第四十話「文化祭Ⅴ」
「こちらへどうぞ」
客として来た愛を一人用のテーブルに誘導させて、椅子をを軽く引いて座らせた。
「こちらがメニューになります」
愛にメニューを渡し何にするか選んで。
「レモンティーをお願いしますわ」
「かしこまりました」
軽くお辞儀をして注文されたレモンティーを黒板の隅で作る。そのスペースは、準備スペースで、周りから見えないように壁を作ってある。愛のほかに来たのは、4組。まだ少ない。これなら急がずに出来る。コップにレモンティーを注ぎレモンを薄く切ってコップのふちに立てストローを添える。
「お待たせしました」
テーブルにレモンティーを置いた。
「これって剣君が注いでくれたのですか?」
「そうです」
「ありがとうございます」
ストローでレモンティーを美味しそうに飲んむ。
「すいません」
振り返ると2人組が剣を呼んでいた。
「なんでしょうか?」
近づくと。
「キャー!カッコいいんだけど」
「写真とか一緒に撮ってくれないですか?」
「いいですよ」
スマホを取り出して一方の女性に渡して、席を立って剣と並ぶ。
「はい、チーズ」
「ありがとうございます」
「今度私!」
撮る人を交代してもう一枚撮り。
「あのあの。私たちの事お嬢様って呼んで会話してもらっていいですか?」
少し悩んでから周りを見る。他のお客達、愛の視線と担当の仲間たちのピースサインを見て決断して、一つ息を吐いてスイッチを入れる。
「お嬢様方お席にお座りください」
「「キャッ」」
ってハモル女性達。席に座って剣の顔見る。
「今日は、これからどちらへ向かうのですか?」
ワザと声を少し低くして喋る。
「えっとえっと。まだ決めたいんだけどどこかおススメとかない?」
「そうですね……10時から体育館で始まる教師の生ライブなどいかがでしょう」
「あ、それ面白そう」
「行ってみようか」
「これからの時間お嬢様方が楽しく過ごす事を心から願っています」
その言葉を聞いてポッと顔が赤くなる女性。
「も、もういいですよ。これ以上聞くと照れますぅ」
剣は、力を抜いて元に戻って女性達にお辞儀をして準備スペースに隠れた。
「あぁ~疲れた」
「お前よくあんなこと出来たな」
「まぁ、客が少なかったからなぁ」
ペットボトルの水が飲む。
「オイ!ヤバいぞ」
「どうした?」
「七塚さんがめっちゃ見てるんだけど」
壁越しにそーっと見ると愛が鋭い眼光でこっちを見ていた。
「あれ絶対お前呼んでるな」
「なんで俺?」
「いいから行けって」
仲間に背中を押され出されると、愛が剣に手招きをしている。ゆっくり近づく。
「な、何?七塚さん?」
「ズルいのです」
「もしかして今の?」
「そうです」
何も言えずに黙ってしまう。飲み終わったコップを見続ける愛。
「剣君は、今日何時まで担当なんですか?」
「え、えっと12時前には、終わると思うけど」
「それじゃそのあと私と行動しませんか?」
「……い、いいけど」
「本当ですか?」
それまでの表情が嘘みたいにパーッと晴れて、剣の顔を上目遣いで見て聞いてきた。
「う、うん」
「じゃ、12時位になったら迎えに来ますね」
席を立って剣に飲み物代を払ってビューンっと行ってしまった。呆然と立ち尽くす剣に、担当の男子が剣の横に立ち腕組みをして。
「剣お前って凄く大変な思いしてるんだな……」




