第四十七話「逝かないで」
看板の隙間から剣の左手が力なく出ている。明音は、膝から崩れ地面に着く。
「ねぇ……剣?」
明音は、震える声で剣に問いかけるが何も反応がない。
「誰か看板を一緒にどかして下さい!お願いします!」
愛は、周りにいる男性たち大声で声をかける。それを応えるかのように一人また一人と、大人の男性が集まって来て十人以上で看板を掴んで、全員で力を入れるタイミングを合わせて看板を持ち上げる。看板がどかせれ下敷きになっていた剣が姿を現した。
「剣……剣?」
剣は、頭から血流していた。明音は、両目から大粒の涙を流しながら剣に近づいて触れようとした。
「駄目!動かしちゃ!」
愛が明音の手を掴んで止めた。
「放して!剣が!剣が……」
「気持ちは、私も一緒!だけど、今は、動かしちゃダメ!落ち着いて」
愛は、携帯を取り出して何処かに電話する。
「もしもし!お父様!実は……」
愛が電話をしている感明音は、泣きながらじっと剣の隣から離れなかった。
「お願いしますわ!……えっとえっと!もしもし救急車お願いします!場所は……」
愛が電話をしてから3分後。救急車がやって来た。救急士が速やかに剣を救急車に運び入れる。その時に愛は、救急士に。
「すいません!七塚総合病院行って下さい!話は、私から済ませてありますので!」
「あ、ハイ。分かりました」
「ちょっと待って下さい」
愛は、動かなくなってしまった明音の元へ。
「野々村さん!」
「……」
反応がない。愛は、歯に力を入れて思いっきり明音の左頬を叩いた。
「しっかりしてください!剣君と一緒に救急車に乗ってください!」
愛は、明音の腕を掴んで強引に立たせて救急車に乗せた。
「後から私も行きますので!」
扉が締められて病院に向かった。愛は、いつの間にか剣の携帯持っていた。それで操作して。
「もしもし!麗子さん大変です。剣君が事故に遭いました」
愛に七塚総合病院行くように言われた救急車は、混みあっている道路を縫うようにして走る。横になって酸素マスク装着された剣の横で明音は、目の周りを赤くしている。心電図が弱弱しく音を鳴らす。
「剣……逝かないよね?明日一緒に出掛けるんでしょ?」
剣の右手を両手で掴む。
「お願いだから……お願いだから何処にも行かないで……まだ、伝えたい事言ってないんだから……」
また、泣き崩れる明音。それを近くで見ていた救急士が運転手に。
「もっと急いでくれ。絶対助けるんだ!」




