第三十一話「それは、突然に」
「ただいま。麗子さんは、いないか」
帰宅して冷蔵庫の中を開けて飲み物を取り出す。フタを開けて飲む。
「麗子さん上にいるのかな?」
制服のままで手に飲み物を持ち、家を出てて階段を上がり麗子の家の前へ。インターホンを鳴らし中から麗子の声が聞こえた。
「剣様!お帰りなさいませ」
出てきた麗子の服装は、メイド服だった。
「ただいま麗子さん。もしかして文化祭の服作ってた?」
「はい。剣様。腕の痛みは、どうですか?」
「ん?まだ痛いけど大丈夫みたい」
「あまり無理はしないでくださいね」
「分かってるよ。文化祭の服は、どのくらい進んでるの?」
「はい。メイド服は、先ほど全て終わりました。今は、執事服の方をやっています」
「えぇ!早っ!」
あまりの速さに驚いた。
「これくらいなんてことありません。執事服は、メイド服より少ないのでこちらも数日には、できると思います」
「そんなに早く作らなくてもいいんじゃない?まだ、文化祭まで時間あるし」
「早く終わらせたいので」
「実は、嫌々でやってたりする?もしそれなら……」
なんだか申し訳なくなる剣。
「いえ、そんなことありません!裁縫は、好きですし、何より剣様に仕事を任されたことが嬉しいのです!嫌々でやってたりは、決してありません」
嫌々でやっているようではないと麗子の言葉を聞いて安心する。
「ごめんな手伝うって言ったのに……腕を怪我しなければ一緒にできるんだけど」
右腕を動かすと痛みが走る。
「動かさないでください!……その言葉だけで充分嬉しいですから」
右腕を優しく掴んで止める。
「……私がもう少し早くあの場に到着していれば」
言葉を続けようとする麗子の頭を軽くチョップした。頭を摩る麗子。
「この怪我は、俺が油断したからで麗子さんのせいじゃないよ」
「……ですが」
麗子の唇を人差し指で抑える。
「この話は、終わりいいな?」
「……はい」
まだ、言いたそうな麗子だった。
「それじゃ、俺は戻るから」
「あ、はい。私ももう少したら行きますので」
家に戻り私服に着替えて飲み物を飲んでいる時だった。
「……ん?あれ、なんだか視界が……」
ピンポーン。剣の家のインターホン鳴らす麗子。しかし、剣が出て来ない。ドアを何度かノックする。
「剣様。麗子です。剣様」
が、剣が出て来ない。ドアノブを掴んで捻り引くと開いた。
「剣様?」
中に入ってみるとテレビの前で剣がうつ伏せで倒れていた。すぐに剣に駆け寄り体を仰向けにして、自分の膝上に剣の頭を乗せた。
「剣様!しっかりしてください!」




