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梅雨時スリップアウト

原作と少々違うところもありますが、別の世界線(?)としてお楽しみください!

雨の日は嫌いだった。

理由は分からない。

ただ、雨の音を聞くと胸が苦しくなる。

まるで。

何か大切なものを失った日のような。

そんな気がする。


---


「おい。」


「何?」


「これ、持つ。」

突然、君が荷物を奪った。


「別に一人で持てるけど。」


「知ってる。」


「じゃあなんで?」


「なんとなく。」


意味が分からない。

最近の君は変だ。

急に優しくなる。

急に悲しそうな顔をする。

まるで。

私がいなくなることを知っているみたいに。


「……気持ち悪い。」


「ひどくない?」


いつもの会話。

いつもの時間。

なのに。

君の目だけは。

どこか遠くを見ていた。


---


その日は雨だった。

強い雨。

湿った空気。

廊下の床は少し滑りやすくなっていた。


「ほら、早く行くよ。」


「分かったって。」


君は笑っていた。

いつものように。

でも。

次の瞬間。

音がした。

鈍い音。

持っていた荷物が落ちる音。

そして。

君の姿が消えた。


「……え?」


時間が止まる。

理解できない。

理解したくない。


「ねぇ。」

声が震える。


「起きてよ。」

返事がない。

周りの音が遠ざかる。

雨の音だけが残る。


---


神様なんて信じていなかった。

願いなんて叶うわけがないと思っていた。

でも。

この時だけは。

縋るしかなかった。


「神様……」


声が震える。


「お願い。」


「私のせいなら。」


「私が悪かったなら。」


「もう一度だけ……」


『会わせて。』


---


『ガコンッ』


---


目を覚ます。

白い天井。

病院。

隣には。

眠っている君。


「……」

生きてる。

生きてるんだ。

安心した。

でも。

何かがおかしい。


胸が痛かった。

助かったはずなのに。

願いは叶ったはずなのに。

どうして。

こんなに悲しいんだろう。


私は知らなかった。

神様が叶える願いには。

必ず何かが失われることを。

お楽しみいただけたでしょうか?

正直、改稿版作るの大変でした…

なので次の話も、どうぞお楽しみください!

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