1話目 【状況】
目が覚めると、自分は血まみれで座っていた。
そこに女が入ってきて、こう言った。
「ここは、凶悪犯罪者になる人が、必ず来る部屋」
「・・・・・・は?」
凶悪犯?部屋?どうみたって監獄じゃあないか。それに、なにをこの女は言っている?
「びっくりしたかな?君はこれから、凶悪犯になるんだよ!」
女は部屋の電気をつけると、僕に向かってにっこりと微笑んだ。
細身の身体で黒いスーツを着こなし、ロングの髪をかき上げる。耳に光るイヤリングが色気を出している。
美人でもないし、不細工でもない。でも、出るところは出ていて、スタイルは良い。
「お前は・・・誰だ・・・?」
再度質問を放つ。室内の明かりが見下ろすように冷たく光っている。
「私は・・・、ここの管理人だよ。名前は阿須雌弓良茂っていうんだ~。
あ、当て字みたいで変な名前でしょ?でもでも、本名だし、君も似た感じだよね!湖田家吏柄堂君!」
「湖田家吏柄堂・・・!?なんで僕の名前を・・・!?」
「そりゃぁ、私はここの管理人だよ?知ってて当たり前です!」
個人情報のへったくれもない。目の前にいる女に恐怖を抱く。
「それに、なんで僕が・・・?なんで、血まみれで、なんで凶悪犯に・・・・・・。」
「一度にいろいろ質問しないで~!!!気持ちはわかるけど~!!!」
女・・・阿須雌弓良茂は、大きい声で喚いた。喋り方にいちいち腹が立つのは、こいつが悪いと信じる。
「まず、この部屋について話してあげる!順序を追って話すから、ちゃんと聞いてて!!」
「・・・・・・はぁ、わかったよ。」
女は、そこらへんの地べたに座ると、煙草を口に咥えて、火を灯した。
「東京のある路地裏を進み、マンホールから地下に降りる。奥に進んで18個目のマンホールの下の梯子に、隠れている隠し扉を開けた先・・・・・・。そこにこの部屋は存在している。この部屋の名前は、『凶悪犯部屋』、そのままだね。この部屋を作ったのは、すでに死んでいる殺し屋、『ペトラーナ』という女性だ。私にとってペトラーナは、ご先祖様だね。代々うちの家系は、この部屋で凶悪犯を量産してきた。ここに来る私以外の人間は、凶悪犯になる前の君のような人間か、凶悪犯だけだ。巷で最近ニュースになった、連続バラバラ殺人事件、人間生き埋め100人事件、連続映画館毒ガス蔓延事件、その他いくつもの凶悪事件の犯人は、全てここで育成された。どうだい?少し怖いかい?」
阿須雌は右頬のほくろを歪ませて、にやりと嗤った。僕が話の続きを強要すると、つまらなそうに話し出す
。
「この部屋は102号室で、この他にあと4部屋ある。今は全部満員だね。そのすべての管理人が、この私だ。他の部屋に勝手には行けない。そもそも、君はここから私なしでは出られない。残念かい?まぁ、それはともかく、君にはここで今日から、3食間食付きで自由に過ごしてもらう。食べたいもの、欲しいものがあれば、私が買ってくる。そして、君がするここでの仕事は・・・・・・、ほかの部屋の住民や、今現在逃亡中の凶悪犯たちと会って話すこと。君が凶悪犯になるための、重要な仕事だよ。」
「ちょっと待ってくれ。そもそもなんで僕がそんな事しなきゃいけないんだ?」
「あぁ、そうだね、その話もしてあげないとねぇ・・・。」
女は吸っていた煙草を投げ、踏みにじると、ふぅっと口に残っていた煙を吐いた。
「その前に君、シャワー浴びておいでよ。」
「・・・え・・・?」
「その血、洗い流して綺麗になりたいでしょ?」
顔に手に足に身体に床についている血は、乾き始めて気分が悪い。まるで泥がついているようだ。
「・・・・・・わかりました。」
「お風呂場はその奥の部屋。バスタオルはあるけど、下着や着替えがないね・・・・・・。君が入っている間に買ってくるから、サイズを教えて?」
「・・・・・・大抵、Mは着れます。Sだと少しきつくて、Lはぶかぶかです。」
「ご丁寧にどうも。ほんじゃぁ、ちょっくら行ってくるね!」
女がピースサインをして、部屋の扉を閉め終わったのを確認したあと、僕は風呂場へと向かった。
読んでいただき、ありがとうございます。
少し長くなりましたが、いかがでしたか?
感想、アドバイス、駄目出しお待ちしております。
よろしければ、次話が投稿されましたら、また読んでくださいね。
当て字楽しい。




