好きという言葉
今回は短めです(T . T)ただ、アルベールにとって重要な回なので楽しんでいただけると嬉しいです。
アルベールがどこか祈るような声色で続けた
「そのアッシュという人のことは好き?」
「好きよ」
即答だった。
するとアルベールの顔色が一気に悪くなった。
どうしたのだろう。
「それじゃあ」
「いつも君のそばにいる侍女は?」
そう尋ねる声は平静を装っていたが、アルベールはわずかに視線を逸らし指先をぎゅっと握りしめていた。
「マリーのこと?」
「たぶん」
「もちろん好きよ」
即答する。
マリーは大切な侍女であり友人だ。
好きに決まっている。
「それじゃあ護衛は?」
「フォレスト?」
「そう」
アルベールは私の返答を待つ間、無意識に息を止めているように見えた。
「好きよ」
これも即答だった。
フォレストは幼馴染だ。
家族同然と言ってもいい。
好きなのは当然である。
「お父様もお母様も好きだし、お兄様も好きよ」
私は首を傾げる。
「……私は何を聞かれているのかしら?」
アルベールはしばらく黙った後、
ほっとしたように息を吐いた。
肩から力が抜け、先ほどまでの硬さがわずかに和らぐ。
どうやら私の答えに納得したらしい。
――よかった。
そんな安堵が滲むような表情だった。
何故か安心したように見える。
本当に何だったのだろう。
そして
アルベールは少しだけ躊躇うように口を開いた。
「ちなみに」
「うん?」
「私はどうだろうか?」
「アルベール殿下?」
「うん」
変な質問だ。
だが聞かれたからには答える。
私は少し考えた。
「最初は苦手だったわ」
アルベールが固まった。
「苦手?」
「ええ」
私は頷く。
「だって笑顔が嘘っぽかったもの」
今度は完全に固まった。
何故だろう。
「いつも綺麗に笑っているのだけれど、何だか作っているように見えたの」
アルベールは何も言わない。
「でも」
私は続ける。
「たまに本当に楽しそうに笑うでしょう?」
「……」
「私はそっちの方が好き」
アルベールの赤い瞳が見開かれる。
「話し方も今の方が好き」
むしろその方が話しやすい。
「だから今は前より好ましく思っているわ」
そこまで言うと、
アルベールは何故か視線を逸らした。
耳が少し赤い。というか頬も赤い気がする。
体調でも悪いのだろうか。
「アルベール殿下?」
「……何でもない」
その声は少し掠れていた。
「あっそろそろ魔法塔に着きますわ」
私は前方を指差す。
王城の端に建つ巨大な塔が見えてきた。
アルベールは小さく息を吐く。
そして、誰にも聞こえないほど小さな声で呟いた。
「無自覚なのか」
アルベール!頑張れ!アルベールは、王子なので基本的に冷静なのですがエレノーラのことになるとすぐ不安になります。
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