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雪国の王子様の過去。2

 窓の外は毎日変わらず雪が降り積もっていた。


「ソフィア……本当にこの国は雪ばかりなのね」

「はい。この国では太陽が顔を見せるのは年に数日あるかないか……その為、太陽を見るのは吉兆と言われています」


 ソフィアは丁寧な所作でテーブルの上の食器を片付けながら、窓の外に視線を向ける。


 私も窓の外の雪に覆われた銀世界を見つめていた。


 その時、扉をノックする音が部屋に響く。


「アリシア嬢。入ってもよろしいですか?」

「はい」


 私が返事をすると、エイリッヒがゆっくりと入ってきた。


 気まずい雰囲気が流れるが、私は彼に向かって微笑むと、自分の向かいにある席に目を向けた。


「こちらにどうぞ。お話しましょう」

「ああ、なら失礼します」


 私が怒っていないと分かったのか、表情をわずかに和らげてエイリッヒは少し遠慮しがちに椅子に腰掛けた。


 すると、ソフィアはエイリッヒの前にティーカップを置いてそれにに紅茶を注いだ。


「どうぞ、エイリッヒ様……」

「ソフィア。ありがとう」


 エイリッヒはティーカップを持ち紅茶に口を付けると安らぎ、小さく息を吐いた。


 私はエイリッヒになるべく優しい声色で話し掛ける。


「エイリッヒ様……この城に数日居て少し考え直しました。あなたは国の為に私を誘拐までして連れて来た。手段は問題でしたが、それほどまでに祖国であるこの国のことを思っての行動である事は理解しました」

「……ええ。アリシア嬢……貴女には本当に申し訳ないことをしたと思っていむが、私の意思は変わりはしません。貴女に私の妃になって頂きたい。そしていずれ子に貴女の能力が引き継がれれば、この痩せた白銀の大地に草木や作物が実ることでしょう……どうか、我々の民を救って頂きたい」


 エイリッヒはティーカップをテーブルに戻すと、手を突いて深々と私に頭を下げる。

 

 私は小さく頷いて彼に言った。


「エイリッヒ様。頭をお上げください……わたくしも悪かったのです。数日、メイド達と交流して分かりました。あなたは悪い方ではないのだと」


 エイリッヒは頭を上げると、私の目を真っ直ぐに見つめる。


 それはどこか叱られるのを待つ子供の様でもあった。


「あなたの私利私欲でわたくしを攫ったのであれば許しません。ですが、ここのメイド達は皆、笑顔が絶えず自由です。それは主人が良いからでしょう……それで思ったのです。あなたをもっと知らなければと……」

「アリシア嬢……ありがとうございます」


 エイリッヒは瞳に涙を浮かべながら再び深く頭を下げた。

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