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青春18きっぷで脱出  作者: 安曇 穂高
03. 姫冠から恵磨へ
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北陸本線 直江津-富山

この話は2014年が舞台であるため、金沢ー直江津の北陸本線があり、北陸新幹線はまだ長野新幹線と呼ばれていた時代です。したがって、現在の状況とは乖離していますが、悪しからずご了承ください。

 姫冠は、特急はくたかに乗り、富山へ移動し、そこで煌めく二つの星を見る予定であった。直江津駅でもらった鱈飯を堪能していた。姫冠は、もうトンネルなど高崎駅から連続で通過してばかりいて飽きたような顔をしているので、彼女ほど谷浜駅や有間川駅からの波の激しき日本海を見て、思わず「やった、海だ。」と呟いてしまった。いや、寧ろはしゃいだと云ったほうが適当かもしれない。

 鉄路は頸城の山々を穿つ狭隘なる隧道を西に西に驀進している。名立の駅は名立川の清水の真上に聳えたち、前後は鉄の道のための蒲鉾に挟撃されている。その蒲鉾を鉄路であればあれよあれよと言う間に通過して、土竜駅の筒石駅、漁村の玄関、能生駅であった。やはりこの辺りでは地質の都合上、どんな駅でもトンネルと抱き合わせだ。トンネルを抜けたらすぐ駅、駅を発車した途端に長大トンネル、そんな区間であった。

 その区間も終わり、浦本駅、梶屋敷駅と日本海沿いの漁村に沿いながら鉄路は西進する。波の音がはくたかの窓の席から微かに聞こえる。潮騒の音を姫冠が聴きながらウトウトしようとしたら、少しの間車内の電気が消灯した。彼女はやや驚愕したものの、わずか二秒ほどであったから停電だと思ったらしい。このことを検札にやってきた車掌に尋ねると、デッドセクション―直流と交流を切り替えるための地点であるということだという。

 そういうわけで、ついに糸魚川駅に到着した。ここ糸魚川は、西日本と東日本の地質の境界、すなわちプレートテクトニクス理論におけるユーラシアプレートと北米プレートの境界にあるという世界でも珍しい自然地理学的景観が広がる。ここまで来るとトンネルなどなく、日本海ギリギリのところを鉄路が通るようになる。その絶佳たるや如何、といえよう。数々の名列車だってここを全力疾走しているのだ。それらのように青海、親不知、市振、越中宮崎、泊と飛ばしていって、入善駅にまで着いた。生地の海洋深層水を急いでプラットフォームで買うと、列車は直ちに発車した。ここあたりから日本海を離って都市情緒と田畑が混ざった北陸地方にありがちな光景となる。黒部や魚津、滑川と呉東に名だたる都市が並び、東富山駅を過ぎようと疾走したところで富山駅に漸く着いた。


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