第三十七話「文化祭Ⅱ」
校庭から校舎に入る。教室のあちこちで色んな出し物が並んでいて、お客を呼び込んでいる。一階から剣の教室がある二階に階段を上り、廊下を歩いていると。
「す、すいません」
左肩を叩かれて振り返るとこの前剣が助けた女の子だった。
「やっぱり先輩だ」
「君は、この前の」
女の子に驚く剣。
「この前は、本当にありがとございました」
「どうしてここに?」
「先輩と別れる時に隣にいる人に先輩は、学生ですか?って聞いたら隣町の高校って言ってたので、もしかしたらここかなって思って」
「へぇ~それだけで来たの?」
「いえ、私のお姉ちゃんもここに通ってて」
「そうなんだ。これから行くの?」
「はい。二年B組なんです」
「え、俺と同じじゃん」
軽く笑う剣。
「そういえば、君の名前聞いてなかったね」
「そうですねすいません。私の名前は、野々村 海です」
名前を聞いて笑いが止まり驚く。
「野々村って……明音の妹なの?」
「そうですよ」
再び笑う今度は、大きく。
「なんで、笑うんですか?」
ほっぺを膨らませる。
「いや、君のお姉ちゃんとは、友達でね。まさか、妹がいるとは知らなかったから」
「お姉ちゃんと友達なんですか先輩」
「そうだよ。俺たちも今から行くところだから一緒に行こうか」
「ご一緒します」
教室に到着すると長い列が出来ていた。女性人気、繁盛している。
「あれ、先輩は、クラスの当番とかしないんですか?」
「今日は、なくて明日なんだ」
「そうなんですか……先輩の執事姿見たかったな」
「クラスがどんな出し物か知ってるね」
「もちろんですよ。お姉ちゃんから聞いてますから。お姉ちゃん家でメイド服着られるってすごく喜んでたんですよ」
徐々に三人の番が近づいてきた。教室の中からクラスメートの声と明音の声が忙しそうに聞こえる。それから20分後列の一番前になり。
「お次のお客様……」
教室から出来たのは、メイド服を完璧に着こなしてる明音だった。
「お姉ちゃん可愛いぃ!」
「よっ!」
「こんにちは野々村様」
明音は、言葉を出そうとするが中々出てこず、口が開いたり閉じたりする。やっと出てきた言葉が。
「な、な、な、何してるの?」
「何って客として来たんだけど」
「お姉ちゃんメイド服に合ってるよぉ」
「なんで剣は、妹と来てるの?」
「知り合いだから?」
「命の恩人だから」
それ以上言葉が出なくなり教室に三人を通そうとした時。
「なぁ明音」
剣に呼ばれて振り返る。
「……メイド服すげぇ似合ってるぞ」
恥ずかしそうに明音言う剣。それを聞いて前を向いた明音の顔は、真っ赤だった。
……そんな事ここで言わないでよ。恥ずかしいじゃない。……嬉しいけど。




