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未分類  作者: 藍原センシ
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「私は書きたい」

(初出 note、2024年3月29日)


 賞を獲る事に興味はないが、書くからには妥協をしたくはない。読者に媚びたようなものは書きたくないが、自己満足だけで終わらせたくもない。そのようなものが私の創作活動だ。

 理想を語る事は容易(たやす)いが、これはなかなか実践していくのが難しい事だ。自分の好みと現実が、どうも迎合し難い。私の創作スタイルが、現実の創作界隈とどうも折り合いをつけづらい。折衷案として、私は自分なりに創作に対して在るべきと考える姿を目指し、課題を課すつもりである。

 私は、約二年前まで得意げに書き散らしていた、「語彙で殴りつける」ような自分の詩を完全否定した。語彙は武器になるが、それをいたずらに羅列して評価されたところで、それは語彙力が評価されたのであって詩ではない。詩のように見えるというのなら、適宜改行を行いながら男女の別れでも綴り、それを全て雅語に置き換えるだけで構わないのだ。

 また、飾らない言葉で書くからといって、それが凡庸であっては意味がない。乱暴に言ってしまえば詩の短さで表現出来る物語などは限られており、それで事足りる程に余分なものを削ぎ落としてしまえば、大まかな物語の起承転結など既に出尽くしているといっていい。私は自ら投稿してきた作品を「恋愛」「友情」「風景」「日常」「怪談」「不明」に分類しているが、どれもその言葉だけで何通りかの物語は成立してしまう言語である。

 文学を電車での旅に喩えると、「あらすじのある作品」は途中下車の旅だ。大小の出来事が駅で、読み手はそれを観光するように楽しむ。文章そのものは乗り物で、移動の手段、場面を運ぶ為にある。一方で「あらすじのない作品」は、そのような電車は実在しないだろうが、停車しない。その代わり、電車の乗り心地や車窓を流れる風景を楽しむ。小説は多くの場合前者で、純文学と呼ばれる作品のうちごく一握りが後者に属するように思う。物語の筋の面白さで魅せるのであれば、適性は小説の方にあるだろう。

 私は、どちらかというと自分がストーリーテラーだと思っている。だからこそ、今まで自分が「詩」として書いてきた物語が、不完全な小説を見ているようで急に愛せなくなった。しかし、それを自らの詩作の限界として認識し、切り捨ててしまえば、少なくとも自分自身では本気で創作に向き合ってきたつもりの私が見つけ出した詩論が、詩から逃げる為の言い訳になってしまう。

 詩と小説の違いは、サッカーとバスケットボール程の乖離があるようだ、と私は思う。以前の私は小説が主流だったが、創作界隈に参入したきっかけは詩だった。小説を書いてきた事による物語の発想力が詩作の武器になっていた私だが、サッカーとバスケットボールの練習が全く異なるように、両者はもっと区別した磨かれ方をされねばならない。

 練習がどうの文学がどうのと述べ、あの書き方は駄目だ、この書き方も駄目だ、と考え続けてはいるが、実際のところ私は詩も小説も、書きたくて堪らないのだ。今までは徹底して趣味であり、もしも仕事になってしまったら嫌いになってしまうかもしれない、と考えていた文学活動が、最近になって突然、これを仕事に出来たらいいとすら思うようになっていた。

 畢竟私は、自分が「こうだ」と思う形の創作を、納得の行くまで突き詰めたいのだろう。壮大な自己満足のように受け取られるかもしれないが、私の思う文学の姿が誰にとってのそれにも迎合しないものだとは思えない(そうだとしたら、私がそもそも文学に向いていない事になるが、そのようなはずはない)。

 詩を一ヶ月近く休んだ上で、最近では詩論を立て続けに投稿しているが、詩も小説もどちらも書きたい。Xでは千人程のフォロワーが居るが、詩に反応をくれる人はその中のほんの二十分の一程度だし、連載小説に至っては通して読んでいるであろう人は一人か二人、五百分の一に過ぎない。けれど、それでも私は書いたものを誰かに見られる場所に送り出したいし、それを読んで欲しい。

 私にしては、いつになくまとまりのない文章になったような気がする。ネット上での創作活動をその場限りのものと考えている人であれば、このような長文は読まないだろうし、読んでもすぐに流してしまうだろう。だが、自分の作品に対して後から見返した時に改善点が見つかったり、自己流の哲学を発見したりした時、それが全くの的外れでことごとく裏目に出るような事でないのであれば、書きたいという気持ちのままにやってやれない事はないと思う。

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