水泳大会
前回、穂高のモデルに関する問題を掲載しましたが、彼は作者である私自身をモデルにしています。
今日は、安曇野市内の学校対抗で水泳大会が開催されることになっているはずだ、いや、本当だ。先日、広高に買ってもらったスクール水着をパンツ代わりに着て登校する。昨日と変わらぬ天気で、昨日と変わらぬ通学路を歩いているだけなのに気分が悪くなってくる。動悸もしそうなほど体育は嫌いだ。せめて、算数大会とかクイズ大会とかであれば自信を持てるのに、これでは喪失の一途だ。
同じクラスに、一久という、一休さんとあだ名のある男子がいるが、彼ほど運動神経の良いというものはいない。ただ、漢字五十問テストで三十点だったらしく、笑いの種になっていた。女子の間でも噂になっていたらしく、次期級長に選ばれるのではないかと言われるほどだ。女子では一番水泳のうまいという真凜とも並ぶほどの実力を発揮できるらしく、どちらが後期で学級を牽引するのか期待されているらしい。
僕は、そのような話を来賓挨拶や競技説明の途中に話しかけられていた。信州の方言だけど、それでも標準語に近い方だからまだ理解出来るのだ。
「いやー、体育だけは、どうしても苦手なんだよね。だから、級長や副級長には推薦されにくいだろうね。まあ転校生だからってのもあるけど。」
そう苦笑しながら返事して、いよいよ自分の番が回ってくる。なぜかこの大会では、男子左レーン、女子左レーン、男子右レーン、女子右レーン、というように四人一気に、徒競走のごとく行うのである。そのうち二人に、一久と真凜がいるため、比較対象になることは自明である。
競技の内容はクロール五十メートルであり、これは夏休みに任意参加の講習会でやってるらしいが、しかし、ほぼ全員が参加したそうだ。参加していなくとも、僕にとっては遥かに遼遠な距離と思える。月までは三十八万キロというが、それぐらいにも見える。
大勢ー勿論僕も含むーが予想していたことだが、真凜や一久はおろか、一番右のレーンにいた女子にも大敗する結果に終わった。なぜ五メートルあたりで立つことなく泳げるのかとあとで聞いてみることにした。
その前にホームルームの時間だ。内容は、この大会の総評であり、優秀賞が真凜と一久に渡ったのだが、僕は、あとで放送室に来るように言われたのであった。




