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スキルが覚醒したら追放されたので、理想を追求してみます  作者: @tsutsu-Chan


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大木の我が家

地上からの物資移動と簡易食堂の設置を終えたレオたちは、持ち込んだ干し肉と毒沼の清浄食材を使った温かいスープで腹を満たしていた。


「ふう……美味しかったニャ。やっぱり、安全な場所でみんなと一緒に食べるご飯は最高ですニャ……!」


ミニアが満足そうにお腹をさすりながら、ほっこりと目を細める。


『うむ。……さてレオ、腹も膨らんだところで、次はミニアが熱望していた『ふかふかの寝床』の確保だな?』


「ああ。せっかくここに拠点を構えるんだ。泥の上や固い石の上じゃなくて、体をしっかり休められる最高に気持ちいいベッドを作りたい。……ただ、服くらいしか持っていないから、寝具になる大きな布やクッション材、それに家を建てるための資材を集めないと」


レオが思案していると、脳内でクロニクルの静かな声が響いた。


(《レオ様。この地下空間には大規模な『自然林』と『岩場エリア』が存在します。林の樹木から強固な木材を、未探索エリアからはシルク以上の質感を持つ繊維植物やクッション材を獲得可能です》)


(木材も布も全部この地下で揃うのか! すごいな……!)


(《はい。さらに住居の配置についてですが、地上との行き来や物資の搬入動線を考慮すると、【地下通路の出口を覆うように存在する林】を活動拠点として整備するのが最も効率的です》)


クロニクルの合理的なアドバイスに深く頷き、レオは二人に向かって提案した。


「みんな、まずは拠点の場所だけど……地上との行き来や荷物の運び出しを考えると、開通した地下通路のすぐ目の前に広がる林を活かして生活エリアにするのが一番便利だと思うんだ。ここを俺たちの『生活拠点の中心』にするのはどうだろうか?」


「大賛成ですニャ! 通路のすぐ目の前なら、地上で何かあっても一瞬で避難できますニャ!」


『うむ、動線としても防衛の観点からも非常に理に叶っているな』


「よし決定だな! それじゃあ、まずはこの林の木々を使って、俺たちの『家』と『ふかふかベッド』の材料作りりだ!」


「はいニャーーッ! 夢の我が家づくりですニャ!」


レオたちは地下通路の出口周辺に広がる地下林周辺の環境を精査し始めた。

天井に点在する発光鉱石の柔らかな光を浴びて育った樹木たちは、地上では見かけないほど太く、たくましく根を張っている。


(「クロニクル、この木々を使って頑丈な家を建てたい。一番効率的で頑丈な建築設計を頼む!」)


(《了解。周辺の樹木配置および地下地盤を詳細スキャン中……最適な建築プランを構築しました。切り倒して一から組み上げるのではなく、地下通路の出口に生えている太い4本の大木をそのまま『主柱』として利用する【環樹式・精霊建築】をご提案します》)


(生きた大木をそのまま家の柱にするだって!?)


(《はい。深く根を張った生木を大柱とすることで、圧倒的な耐震・耐圧性を得られます。さらに、生木が地下のマナを吸い上げるため、ヴェルフ様の魔力補強と組み合わせることで家全体が天然の要塞となります》)


「なるほど……! 切った木材を使うよりずっと強固で、自然と一体化した素敵な家になりそうだ!」


レオは目の前に広がる景色を見渡しながら、ミニアとヴェルフに建築方針を説明した。


「みんな、家づくりの方法なんだけど、 通路出口の周りにあるこの4本の大木を切り倒さずにそのまま『家の柱』として使いたんいだ。柱にしない周りの木だけを伐採して、俺の能力で平らな板に形状変形させる。そして大木の幹に溝を掘って、その平板を掘った溝には嵌め込んで壁や部屋の仕切りを作っていきたいと思う。」


「にゃ、ニャんと……!? 生きている木をそのまま柱にしちゃうんですニャ!? すごい発想ですニャーッ!」


『ほほう……切った木材は腐食や劣化を免れんが、生木を柱とすれば数百年はびくともせん。古代の精霊技師が用いた手法だな。面白い、余も手伝おう!』


「みんな、ありがとう。ではこの方式で進めていこう!」


まずは材料の採集と加工だ、と思った瞬間にミニアの声が響いた。


「レオ様! こっちからすごく甘い匂いがするニャ!」


ミニアが優れた嗅覚で案内した林の奥には、ほのかに青く発光する幻想的な植物群が広がっていた。


(「なんだこれは?」)


(《対象を自動鑑定……『銀綿草(シルフコットン)』および『弾力キノコ(フロートマッシュ)』です》)


(「臭いで…、さすがミニアだな」)


(《ミニアの嗅覚・聴覚ともに飛びぬけた才能ですね。》)


『ほほう、これは銀綿草と弾力キノコじゃな。銀綿草はシーツに使えそうだし、弾力キノコはこの弾力だからマットレスとして使えそうじゃ! これらは毒もないので良いベットの素材となるであろう。』


「よくやったミニア、これらの採取を頼めるか?」


「任せるニャ! 根元からきれいに刈り取って、フワフワの部分だけ集めるニャ!」


ミニアが身軽に跳び回り、銀綿草の綿毛とフロートマッシュを手際よく集めていく。


その間に、レオとヴェルフは柱として残す4本の大木「以外」の周辺樹木を伐採・整理していくことにした。

ヴェルフは、木を咥えると、なんなく木を引っこ抜いていく、レオもヴェルフから瘴気を供給してもらい、肉体強化した力で伐採していく。

倒された丸太の前にレオが立ち、両手をかざす。


「クラフト、形状変化」


フシューーーッ……!


レオの手から放たれた青い光が丸太を包み込むと、ゴツゴツとした木皮が木目が美しく整った均一な厚みの「パネル板」へと形状が変化していく。

さらに特性変換の力によって木材繊維の密度が極限まで高められ、鉄のように頑丈で、水や火にも強い万能建材へと生まれ変わった。


「よし、壁用と床用のパネル板はこれで完成だな! 次は大木の加工にとりかかるとするか!」


レオは柱となる4本の大木の幹へ向かい、クロニクルのホログラムスキャンが脳内に映し出すガイドラインに従って作業を開始した。


「ここへ壁板をスライドさせて嵌め込むための『ガイドスリット』を掘るぞ!クラフト、形状変化」


レオの手から放たれた青い光が集中し、大木の幹の表面に垂直な溝を形成していく。生きた木を傷つけすぎず、かつパネル板が噛み合う絶妙な深さだ。


銀綿草と弾力キノの採取を終え戻ってきたミニアに声をかける。


「ミニア、大木の高所の溝へパネル板をスライドさせて嵌め込む作業を手伝ってくれ!」


「任せるニャ! この板を持って上まで登るニャ!」


ミニアはレオが作った軽量かつ頑丈な壁パネルを担ぐと、大木の幹をスルスルと軽快に駆け上がった。


(「ミニアって意外と力もあるんだな。」)、と感心するレオであった。


幹に削られた溝へ、上からパネル板を差し込む。


スーッ……!


「ピッタリ嵌まったニャーッ!」


「いいぞミニア! その調子で外壁と、部屋を区切る内壁の板も嵌めていこう!」


ミニアは軽業師のように高所作業を行い、レオは精密な建材加工をどんどんこなし、ヴェルフは家の周囲の伐採をしていく。

息の合った連携により、4本の大木を隅の柱とした堅牢な外壁が次々と組み上がっていく。地下通路の出口は、そのまま玄関廊下へとスムーズに繋がる構造だ。


仕上げにヴェルフが家の中心に立ち、静かに呪文を紡いだ。


『ふむ、余の魔力を分け与えてやるとしよう。生木よ、鉄の如き硬度と、あらゆる災いを退ける加護を宿せ……【樹界堅牢陣】!』


ゴォォォン……!


ヴェルフの放った漆黒の魔力が4本の大木と木製パネル全体に巡り、木肌が一瞬重厚な琥珀色に輝いた。生きた大木が魔力を吸収し、家全体がびくともしない「魔導木造コテージ」として完全に一体化したのだ。


(「屋根の高さも十分だし、将来的には上階を増やしてくこともできるな!」)、と思いを巡らせるレオがいた。


外枠と屋根が完成したところで、最後はミニアが最も楽しみにしていた「ベット」を作っていこう。


レオは残った木材を使い、広々とした寝室エリアに頑丈な木製ベッドフレームをクラフトしていく。

さらに、ミニアが集めてきた素材を使い、マットレスとシーツをつぎつぐに組み込んでいく。


「弾力性の高いフロートマッシュをほぐして、スプリングマットレスにして、その上に、紬いだ銀綿草をシルキシーツにして被せる!」


フワッ……!


完成したのは、木の温もりが漂うフレームに、雲のように分厚く膨らんだ純白の最高級ベッドだった。


「出来た……! ふかふかベッド!」


「にゃ、ニャんだこれはぁぁぁ……っ! 家の中に本物の木が立っていて、すごく落ち着くニャ……! それに、このベッド……!」


ミニアが吸い寄せられるようにベッドへ近づき、恐る恐る手で押し込んでみる。


ぎゅむっ……ポンッ!


「ふぁあっ!? 押し返してくるのに、手触りはツルツルでフワフワですニャーッ!」


耐えきれなくなったミニアは、そのまま勢いよくベッドの真ん中へダイブした!


ボフッ……!!


「〜〜〜〜〜っ! 雲の上に浮いてるみたいですニャ……! 身体が沈み込むのに、全然痛くない……最高ですニャ……!」


うっとりと頬をすり寄せ、幸せそうに身悶えるミニア。


『ほう……どれ。……ぬうぅっ!? この弾力と肌触り……王宮の最高級寝具すら遠く及ばんぞ。』


ヴェルフも隣のベッドに横たわり、その極上の心地に感嘆の声を漏らした。


「はは、二人とも喜んでくれてよかったよ。強固で安全性も抜群だし、ここなら安心して熟睡できるね」


レオも自分のベッドに腰を下ろし、自分たちの手でゼロから作り上げた「我が家」の温もりに胸を熱くした。


「さて……安全な我が家、そしてふかふかのベッドは揃った。……でも、開拓はまだ終わりじゃないぞ!」


「えっ? まだ何かあるんですニャ?」


ミニアがベッドからひょっこりと顔を上げる。レオはニッコリと微笑んで、決意を込めて言った。


「最高の家の次は……最高の温泉(お風呂)だ! 我が家に温泉を引き込もう!」


「お、温泉まで引き込んじゃうんですニャーーッ!? 行くニャ! 絶対に行くニャーッ!」


最高の我が家を完成させたレオたちは、更なる快適な生活環境づくりを目指し、次なる目標「温泉水源の開拓と古代配管の修復」へと乗り出すのだった!

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