第六話「密着」
昨日の夜。愛の手料理カレーをごちそうになった後明音からメールが来た。
『明日9時に駅の改札口に来てね』っと一行だけだった。
現在8時半を回ったころ改札口にて明音の到着待つ。まだ、9月。外は、暑い。服装は、半袖ポロシャツ1枚にジーパン。帽子を被りショルダーバックを肩から掛けるスタイル。少しでも涼みたくタイル張りの壁に寄り掛かる。
「駅に待ち合わせってことは、電車に乗って行く感じか?」
向かいの窓から景色見ながら呟く。すると。
「お待たせ!早いね」
左から明音の声が聞こえ横を向く。
「お、おう。遅れたくないからな」
明音の服装は、白いワンピースにスニーカー。ちょっと大きめベージュの鞄。黒髪をポニーテール。左耳だけピアス。しばし、明音の服装を見つめていると。
「な、何?そんなに見つめて。もしかしてこの格好どこか変だった」
自分の服装クルクル回って見る明音。
「あ、いや。その、可愛く似合ってる」
ちょっと照れて目線を逸らす。そんな事を言われて顔が赤くなり顔から湯気が出そうになった。
「あ、ああ、ありがとう」
顔を上げれなく下を向いてしまった。二人とも恥ずかしくなった。
「えっと、じゃ行こうか」
「あ、う、うん」
改札口を通り上りの2番ホームへ向かう。階段を降りてホームの前の方へ。電車が来るまであと10分。土曜日だからかホームは、かなりの人がいた。
「明音ってピアス付けるんだな」
「結構前から穴開いてたんだよ気が付かなかった?」
「ああ、今付けてるのってトランプのダイヤ?」
「そう、一目惚れして買ったんだ」
「似合ってるじゃん」
「ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ」
言われて嬉しかったのかニコニコしながら剣を見る。うぅっと目線を上に。
そんな、やり取りをしてると右から電車がやって来た。ドアが開き乗り込む。乗り込む前は、電車の中はあまり人がいなかったが、乗り込み始めたら中の隙間がギリギリあるぐらいの窮屈。剣の胸に明音がくっ付く。
「大丈夫か?嫌かもかもしれないけどそうしてろ」
「うん」
明音は、剣の顔を見づにくっ付いた状態で答えた。
ヤバいよぉ、くっ付いてるよ。剣の心臓の鼓動が伝わってくるよぉ。でも、凄く落ち着くなぁ……って何考えてるの!落ち着け、落ち着くのよ私。
再び顔が熱くなり始める明音。その時、カーブに差し掛かり反動で後ろにバランスを崩し掛けたが。
「大丈夫か?」
剣は、素早く明音の腰に手を回し引き付けて抱きしめる。剣の行動に驚く。
「あ、ありがとう。……そうしてて、私も掴まる」
言って抱き着く。そのまま、顔を剣の胸に埋める。とっさの行動だったから今自分が明音を抱きしめてることに気が付き、手を放そうとしたが。
「ダメ?」
少し強めに掴んできた明音。どうしようか考えた末。
「分かった。降りるまでいいぞ」
「うん。ありがとうね剣」
明音の腰に手を回す。目的地の駅に到着するまでの約30分間、お互い抱きしめた状態が続いた。




