表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
66/171

季節がめぐる中で 66

 汗が流れ、埃が顔を覆う。

「ほんなら、しまいにするぞ!」 

 そう言ってノックを止めてバットを置く明石。マウンドからよたよたと降りる誠にはほとんど余裕が無かった。夕焼けが空を明るく染め上げている。

「お疲れ様!」 

 そう言って誠の肩を叩くアイシャ。投げ込みを続けていたカウラと、ランニングをしているヨハンを追い回していた要の視線が誠に突き刺さる。

「シュペルター余所見とはええ了見じゃ!ワレはもう一周するか?」 

 明石のドラ声の届いた先で大きく首を横に振って倒れこむヨハン。気遣いではパーラと並ぶ西となぜか野球部にマネージャーとして参加しているレベッカが備品を集めて回っている。

「それじゃあシャワー……レディーファーストじゃな」 

 そう言うと誠と菰田を睨みつける明石。

「お先に失礼するわね」 

 アイシャはそのままハンガーへかけていく。

「やはり練習はええのう」 

 そう言いながらはげ頭を手ぬぐいで拭いている明石。気を利かせた西が彼にスポーツドリンクの入った水筒を渡す。

「ちょっと、明石さん」 

 そう言ってゲートの方から歩いてきたのは警備班のヤコブだった。いかにも自信が無さそうに明かしに声をかけたがその視線が投球練習を終えてハンガーの中のシャワー室に向かうカウラに向いていることは誠にも分かった。

 『ヒンヌー教』の三使徒と呼ばれるヤコブ。出来るだけ関わらないようにと少し誠は距離をとった。

「ゲート前に……その……」 

 いまひとつ煮え切らないヤコブに首をかしげながら立ち上がって近づいていく明石。その迫力にヤコブは恐れをなしたように引き下がる。

「はっきり言わんかい。どこぞのスカウトでも来たのか」 

 その言葉にびくりと反応するヤコブ。

「スコアラーじゃないんですがね……すいませんが来て貰えますか」 

 その言葉を聞いて明石は誠の方を見つめた。

「神前、面かせ」 

 それだけ言うとヤコブの後をついて行く明石。誠も仕方が無いと言うように真っ直ぐに二人の後に続く。正面車止めの前の生垣を抜けた時、フラッシュが一瞬焚かれた。だが、それはすぐに収まり、カメラを向けていた報道陣に失望の色が見えていた。

「えらい盛況やな。それで何か……」 

 そのままゲートの外に群がる報道陣に向かっていく明石。その迫力に怯む報道陣。

「あのー、保安隊野球部キャプテンの明石清海中佐ですよね」 

 一人の女性記者がゲートから身を乗り出してマイクを明石に向ける。彼女の言葉ではげ頭の大男の正体を知った報道陣は再びいっせいにフラッシュを焚く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ