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逃げ水グランター

原作と少々違うところもありますが、別の世界線(?)としてお楽しみください!

「……神様。」

暗闇に向かって呼びかける。

もう何度目か分からない。


『また来たか。』

声だけが響く。


「頼みがある。」


『言ってみろ。』


「このループを終わらせたい。」


---


少しの沈黙。


『本当に?』


「……」


『お前は何度も願ったはずだ。』


『もう一度会いたい、と。』


「……ああ。」


『ならば、なぜ今になって終わらせようとする?』


---


答えは決まっていた。


「疲れたんだ。」


「何度も守ろうとして。」


「何度も失って。」


「何度も……」

声が震える。


「何度も、あいつが死ぬところを見るのが。」


---


『そうか。』


『では、一つ教えてやろう。』


「?」


『このループを望んだのは、お前だけではない。』


---


「……え?」

聞き間違いかと思った。


「何を言ってるんだ?」


『あの子も願った。』


『もう一度、お前に会いたいと。』


---


「……嘘だ。」

即答だった。


「そんなわけない。」


「俺が勝手に願ったんだ。」


「俺があいつを忘れられなかっただけだ。」


---


『違う。』

神様の声が響く。


『お前が願うより前に。』


『あの子も願っていた。』


---


息が止まる。

頭の中に浮かぶ。

あの日。

最後に見た幼馴染の顔。

泣きながら謝る声。


「……あいつも?」


---


『そうだ。』


『ずっと一緒にいたい、と。』


『もう一度会いたい、と。』


---


「……」


言葉が出なかった。

ずっと。

自分だけだと思っていた。

自分だけが過去に縋って。

自分だけが、この世界に閉じ込められていると思っていた。


---


でも違った。

あいつも同じように。

俺を探していた。


---


「……なんだよ。」

小さく笑う。


「じゃあ……」


「俺だけが苦しんでたわけじゃなかったのか。」


---


『そうだ。』


『二人の願いが重なった結果だ。』


---


「……だったら。」

顔を上げる。


「終わらせなきゃ。」


---


『なぜ?』


---


「だって。」


「いつまでもここにいたら。」


「また、あいつは俺を待ち続ける。」


---


「俺は。」


「本当の未来で、あいつに会いたい!」


---


『ならば、最後の願いを聞こう。』


---


「知識をくれ。」


『知識?』


「次の俺に渡すためだ。」


「俺一人じゃ無理でも。」


「次の俺なら!」


---


『……面白い願いだ。』


---


『さあ。』


『運命の歯車よ。』


『道を変えよ。』


---


『ガコンッ』

……。

しかし。

いつもと違った。


『ギギギ……』

歯車が回らない。


「……?」


『ガコンッ』

もう一度。

今度は。


『バキンッ』

大きな音が響いた。

歯車の一部が砕ける。


「壊れた?」


『ああ。』

神様は答えた。


『もう必要ないからな。』


「必要ない?」


『この歯車は、同じ未来を繰り返すためのものだ。』


『だが、お前はもう同じ未来を望んでいない。』

お楽しみいただけたでしょうか?

正直、改稿版作るの大変でした…

なので次の話も、どうぞお楽しみください!

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