街のあちこちの灯りで照らされて光り輝く宝石のように見えた。


「……すごい。雪がキラキラ光ってまるでおとぎ話の金銀財宝の山みたいだ……」

「すげぇーだろ? 俺達の街が世界で一番きれいだと、俺は思うんだ……なあ、エレン。お前はどう思う? 他の街から来たお前の目から見てもこの街はきれいだと思うか?」

「……ああ、ロウ。この街は本当にきれいだ」


 そうエイリッヒが言うと、ロウは嬉しそうに笑った。


「だろ? 俺はこの街が好きだ。誇りに思うし、この景色を俺が守っていこうと思う……だから、お前も一緒にこの街を守って行こうぜ!」

「ああ、ぼくもロウと同じ気持ちだ。この素晴らしい景色をずっと守っていきたい」


 そう言ってエイリッヒとロウは互いに腕を交差させて顔を見合わせ笑い合った。

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