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三国志・譙周伝ー陳寿の師と呼ばれた漢ー  作者: 涼風隼人


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12/21

第12回 改革前夜

 太学の設備が増改築される発表を受け、現在在学中の学生は活気づいた。何といっても、新たに兵学、法学、政治学(以下、総称して「実学」とする)と言った実践的な学問の教授も行われるということに、興奮を隠さなかった。

 しかし、実学を学ぶためには、儒学を完全に習得したといえる水準の知識が必要であり、全員がその教授の機会をもらえないといった話も伝えられ、他者に後れを取るまいと、今まで以上に真剣に学問に向き合う者が増えてきた。

 尹黙が言う。

「太学改革の効果が既に発揮をされてきたという感じですね。これは、我々も気合を入れて取り組む必要がありますね」

「そうですな。資料室の資料も、実学関係の蔵書を早めに増やしておく必要がありますな。多くの者が、利用をしたがるでしょうから」

「学ぶことに集中できる環境を作ってあげられればと私は思います。学問には情熱とそれに見合った環境が必要だと思いますので」

「確かに。さすがは譙周殿。学生たちと歳が一番近いのはあなただ。これからも、積極的に意見を言ってください」

「はい。ところで、肝心の教授する師は決まったのでしょうか?」

「そのことで、話があると杜瓊殿に呼ばれています。今から、皆で参りましょう」

 尹黙を先頭に、三人は杜瓊の居室へと向かった。

 迎え入れられ座ると、早速杜瓊が言う。

「実学の師となってもらうべき人が決まったので、皆に報告する」

 杜瓊は続ける。

「法学・政治学が楊儀殿、兵学が馬謖殿。丞相の推薦で、このお二方にやって頂くことになった」

「なるほど。適任でございますな」

「丞相が、我々の改革案を本当に推進するお気持ちが入った人選である。全くもって、非の打ち所がない」

 張裔も深く頷いた。譙周が聞く。

「私はお二方をよく存じ上げませんが、どの様な方なのでしょうか」

「まず、楊儀殿は実務派の官僚で、その法学、政治学の学識は相当なものだ。馬謖殿は、近々将軍に抜擢されるという噂もある。それくらい、兵学に詳しい方だ」

「それならば、太学での実学の講義は非常に内容の濃いものになりそうですね」

「うむ。私も丞相のこのご提案を聞いて、すぐに賛成をさせていただいた。この太学はこれから変わるぞ」

 四人は、これからの太学の明るい未来を想像した。

 そして、半年が経過した。

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