上越新幹線・ほくほく線 高崎-直江津
姫冠は、担任の先生から貰えたという大事な資料――転校のために必要である書類をランドセルから出して眺めていた。そこには、一学期の成績の書いた通知表や在学証明書、教科書支給証明書が存在していた。姫冠はまだ一年生であるため、漢字が読めるはずもなく、出したと同時にしまった感じになる。このランドセルや書類は、裁判所を出た後に一旦学校に寄って作ったということである。
新幹線は榛名トンネル、中山トンネル、大清水トンネルと長大トンネルを連続で通過してゆく。この間、驀進中の新幹線とトンネルのコンクリートとが轟音を響かせる。ゴゴゴという音が無限に続いていくようにも聞こえた。しかし、もう既に彼女は寝ていた。隣に同じような年齢の子がいたが、千葉から富山へ移動中だそうだ。
越後湯沢駅に着いたものの、「トンネルを抜けたらそこは雪国」というわけではない。夏だからだ。
越後湯沢駅からは、「はくたか」という特急列車に乗り換える。ほくほく線経由で富山へ向かっているが、ここまでトンネルが多い路線も非常に珍しいのではないか。とくに鍋立山トンネルでは竣工に数十年もかかったらしい。この話は、北越急行の車掌さんが姫冠に行ったものであるが、新鮮で興味ありそうな目で聞いていた。数々のトンネルやら高架の上の除雪設備だとか。この路線の完成に要した技術がいまや外国の鉄道建設に利用されているそうだ。
そんな話をしていると、直江津駅にたどり着いて、北越急行からJR西日本へと乗務員さんはバトンタッチした。姫冠は何も食べていないということを話すと、姫冠に車掌さんは駅弁「鱈飯」をプレゼントした。最後に車内検札を行い、「富山駅までですね。新しい街での暮らし、楽しんでね。」と優しい声で言って降車していったのであった。
ここからもまだまだトンネルばかりが並ぶ。北陸本線の直江津側では、地盤が脆弱なために土砂崩れや崖崩れで運休が続出したために、糸魚川以東をトンネル目白押しの新線に付け替えたためだ。この区間にも姫冠は乗っていく……。




