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★毎日7時、21時に更新★王女エレノーラは婚約者の正体に気づかない ~悪役令嬢のはずが聖女になってしまいました〜  作者: ゆきまる


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魔法塔へ行こう

婚約者が決まってから数日後。

私は自室のソファでごろりと寝転がりながら考え事をしていた。


婚約者。

カナルド帝国第一王子。

アルベール・ヴァン・カナルド。


原作では私が一目惚れする相手。

絶対にありえない。


「暇ね」


ぽつりと呟く。


すると向かいで本を読んでいたフォレストが顔を上げた。


「王女が暇とか言うな」

「事実だもの」

「勉強は?」

「終わったわ」

「礼儀作法は?」

「昨日やった」

「刺繍は?」

「嫌い」

「知ってる」


私は寝返りを打ってフォレストを見つめる。


「というか、あなたもずっとここにいるじゃない」

「は?」

「暇なの?」


フォレストが本を閉じた。


「お前な」

「何よ」

「俺はお前と違って真面目なんだよ」


失礼な。


抗議しようとしたがフォレストは続ける。


「早朝は剣の訓練」

「ふむ」

「夜も訓練」

「へぇ」

「その後は親父にしごかれる」

「大変そうね」

「他人事みたいに言うな」


フォレストは深いため息を吐いた。


「昼間だけだ」

「昼間?」

「お前の監視役」


私は目を丸くした。


「監視?」

「そうだ」

「誰を?」

「お前を」

「失礼ね」

「どの口が言う」


「まぁでもきっと護衛も兼ねているのよね?部屋の外にも騎士たちはいるみたいだけど。ありがとうフォレスト。」

「いきなりどうした?」

「なんとなく。」


私は天井を見上げた。


この世界へ転生して五年。


婚約者も決まった。

悪役令嬢らしい未来も知った。


「ねぇ」

「なんだ」

「そういえば」


私は勢いよく起き上がった。


「この世界って魔法があるのよね?」


よく考えると婚約者であるアルベールの国カナルド帝国は大陸一魔導士が多く魔法で栄えている国だ。

ティアーナ王国にも数人くらい魔導士がいてもおかしくないだろう。


部屋に魔道具はあるのだ。前世でいう家電として普通に使っているので深く考えてこなかった。もっと早く気づくべきだった。勿体無い。


私の質問にフォレストは嫌な顔をした。

とても嫌な顔だった。


「あるな」

「私、一度も見たことないわ」

「そうだな」

「なんで?」

「……」


フォレストが目を逸らした。

怪しい。

非常に怪しい。


「フォレスト?」

「知らん」

「知ってる顔ね」

「知らん」

「知ってるわね」

「知らん」


私は確信した。

何かある。

絶対にある。


その日の午後。

私はお父様の執務室へ突撃した。


「お父様!」

「エレノーラ!?」


突然の来訪にお父様が椅子から飛び上がる。

最近は慣れたと思っていたのだけれど、まだ慣れないらしい。


「どうした?」

「質問です」

「うむ」


私は真剣な顔で尋ねた。


「魔法塔はどこですか?」


沈黙。

お父様が固まった。

隣にいたお母様も固まった。

なぜかお兄様まで固まった。

全員の視線がフォレストへ向く。


フォレストは無表情で天井を見ていた。


裏切り者。


「フォレスト」

「俺じゃありません」

「まだ何も言ってないわ」

「違います」


怪しい。

非常に怪しい。


数分後。


私は応接用のソファに座らされていた。

なぜか家族会議が始まっている。


「エレノーラ」


お父様が重々しく口を開く。


「何でしょう」

「なぜ魔法塔を知った」

「魔法がある世界なのに魔法使いを見たことがないからです」

「なるほど」

「それで?」


お父様は額を押さえた。

お母様がため息を吐く。

お兄様は頭を抱えた。


失礼である。


「お父様?」

「実はな」

「はい」

「魔法塔の存在は意図的に教えていなかった」

「なぜですか?」


すると家族全員が即答した。


「絶対に行くからだ」

「絶対に住み着くからよ」

「絶対に問題を起こすからだ」


私は瞬きをした。

失礼である。


本当に失礼である。


「そんなことしません」

「する」

「するわね」

「するな」

「する」


全員一致だった。

なんなら最後はフォレストまでのってきた。


解せない。



結局。

翌日。


私は魔法塔へ向かう許可をもらった。


勝った。完全勝利である。


私は目の前にある巨大な石造りの塔を見上げ、思わず息を呑んだ。


「すごい……」


目の前にそびえる塔は、王城より細いのに遥かに高かった。白い石で造られた巨大な塔は空を貫くように伸びている。

見上げても頂上が見えない。


塔の外壁には青白い光を放つ魔法陣が幾重にも刻まれ、まるで生き物のようにゆっくりと明滅していた。


時折、窓の外を光の粒が流れていく。

まるで星が昼間に飛んでいるようだった。


「綺麗……」


前世の私はファンタジー作品が好きだった。


魔法使い。

魔法学校。

魔法塔。


ゲームや漫画の中で何度も見た憧れの世界。

その全てが今、目の前にある。


「これが魔法塔……!」


「帰ろう」


フォレストが言った。


「嫌よ」

「まだ入ってないぞ」

「だからよ」


私は塔を見上げながら拳を握る。

前世では魔法なんて存在しなかった。

だけど今は違う。

魔法がある。魔法使いがいる。


そしてー

「天才魔術師がいるらしいわね!」


フォレストの眉がぴくりと動いた。


「誰から聞いた」

「侍女たちが噂していたわ」


最近、若い天才魔術師が現れたらしい。


黒髪。

引きこもり。

変人。


最高ではないか。

会ってみたい。

非常に会ってみたい。


私は意気揚々と塔の入口へ向かう。

その後ろを、フォレストが重たい足取りでついてきた。


「やっぱり帰ろう」

「嫌よ」

「まだ間に合う」

「何が?」


フォレストは深いため息を吐いた。

そして小さく呟く。


「魔法塔の平和が」


?すでに魔法のこと頭がいっぱいの私にはフォレストの言葉はあまりよく聞こえなかった。


いつもお読みいただき、ありがとうございます!

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どうぞよろしくお願いいたします!(´∀`*)

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