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季節がめぐる中で 118

「甲一種か……燃える展開になりそうじゃねえか」 

 誠を振り返る要の視線に危なげな喜びのの色が混じる。誠は冷ややかに笑いながら周りを見渡した。

 そんな誠は明らかに動揺していた。

 保安隊のあらゆる武装と能力を制限無しに使用可能な甲一種出動態勢。以前の胡州のクーデターである『近藤事件』ですら下りなかった全武装使用を許される作戦行動。隊員達の視線は壇上の明石に集まった。

「おう!今のを見ての通りじゃ。ワレ等もそんだけの覚悟せいっつうこっちゃ」 

 そう言いながら隣に立つ吉田に目配せをする明石。再び画面に映像がでる。大型輸送機が映し出される。

「P23。東和軍北井基地の所属の機体じゃ。これに第二小隊……カウラ!」 

「はっ!」 

 明石に呼ばれたカウラが一歩歩み出る。

「お前んとこの三人がこいつで敵陣に斬りこんでもらう。輸送機のパイロットは……菰田!」 

「はい!」 

 管理部の先頭に立っていた菰田が一歩進む。

「お前さんはこいつの飛行時間が一番長いんじゃ。パイロットをやれ」 

「了解しました」 

 そう言ってカウラに微笑みかける菰田をカウラは完全に無視した。そんな中、思わず笑いを漏らすアイシャを明石の視線が捉えた。

「アイシャ。ワレが前線で仕切れ。そんぐらいの仕事はせえよ」 

「了解しました」 

 アイシャがすぐにまじめな顔で敬礼する。

「第一段階担当は以上じゃ!それでは各員、吉田から指示書のディスクを受け取って解散!」 

 そのまま演台から下りる明石。カウラ、菰田、アイシャがそれぞれ吉田からディスクを受け取っている。

「おい、タコ。あれだけ広がった戦線に3機のアサルト・モジュールでどうしろって言うんだよ」 

 要のその言葉で誠は我に返った。広大な領域に戦線を拡大させたイスラム武装勢力をたった三機の戦力でどうこうできるものではないことは誰にでも分かることだった。だが、そんな作戦を立案した明石には奇妙なほどに余裕が感じられた。そして彼はそのまま視線をランに向ける。

「わからねー奴だな。第一小隊じゃなくてオメー等にお鉢が回ってきた理由。考えてみろよ」 

 そう言うランにいたっては勝利を確信しているように見えた。

「確かに戦線は急激に拡大しているな。でもよー配備されている治安維持部隊も激しく抵抗して戦線は入り乱れて大混乱状態なんだぜ。そこで核だの気化爆弾だの敵味方関係なく皆殺しにするような兵器を使ってみろや。同盟崩壊だけじゃすまねー話になるだろ?そこで先日の秘密兵器だ」 

 不適な笑いを浮かべる一見少女のようなランの言葉に誠もようやく事態を飲み込んだ。

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