目覚めた古代の天才少女!
「んふあぁぁ。よく寝たわね」
白煙が晴れる中、クリスタルカプセルから滑り出てきたのは、白銀の髪に古代の魔導装束を身に纏った小柄な美少女だった。
彼女は周囲の光景と中央制御モニターの数値に目を留めた瞬間、その瞳をカッと見開いた!
「な、なんですってぇぇぇぇっ!??初期起動エネルギー出力が、規格上限の500%オーバー!?バッテリーのコアどころか、都市全体の蓄電池を振り切るレベルよ!?一体誰がこんなデタラメな点火を施したの!?」
美少女技師はドタバタと駆け寄り、レオとヴェルフを凝視した。
手にした端末でログをスキャンした瞬間、彼女の顔が歓喜と興奮で引きつった。
「と、統計適合率100%の【魔性順応】と聖獣様の瘴気による完全同調点火!?凄すぎる、理論値すら置き去りにする奇跡の組み合わせじゃないのぉぉぉ!!」
「え、あ、うん俺はレオ・アルヴァレスです。君は?」
美少女はバッとドレスの裾を持ち上げ、最敬礼を捧げた。
「失礼いたしました!私はこの浄化都市『グラン・ゼノア』の中枢開発責任者、アリアと申します!一体どれほどの時が流れたのか分かりませんが、私をそしてこのシステムを完璧以上に目覚めさせてくださり、ありがとうございます!」
アリアは熱い眼差しでレオの手を握りしめた。
「レオ様!あなたこそ私が待ち望んでいた真の主です!ヴェルフ様が避難を終えた後も、私はシステムを再起動させてくれる『真の統御者』を信じて眠りについた。我が頭脳と技術、すべてをレオ様に捧げますわ!」
『ぬふふ、分かっておるではないかアリアよ。余とレオの絆は無敵なのだ』
「ええ、神獣様とのコンビネーションも最高ですわ!開発者としての血が騒ぎます!」
頼もしすぎる天才技師アリアの加入により、アリアはすぐさまメインコンソールに向かい、素早い手つきでパネルを打ち込んでいく。
「まずは基本中の基本都市防衛シークエンスを実行します!『広域防衛障壁』、展開!!」
ブワッ!!!
地下空間全体を包み込むように、目に見えぬ強固な力場が張り巡らされた。
「これで都市全体の隠蔽と防衛は完璧ですわ!害意を持つ魔物や悪党は一歩たりとも入れません!(さらにレオ様の【クロニクル】に私の意識をダイレクト接続いたしました!)」
(《確認。開発責任者アリアとの精神念話回線が開通しました。都市データのリアルタイム共有が可能です》)
(「ふふふ!レオ様、私の声が直接届いていますわね!道具を使わずにいつでもお話しできます!」)
「(すごいな、アリア!これなら離れていても安心だ)」
(「任せてくださいですわ!私はここで都市の復旧と、新しい生活設備の再現を進めていきます!」)
アリアという最強の天才技師を得て、地下空間の任せることができる人材が仲間になったことは、今後の地下空間の都市発展を大きく加速させることになったのである。
レオ達は、アリアに地下都市のことを任せ、【最悪の荒野、グラ・ヴァル】の地上調査を再開する。
「よし地下の環境も落ち着いたし、俺たちは地上の領地調査を再開しよう!」
「はいニャ!地上にどんな場所があるのか、もっと探検したいですニャ!」
『うむ!余も久しぶりに地上を歩き回りたかったところだ!』
アリアに留守を託し、レオ・ミニア・ヴェルフの三人は、意気揚々と地上拠点(泥レンガの砦)へと戻り、さらなる領地調査へと足を踏み出した。
地下通路を抜け、久しぶりに風が吹き抜ける地上拠点(泥レンガの砦)へと戻ってきたレオたち。
コアの起動によって地上へ漏れ出したわずかな『浄化魔気流』が、過酷だった荒野の空気を優しく和らげていた。
「地上も、なんだか前より過ごしやすくなってますニャ……!」
「ああ、地下の空気が地上にも良い影響を与えてるんだな」
レオたちが広大な領地の調査を進めていた、その時だった。
ピクッ!!
ミニアの立ち耳が激しく揺れ、鼻をくんくんと鳴らした。
「レ、レオ様っ!こっちの風から助けを求める人の声と、悲しい匂いがしますニャ!」
「えっ人の声!?ミニア、分かるのか!?」
「はいニャ!すごく遠くですけど、何者かに追われて泣いている人たちの気配がしますニャ!」
ミニアの研ぎ澄まされた直感と野生の察知能力。
『クロニクル』が即座にミニアの示した方向をスキャンした。
(《ミニア様の指摘方位をスキャン東方2キロの街道にて、追撃者に追われる弱者(亜人グループ)を確認》)
(『レオ様!私のモニターにも反応が出ましたわ!ミニア様の察知能力、素晴らしい精度です!追われているのは武器を持たない難民のようです!』)
脳内に響くアリアの感嘆の声。
「ミニア、お手柄だ!急いで助けに向かおう!」
「すぐに助けに行きますニャ!」
『フハハ!荒野の害虫どもを蹴散らすとしようぞ!』
その時は、『助けを求めている者』、『行き場を失った者』を引き寄せるミニアの不思議な『才能』に導かれていることを知りもしない、レオたちは疾風のごとく荒野を駆け出したのであった。




