第三十八話「文化祭Ⅲ」
机を4個くっ付けた席に座る。あらかじめ置いてあったメニューを開く。
「何にする?俺が奢るよ」
「え、いいんですか!?」
「いいよ。好きなの選んで」
「う~んと。どうしようかな……先輩私の事は、海って呼んでいいですからね」
「分かった。海ちゃん」
メニューを凝視して何にするか考える。その間剣は、他のお客に接客する明音を無意識に見ていた。剣の隣に座っていた麗子は、剣と明音を交互に見る。
「剣様」
麗子に呼ばれたのに気がつく。
「え、え、な、何麗子さん」
「野々村様見とれていましたよ」
「そ、そう。気のせいじゃない?」
麗子は、明音のメイド服を見て。
「剣様。野々村様が着ている服は、もしかして」
「うん。そうだよ。麗子さんに特別に作ってもらったのだよ」
「野々村様にとてもお似合いですね。一人だけ凄く輝いていますね」
もう一度、明音に目線を移して。
「そうだな。よく似合ってるし楽しそうだ」
「あの……」
メニュー越しに海が剣に何か言いたそうだった。
「あ、ごめんね。決まった?」
頭を小さく縦にコクンっとした。剣は、手を上げて明音を呼んだ。明音は、恥ずかしそうに剣たちの元へ。
「私、メロンソーダとアップルパイ!」
「俺コーラね。麗子さんは?」
「ミルクティーで」
三人の注文を手元の紙にメモして。
「か、かしこまりました。しょ、少々お待ちください」
ペコッと頭を下げてその場から一旦離れる。
10分後。
「わー美味しそう」
自分の前に出された焼きたてのアップルパイに目を輝かせる海。
「先輩。このアップルパイとか料理とかは、どうやって使ってるんですか?」
「えっとね。料理が得意な女子たちが調理室で、作ったのを持ってきてるんだよ。ウチのクラス料理好きな女子が多いから」
「それでも凄いですよ。普通は、作るの大変だと思いますよ」
「文化祭に張り切ってるからね」
隣で冷静にミルクティーを飲む麗子。
「聞きたいことあるんですけど」
「ん?何?」
「先輩とえっと……麗子さんは、どいう関係なんですか?」
麗子との関係をいきなり聞かれて軽くむせた。
「そうだね~信頼できる関係?ってやつ」
「ん~何やらとても深い関係と見ました」
「私は、剣様の身のお世話しています」
「おぉ。いいですね。そいうの」
何故か目がキラキラしている海。苦笑いするしか出来なかった剣。
「海ちゃんは、これからどうするの?」
「今日は、寄りたいところはすべて回ったので帰ります」
「そうなんだ、じゃ麗子さん帰り送ってあげて」
「分かりました」
「いいですよ。麗子さんもっと文化祭楽しんだ方がいいですよ」
「私は、十分楽しみましたから」
「でもでも……」
「送ってもらいな。バイクだからすぐに着くと思うよ」
申し訳なさそうに麗子の顔を見ると柔らかく笑う麗子。
「じゃぁお願いしますぅ」
「じゃあ麗子さんお願い俺は、もう少し回るから」
「分かりました」
席を立つ三人。剣が明音にお金を払い剣と麗子が教室を先に出る。明音の肩を軽く叩いて耳元で。
「先輩。お姉ちゃんに見とれてたよ」
クスッと笑って教室を出た海。そのあと明音は、ずっと頭から剣が離れず顔が真っ赤でフラフラだった。




