第四十八話「意識不明」
10分後。剣を乗せた救急車は、七塚総合病院に到着した。医師が二人、看護師が三人待っていた。剣は、ストレッチャーに乗せられ病院内に運ばれる。明音も同行する。救急士は、運びながら今の剣の状態を医師に伝える。二人の医師、男女の胸元に七塚と名前が書いてある。剣は、そのまま手術室へ。
「剣!剣」
明音は、その手術室の入り口で止められた。
「私たち任せて」
女の医師が明音そう言って手術室へ。すぐに手術中ランプが入り口の上に点けられた。
剣が手術室に運ばれてから20分後。愛と私服の麗子がやって来た。
「野々村さん」
ベンチに座っていた明音は、愛と麗子の顔見るなり麗子に抱き着いた。
「剣が……剣が」
「話は、七塚様から聞きました」
麗子は、明音の頭を優しく撫でる。
「剣君なら大丈夫ですよ。だって手術してるのは、私の両親ですから」
「七塚さんの?」
「そうです。この病院は、私の両親が働いてる病院。手術だってきっと上手くいきますわ」
それから時間が過ぎていく。一時間、また一時間と一向に手術中のランプは、消えない。時々入り口が開いては、慌しく看護師がいききする。さすがの愛にも不安な気持ちが積みあがる。明音は、時間が過ぎていくにつれて魂が受けたかのように虚ろな状態。麗子は、ベンチに座る二人を見ながら向かいの壁にもたれる。
「お二人ともここは、私に任せて今日は、帰宅してください」
時刻は、11時を迎えた。剣が運ばれてから5時間半が経過しようとしていた。
「特に野々村様は……」
愛の隣に座る明音は、床を一点だけ見て動かない。
「それじゃ、この近くにあるビジネスホテルに私と泊めましょう」
愛は、明音を支えながらベンチから立ち上がり、明音を連れてその場を後にした。一人になった麗子は、手術室を見て。
「剣様……貴方を待っている人がいます。だから、帰って来てください」
時計の針が12時回る。
「……剣君」
明音をホテルに残してきた愛は、再び病院に戻ってきた。手術室がある通路を曲がろうとした時、愛の目の前に飛び込んできたのは、ベンチで泣いている麗子だった。愛は、足を止めて通路に隠れる。
その直後。バッと手術中のランプが消えた。入り口が開いて二人の医師が現れた。麗子は、泣くのをやめて医師に近づく。愛も飛び出して麗子の隣に並んだ。
「お父様!お母様!」
「愛。いたのか」
「剣君は?どうなの?」
険しい顔をする愛の父。
「あなたは、彼の身内の方ですか?」
麗子は、コクリっと頷く。
「では、詳しい話をするので場所を変えましょう」
「いえ、ここでいいです。娘様にも聞かせてあげてください」
チラッと愛の方を見た後愛の父は、麗子に話した。
「手術は、成功です。彼の頭以外は、打撲程度なんですが……頭蓋骨に大きなヒビが入ってます。出血が酷く難しい手術でした。もし脳に大きなダメージが加わっていた場合、体に麻痺など何らかの後遺症が出てくるかもしれません」
麗子は、両手で強く拳を作る。愛は、ショックだったのか膝から崩れ落ちそれを愛の母が寄り添う。
「そして……彼の意識は、まだ戻っていません」
「い、いつ戻りますか?」
「分かりません。数日かもしれませんし数週間……もしくは、数年の可能性かもしれません」
さすがの麗子もショックを隠し切れず目から再び涙が溢れ出した。
「け、剣様……」




