表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーム開始前に全部終わらせてしまいました ~悪役令嬢のはずが聖女になった王女の物語~  作者: ゆきまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/59

収納ポーチ大作戦①


「第一部隊、転移準備!」


広場に騎士の声が響き渡る。


巨大な転移魔法陣が淡く光を帯び始め、上位騎士たちが次々と隊列を整えていく。


「上位騎士より順次転移を開始!」


「補給部隊は第一部隊の転移完了後、出発準備に入れ!」


補給部隊。


私はその言葉に反応し、荷馬車へ視線を向けた。


食料。


薬品。


包帯。


予備の武器。


数台の荷馬車には、大量の物資が積み込まれている。


そして、その荷物はすべて厚い黒い布で覆われ、中が見えないようになっていた。


「……。」


私は荷台をじっと見つめる。


黒い布。


大量の荷物。


そして――補給部隊。


「あ。」


頭の中で、何かが繋がった。


「どうした。」


フォレストが不思議そうに私を見る。


「……収納ポーチ?」


「アッシュが作ってくれた魔道具よ。」


フォレストは少し考えた後、思い出したように頷いた。


「あぁ、あれか。」


見た目は、ごく普通の肩掛けバッグ。


けれど、その中には時空間魔法が組み込まれていて、見た目からは想像もできないほど大量の荷物を収納できる。


私は前世のアニメで見たなんでも好きな時に取り出せるポーチのような物が欲しくて、アッシュへ「見た目より何倍も荷物が入る鞄が欲しい」とお願いした。


最初は呆れられたものの、何か月も研究を重ね、本当に完成させてしまったのだ。


さらに側面の切り替え魔道具を操作すれば、通常保存だけでなく冷蔵保存、冷凍保存までできる。


完成したばかりの試作品。


まだ販売もされていなければ軍への導入もされていない。


今、この王国で持っているのは私一人だけだった。


「……それがどうした。」


フォレストが尋ねる。


私は荷馬車を指差した。


「荷台の荷物。」


「収納ポーチへ移せる。」


「……は?」


「全部じゃないわ。」


私は黒い布で覆われた荷台を見つめながら続ける。


「私たち二人が隠れられるくらいの荷物を収納ポーチへ入れるの。」


「そうすれば荷台に空間ができるでしょう?」


「そこへ私たちが乗り込む。」


「最後に荷物を整えて黒い布を掛け直せば、外からは分からないわ。」


フォレストは荷馬車と私を交互に見つめる。


しばらく考え込んだ後、小さく呟いた。


「……理屈としては可能だ。」


「でしょう?」


「でも問題がある。」


「何?」


「収納ポーチ。」


「あ。」


思わず固まる。


今日は魔法塔へ行く予定だった。


収納ポーチは必要ないと思って、自室へ置いたままだ。


「持ってきてないだろ。」


「……そうだった。」


「それに。」


フォレストは私の姿を見て眉をひそめる。


「そのドレスで荷馬車へ近付いたら、一瞬で見つかる。」


私は自分のロイヤルブルーの式典用ドレスを見下ろした。


確かに、この格好では目立ちすぎる。


「着替えも必要ね。」


「幻影魔法も使う。」


「うん。」


私は頷いた。


「移動する部隊に近くづく直前に人目につかないところでローブを羽織れば、補給部隊の関係者に見えるかもしれないわ。少なくとも、この格好よりは目立たない。」


フォレストは深くため息を吐く。


「そこまで考えてたのか。」


「今思いついたの。」


「だから余計に怖い。」


私はくすりと笑った。


そして、もう一度広場を見る。


第一部隊の騎士たちは、次々と転移魔法陣へ向かっている。


一方、補給部隊はまだ荷物の積み込みを続けていた。


「第一部隊が先に出発するなら。」


私は静かに呟く。


「まだ準備する時間はある。」


フォレストも広場へ目を向け、小さく頷く。


「ああ。」


「補給部隊が動き出す前なら間に合う。」


私はバッグのない肩を見て、小さく拳を握った。


「まずは部屋へ戻って、収納ポーチと必要な魔道具を取りに行くわ。」


「急ぐぞ。」


「ええ。」


私たちは周囲の視線を避けるようにその場を離れ、急いで王宮の中へ駆け出した。

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

ぜひブックマーク、いいね、評価をお願いいたします!

していただいたら作者のモチベーションが上がります!

どうぞよろしくお願いいたします!(´∀`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ