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蜃気楼チェンジ

原作と少々違うところもありますが、別の世界線(?)としてお楽しみください!

白い世界。

何もない。

音もない。

ただ、風だけが吹いていた。


「……行くのか。」

振り返る。

そこには、"知識の僕"が立っていた。

もう最初に会った時のような余裕はない。

体は少しずつ透け始めていた。


「これで終わり?」


「終わりじゃない。」

知識の僕は首を振る。


「ここからが始まりだ。」


「……分かんねぇよ。」


「分からなくていい。」

彼は笑う。


「君は、考えるためにいる。」


「僕は、思い出すためにいた。」


「もう役目は終わり。」

静かな沈黙。


「怖くないのか。」


「怖いよ。」

少し笑う。


「でも。」


「同じ夏を繰り返す方が、もっと怖い。」

主人公は目を閉じる。


幼馴染の笑顔。

怒った顔。

泣いた顔。

全部浮かぶ。


「……絶対助ける。」


「うん。」

知識の僕も笑った。


「その言葉を聞きたかった。」

彼の身体が光になる。


「最後に一つ。」


「何?」


「君は忘れる。」


「え?」


「全部じゃない。」


「でも、また少し忘れる。」


「だから。」


「泣きたくなったら泣けばいい。」


「理由が分からなくても。」


「その涙は、本物だから。」

光が風に溶けていく。


「じゃあ。」


「またね。」


その声だけが残った。

主人公は一歩踏み出す。

世界が白く砕ける。


『ガコンッ』


『ピピピピ』


目が覚める。

朝。


2003年7月1日。


聞き慣れた声。


「起きろォォォ!」

勢いよく布団が飛ぶ。


「うわぁ!」

そこには。

いつものように怒る幼馴染。


「また寝坊!?」

主人公は少しだけ見つめる。


「……何?」


「いや。」

自然と笑みがこぼれた。


「会えてよかった。」


「は?」


「朝から何言ってんの。」

いつものように呆れる。

その表情を見て。

胸の奥が少しだけ熱くなった。

理由は分からない。


でも。


今度は。

今度こそ。


「行こう。」


主人公は立ち上がる。

窓の外では、蝉が鳴いていた。


――第一部 完

お楽しみいただけたでしょうか?

正直、改稿版作るの大変でした…

とりあえず、第一部は完です!

好評であれば続き作ります!

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