おんぶ
大きな揺れに上手く頭を守れず姿勢をくずした。
揺れに怯えていると前方から私の頭に向かって小石がいくつか飛んできた。
(当たったら絶対怪我だ)
頭でそう思っても体が震えて動かない。
もうダメだと思った瞬間、道が体を張って私と蜜柑の頭を守ってくれた。何度も何かがぶつかり痛そうだったけど、道の瞳はすごく輝いていた。
揺れが30秒経っても収まらない。収まるきざしもない。
5分は経っただろうか、やっと揺れが収まりゆっくり顔を上げると道が痛みに耐えながらうずくまっていた。
「道、大丈夫?」
心配して声をかけると、道が苦しそうな声こう言った。
「ま……、町が……、俺達の町が……。」
町がどうしたのかと気になり後ろを向くと、そこは荒地と化していた。
(え……、嘘だ……。)
一瞬、悪い夢かと思ったがどうやら夢ではないようだ。さっきの揺れでできたかすり傷が少し痛むから。
「海、何ボーっとしてるの?津波くるよ、にげなきゃ。」
蜜柑に呼びかけられて、ふと我にかえる。
逃げるため蜜柑と私が走り出したのだが、すぐに立ち止まった。道が走ろうとしていない。
「ごめん、俺背中怪我してすごく痛くて走れない。だから先に行ってくれ。」
実は、道はさっき私達を守っているときに握り拳ぐらいの大きさの石が背中に当たり、背骨にひびが入っていたのだ。
「嫌だ、私は生きて欲しい、道に。」
蜜柑が道の目をみてそう言った。そして続けてこう言った。
「一緒に生きたい、道と。だから、私が道を連れて行く。」
そして道のところまで行き、おんぶの構えをした。
「ほら道、早く乗って!」
「でも、恥ずかし……」
「命がかかってるときに恥ずかしさの心配はしなくていいの!ほら、さっさと乗った。」
私もおんぶの手伝いに行こうとしたら蜜柑がこう言った。
「海は先行っといて、星との約束があるでしょ。私達は大丈夫だから。」
そうだった。忘れていた。小学3年生のときにしたとても大事な、大切な約束を。
「ごめん、ありがとう、先行くね。」
私はそう言い残し、あるところに向かった。




