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勇者としての自由な時間
いま、僕は勇者として召喚された。
魔王の恐怖に包まれた王国で、唯一の希望だと
彼らは、真剣な眼差しで訴え掛けてくる。
王国の窮状を見かねた僕は勇者として戦う事を決め、ここに僕の異世界での冒険が始まり出した。
最初に騎士との訓練から始まり、魔法を覚えて、魔物退治そしてダンジョン攻略と続いていく。
召喚時に女神様から与えられた、高い身体能力と数多くのスキルが、効率良く働き、見るみる内にレベルが上がっていくのが実感出来る。
そして幾多の魔王軍との戦いが有り、魔城での死闘の末に魔王を倒すことが出来た。
王都では、多くの人々の歓声が鳴り響き、舞い踊っていた。
これで、王国は平和になる事だろう。
王城での楽しき時間は、瞬く間に過ぎて行き、僕は日本に帰る日が来た。
そして、数々の多くの人の笑顔を胸に、帰還の魔方陣に乗り、無事に帰還の途に付いた。
気が付くと、目に写るのは見慣れた病室から見える景色。
異世界での事が嘘の様な平和な世界の中で、僕の身体は、以前の通りに動きはしない。
思うに、きっと僕の精神のみが、異世界に召喚された事なんだろう。
「あ~ぁ。楽しかったな。・・・これで残りの人生を乗りきれそうかな。」
病床で僕は、何時までも微笑んでいられる。




